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「第2のソニックを作り出す」セガ第2事業部が描くビジョンとは

アメリカを始め海外で絶大な人気を誇る「ソニック」シリーズ。日本での人気をはるかに超えた海外での人気ぶりは、過去2本の映画の大ヒットが証明しており、セガの大きな柱となっています。

そんな「ソニック」シリーズを担当しているのが第2事業部。ソニックの他にも、セガの過去の人気IPをリブートさせることで「第2のソニック」を生み出そうとしています。今回は事業部長の大橋修氏とデザイン統括マネージャーの川村幸子氏にインタビューを実施し、目指すビジョンと働く面白さを深掘りしました。

外資企業から出戻りし第2事業部の事業部長へ

―まずはお二人のキャリアについて聞かせてください

大橋:私は1993年にセガに新卒入社し、ゲームの企画、ディレクターを7年ほど担当しました。その後、セガを辞めてElectronic Artsというアメリカ資本の会社の日本支社に転職、人を集めるところからゲームを作るところまで経験しています。

4年ほど働いたあとにスタジオを清算することになったので、再びセガに戻ってプロデューサーをしてきました。開発側のキャリアだけだったのですが、いつしか日本、アジアのパブリッシング責任者を任され、3年ほど前から第2事業部の責任者をしています。

川村:私は1996年に新卒で入社して、ソニックを作っている部署に配属されました。デザイナーとして入社したので、ゲームのグラフィックを作っており、途中からデザインセクションのマネージャーをしています。

その後、アートディレクターを経て、「ソニックフロンティア」というタイトルにはプロデューサーとして関わりました。

ソニックのさらなる挑戦。第2事業部の目標

―第2事業部の特徴を教えてください。

大橋:第2事業部の一番の特徴は、セガで最も大きなIPであるソニックを作っていることです。日本ではそこまでメジャーではないソニックですが、ゲームIPの映画としては全米興行収入トップレベルの成績を残しています。

アクションゲームのソニックですが、同じものばかり作っていては長く遊んでもらえません。様々なゲームジャンルに挑戦しながら、ソニックの可能性を広げていくのが私たちの役割です。ソニックだけでなく、それぞれのIPに合ったジャンルのゲームを作る必要があります。そのため、スポーツやアクション、シミュレーションRPGなどあらゆるジャンルに挑戦できることも特徴ですね。

また、過去にヒットしたIPを蘇らせる「レジェンダリーIP戦略」も第2事業部の重要なミッションの一つ。ソニックを世界でヒットさせたノウハウを活かし「第2のソニック」を生み出していきます。

―ソニックは海外の方が人気とのことですが、今後は国内と国外どちらに注力していくのでしょうか。

大橋:海外ですね。ソニックの売上の95%が海外なので、海外の市場がメインターゲットです。一方で、日本をはじめソニックの人気が高くない地域を開拓するのも重要な取り組みの一つ。そのバランスをうまくとることも、私たちのミッションです。

ソニックの人気が高い国では「これぞソニック」という、こだわりに近いイメージがあります。一方でソニックの人気がそこまで高くない国では、今までのアプローチでは受け入れられていないので、これまでとは違ったアプローチをしなければいけません。どちらも両立するために、従来のイメージを守りながら、イノベーションを起こしていくことが求められています。

―海外に目を向けて仕事をするということは、英語が必須なのでしょうか。

大橋:そんなことはありません。ソニックの戦略やマーケティングのチームはロサンゼルス近郊にあるので、そちらとコミュニケーションをとらなければいけませんが、通訳がいるので困ることはありません。

英語が話せればスムーズにコミュニケーションできますが、話せなくても十分に活躍できるはずです。

―今後、ソニックをどのように育てていくのでしょうか?

大橋:端的にいえば、マリオを超えたいです。ソニックはもともとマリオに対抗するために開発されたゲームで、それは未だに達成できていません。マリオをリスペクトしているからこそ、そこに追いつき、追い越すのが私たちの目標です。

マリオのように日本を含めて世界中で遊んでもらいたいですし、映画だってマリオよりヒットさせたい。USJにだって「ソニックエリア」を作ってもらいたいです。それがソニックを愛する私たちの目標です。

―第2事業部としての目標も聞かせてください。

大橋:ソニックのIPを強くしていくことはもちろんですが、ソニックに続く世界的ヒットタイトルを量産できるチームにしていきたいと思っています。ソニックがこれまで世界でヒットしてきたノウハウを、再現性のあるフレームワークに落とし込んで、他のキャラクターも世界で通用するIPに育てていきたいですね。

クリエイターを活かす「スケジュール」へのこだわり

―第2事業部の雰囲気についても聞かせてください。

川村:穏やかな人が多い印象があります。ファミリー向けのゲームを多く作っているので、家族で遊んでもらう目線でゲームを作っている方が多いのかもしれないですね。

また、第2事業部は作品に対する愛着を持っている方も多いです。それが妥協しないゲーム作りに繋がっていると思います。

―組織をマネジメントする上で、大事にしている考え方などはありますか?

