現地オランダで新しい時代のトッププレイヤーを目指すMurasaki B.V. CEO 村田晋之佑
八百屋や総合商社を経てITベンチャーに飛び込んだ理由とは?なぜ、GameFiを選択したのか?Murasaki B.V. の始動からグローバルな将来像までの話を聞きました。
【村田晋之佑 経歴】
Murasaki B.V. Co-Founder / CEO
2008年個人事業主として八百屋を開業・法人化した後、2011年22歳で英国ヨーク大学入学。卒業後、三井物産株式会社で貿易や保険求償業務などを3年間担当。株式会社ジラフでは営業部門・基幹事業の責任者として執行役員を務める。2019年ベルギーのサッカークラブであるシント=トロイデンVV(STVV)の現地ビジネス活動全般の責任者を務めた後、2022年1月Murasaki B.V. 本格的に始動。
―様々な業界のご経験がありますが、村田さんがどのように仕事を選ばれてきたのか聞かせてください。
村田晋之佑:純粋な起業家や実業家というよりはスポーツ選手に近いと思います。自分が知らなくて興味のあることをどれだけできるか試してみたいという気持ちが強いです。毎回その基準でキャリアを選んできました。スポーツ選手が新しいクラブに移籍して、どれだけ自分が成長し実力が発揮できるか試すようなスタンスに近いと思います。今回は創業者という立場ですが、本質は変わりません。
―大手商社からIT系ベンチャー企業という、全く異なる業種に転職したのも、そのような志向が働いたんですか?
村田晋之佑:私は組織の中で円滑に物事を進めるという意味での仕事は余りできないタイプでした。新しい発想や行動力が自分の強みだと考えているのですが、自分の強みを求められるシーンが少ないと感じていました。同期をみていても、性格が良く誰からも好かれ何でもソツなくこなす万能型が多く、そういった人が順調に出世していく姿をみて勝てないなと思いました。
私は同期や先輩と比較しパラメータがアンバランスなので、ジェネラリストになれなくても特定の分野で自分の強みをより生かせるのではないかと思ったのが転職のきっかけです。商社では商売の基礎や社会人としてのプロトコルが身につきましたが、自分の強みが生きる場所を求めて当時2年目のベンチャー企業に入社しました。
―退職後、ベルギーサッカーチームのCOOとして海外で働くという、アグレッシブなキャリアをお持ちでいらっしゃいますが、どの様な経緯だったんですか?
村田晋之佑:人生の大きな目標の一つにヨーロッパのサッカークラブオーナーになりたいという思いがあったんですが、今すぐではなく、コアとなる事業で成功してからだと考えていました。本件はたまたま縁あってお話をいただいた際に、クラブオーナーになる為の良い経験になるかもしれないと思い、本場ヨーロッパのサッカークラブ経営を学びたいという気持ちで渡欧しました。
―そこでWEB3に触れるきっかけを得たんですね。
村田晋之佑:そうですね。私の携わっていたサッカークラブは、世界でも早い段階でファントークンを発行した数少ないクラブのひとつでした。コロナ禍で観客が入らない時期だったのでどうにかして結果を出そうと、当時はあまりよく分からないままファントークンを発行してみたのですが、発行してみて分かることが多くあって、サッカークラブの特性に合っているなと感じました。
会社は誰のもの理論でよく株主のものですという話がありますが、サッカークラブはNPOやスポーツファウンデーションが持っているケースもあり、また株式会社化されていても地域のサポーターやスタッフ、スポンサーなどと強く相互依存しています。サッカークラブは地域コミュニティに根付いた公的機関のような要素があり、株式会社の場合でもビジネス・管理部門は「運営です」という感覚ですね。非中央集権的な地域コミュニティの運営という意味で、相性のいい体験でした。ファントークンを発行したところから、私自身がトークンエコノミーやクリプトの世界に徐々に入っていき、現在の起業に繋がっています。
—どのような流れでMurasakiを立ち上げたんですか?
村田晋之佑:共同代表の佐々木とは約5年前の株式会社ジラフ時代に出会っていました。定期的に連絡を取っていましたが昨年の一時帰国で久しぶりに会う機会があり、「2人で何かやりたいよね」と言う所から話が膨らんで行きました。
—2人で何か始めようというのがきっかけだったんですね。
村田晋之佑:そうですね。ちなみにMurasakiという社名は、村田と佐々木から取っていて、佐々木さんの提案です(笑)
—なぜ事業ドメインとしてGameFiを選んだんですか。
村田晋之佑:日本にはNFTゲームを開発している会社はありますが、税制や監査の問題でトークン発行しGameFiをやっている会社はほとんどありません。
一方で日本には開発・企画・運営能力、クリエイティビティに優れるゲームクリエーターが多数いらっしゃいます。Murasakiには、複数のゲームタイトルをプロデュースしてきた佐々木をはじめゲーム開発経験豊富なメンバーがいます。
私が海外や英語中心のマーケティング・コーポレートチームとのハブになり、日本人のゲームクリエイターがグローバル市場を見据えてゲーム開発ができると考えると、GameFiをやる意義があると考えました。
商社のくだりで強みの話がありましたが、日本の方には私の強みは英語が喋れて海外のメンバーと英語でチームビルディングできることだと言われるのですが、グローバル企業を作ろうと思うとそれは前提条件でしかありません。私の強みはクリエイティブでハードワークな日本のクリエイターと働けるということだと考えています。
—オランダに法人を置く理由はありますか。
村田晋之佑:もともとオランダは、配当に対する税金が安く投資家フレンドリーという強みがあります。商社時代の経験から、オランダに投資会社を作ってヨーロッパの他の国に投資していくことは比較的一般的でした。また、クリプトに関する法解釈があるため、想定外のリスクと言うものが少ない環境が魅力でした。
チームのスケールを目指すのであれば先進国に登記して会計監査をやっておくと、将来的にプラスに働くと考えオランダに法人を設立しました。まだヨーロッパであれば一つの国で規制が強化されても簡単に他の国に移れるのでリスクヘッジにもなると考えています。
―実現したいビジョンや目指す社会の在り方について詳しく話していただけますか。
村田晋之佑:現在、GameFi+Storyという展開を考えています。例えば、NFTで買ったキャラに自分で名前を付けたり、バックグラウンドやリレーションを作成したりなど、ゲームや物語の世界観をみんなで補完しながらプレイできたら、より楽しんでもらえるんじゃないかと思っています。
テクノロジーを通じて居場所を提供し、それぞれが主人公になれるような社会を目指しています。
―ネットコミュティに所属することでそこが居場所になり、みんなで作り上げていく過程で主人公にもなれるということですね。
村田晋之佑:そうですね。今日、色んな国で孤独感が肥満と同じくらい社会問題になっていて、ソーシャルメディアなどのテクノロジーに触れている世代の方が、孤独に起因する鬱症状が出やすいらしいです。ぱっと見、色んなコミュニティに自分の居場所があって、人と人との繋がりを感じやすいみたいなイメージがあると思います。でも実はそうではなくて、ソーシャルメディアって、他人の羨ましい生活だとか自分より凄いことをしている人、またはラディカルな意見が目につきやすい傾向にあるので、自己否定と自己肯定を繰り返して、心が躁鬱状態になるという研究結果が出ているようです。
— これからの時代では、ますます孤独感が大きくなるのかもしれませんね。
村田晋之佑:そうですね。だからこそ、Murasakiのサービスを通じて孤独感が少しでも和らげばいいなと思っています。それは一緒に働く人もそうですし、サービスを使ってくれる人にも、「なんか楽しいな」とか「他の人と一緒にやってる感があるな」という風に、居場所だと思ってくれる人が増えれば、すごく嬉しいです。
―求める人材や、どのような人と働きたいみたいな人物像はありますか。
村田晋之佑:やっぱりベンチャー企業である以上、トライであることに変わりはないので、
・新しい事に挑戦したい、試してみたい人
・失敗から学べる人
・意見を主張できる人
・勝利に執念深く、貪欲な人
というのは、大事な部分かなと思います。
Murasakiが挑戦する市場は正解が未だ定義されていない市場です。誰も正解らしい正解を出していないので、誰かの意見が絶対的に正しいということがありません。チームとしてリスクヘッジのために多角的な意見が社内で出てきてほしいです。色々な意見が集まると成功確率が高まると思っています。
私たちは日本人起業家として良いサービスを作って世界で勝ちたいという強い気持ちがあります。勝利への欲望が強い同志が来てくれたら嬉しいです。勝利に貪欲な人は一歩踏み込んだ提案をくれる傾向にあるので、対立したとしても自己主張がある方がありがたいですね。
その他にも、国際的な環境で働きたい人にはうってつけの環境です。メンバーの半分は海外にいる外国人なので人種やカルチャーも多様です。英語がネイティブじゃなくてもグローバルキャリアのステップアップにしたい方などが向いてると思います。
現在エンジニア、デザイナー、プロダクトマネージャー、リサーチャーなどの様々なポジションを募集していますので、ご興味がありましたらまずはカジュアルにお話できればと思います。