大橋:メンバーそれぞれの個性を活かしながらゲーム作りができる環境作りを意識しています。私はもともとゲームを作る側にいたのですが、決してエースのチームではなく、むしろエースを別のチームにとられて苦労しながらゲームを作ってきました。

当時は「もっといい環境があれば、もっと面白いゲームが作れるのに」と悔しい想いをしていたので、今はクリエイターたちが活動しやすい環境作りに注力しています。私がどんなに一人で頑張っても、数年に一本のタイトルを作れるかどうかですが、メンバーたちの力を底上げできれば毎年のように新しいヒットを生み出せるはずなので。

だからこそ、クリエイターたちがゲームを作りやすい環境が何より大事だと思うのです。

―大橋さんが考える、クリエイターがゲーム作りしやすい環境について教えてください。

大橋:最も大事なのは適切なスケジュールです。私が現役でゲームを作っていた時は、よく無茶なスケジュールを叩きつけられたものです。必死にスケジュールに間に合わせようとするので、質にこだわる余裕もありませんでしたし、それでも納期に間に合わないこともしばしば。

だからこそ、今のメンバーたちには、そのようなプレッシャーの中で仕事をしてほしくありません。時間があればいいゲームができるわけではありませんが、合理的に納得できるスケジュールを設けるようにしています。

また、何かあったときもすぐに助けられるよう「良い報告はいつでもいいから、悪いことが起きたらすぐに教えてくれ」と常々話しています。トラブルも早くキャッチアップできれば、それだけフォローして被害を最小限に抑えられるので。

川村:よくないことを報告するのは勇気がいることですが、それを言いやすい雰囲気を作っているのが大橋さんのすごい所、第2事業部の良いところだと思いますね。

―採用活動をしていく上で、どのような人と一緒に働きたいか聞かせてください。

川村:自分の意見をしっかり言える人です。私たちは、自分たちのやり方が必ずしも最適解だとは思っていません。そのため、転職してきた方たちから「もっとこうしたらいいのに」という意見があれば、臆せず言ってもらえると嬉しいです。

ゲームの作り方だけでなく、開発環境のアイデアや組織ルールも含めて、常に改善していけるような方と働きたいと思います。

―中途入社した方でも発言しやすい雰囲気はあるのでしょうか。

大橋:プロパーか中途入社かは、あまり関係ない組織だと思いますね。中途で入社しても、しっかり成果をだしてマネージャーになっている人も多いですし、私自身も一度外に出てから責任者をしているので。

むしろ、私も一回別の会社を経験したからこそ見える改善点などもあったので、中途入社の方には、他社のやり方を取り入れてもらえることを期待しています。いいやり方はどんどん吸収していきたいですね。

―メンバーからの提案で取り入れたことがあれば教えてください。

川村:たとえば、私たちは自分たちでゲームエンジンを作っているのですが、メンバーからの提案で、そのツールを作り直しています。自分たちが理想としているエンジンを作るために、中途入社の方々の意見も取り入れながら、開発しているところです。

自分たちでエンジンを作れる会社はそうないので、セガならではの面白さでもあると思いますね。

―大橋さんも、どのような人と一緒に働きたいか聞かせてください。

大橋:変化に強い人です。グローバルで楽しんでもらえるゲームは、自分たちの感性だけでは作れません。文化の違う人達にゲームを楽しんでもらうには、相手のことを深く理解し、受け入れる必要があるのです。

ゲーム作りに対するこだわりを持つことも大事ですが、それと同じくらい、自分と違う考え方を受け入れる力も重要です。自分の中でも譲れないものがあるとは思いますが、そのバランスを考えながら柔軟に考えられる人と一緒にゲーム作りがしたいですね。

―日本でヒットするゲームと、世界でヒットするゲームの作り方は違うものでしょうか

大橋:面白いゲームの定義は本質的には変わらないと思います。ただし、同じものを見ても、国によって受け取り方が違うのは事実です。

たとえば日本の「かわいい」は、海外では「子供っぽい」と受け取られる時代もありました。今でこそ海外でも「KAWAII」が受け入れられていますが、私たちが感じるものが全てではないということです。

逆に、海外の方が「かわいい」と思っても、日本ではあまりウケないこともあって。そういう感覚の違いを素直に受け止めて、ゲーム作りに活かせるといいですね。

―最後に第2事業部に興味を持った方にメッセージをお願いします。

川村:今はゲームもワールドワイドで戦うのが主流の時代になってきています。ソニックはもちろんですが、これまでグローバルで戦ってこなかったタイトルもグローバルで戦わなければなりません。

これからグローバルで活躍したいと思っている方は、ぜひ第2事業部でチャレンジしてください。

大橋:「遊ぶ人に面白いと思ってもらえるゲームを作りたい」と思っている方は、ぜひ話を聞きに来てください。今は新しい技術が次々に生まれていますが、結局はそれらも面白いゲームを作るためのツールでしかありません。技術に振り回されることなく、面白さを突き詰めて考える人は、セガのゲーム作りを楽しめるはずです。

今は世界中でゲーム人口が増えている時代です。いろんな国・地域の人にどうしたら楽しんでもらえるかを突き詰めて考えたい人は、ぜひ私たちと一緒に、面白いゲームを作りましょう。

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