サイバーセキュリティバンクのデジタルマーケティング部(以下、CSB/デジマ部)では、日頃どのようにプロジェクトを進め、どんな価値を提供しているのでしょうか。
話を聞いたのは、ベクトルグループの1社として多数のPR案件を手がける株式会社イニシャルの富村卓矢さん、青山直さん、山下嘉織さん 。プロモーション施策の一環としてウェブの知見が求められる際には、CSBのメンバーが参加し、ともにクライアントへ提案しています。
ちなみに同じグループ企業とはいえ、お互いの受発注になれ合いは一切なし。「PR×デジタルの成功例を増やしていけるパートナーだからこそ、一緒に仕事をしたい」(富村さん)とのこと。
そこで今回はCSBの阿部成美さんを交え、座談会形式で「クライアントの視点」から語ってもらいます。みなさん、なぜCSBを頼りにしてくれるんですか——?
<株式会社イニシャル>
◆富村 卓矢(とみむら・たくや)さん
富村局 局長。早稲田大学卒業後、ベクトルグループ入社。TV、新聞、雑誌、WEBへのメディアプロモート業務を経て2015年よりアカウント業務を開始。2018年に営業局長就任。PR起点の企画・ストーリー開発、タレントを起用したクリエイティブディレクションを強みに、BtoB・ビジネス系案件のプランニングから実行まで携わっている。
◆青山 直(あおやま・なお)さん
2013年にベクトルグループ入社後、イニシャルに配属。プロモーターとして、ITやコンサルティング会社などBtoB案件のPRを数多く担当。2018年からは自身の部署を持ち、ベンチャー企業からナショナル企業まで、幅広いクライアントへPR視点でのコミュニケーション戦略提案や実行を担う。
◆山下 嘉織(やました・かおり)さん
2014年にイニシャル入社。主に中小企業やスタートアップのコーポレートブランディングに関するアカウント・プロモート業務に従事。大手コンサルティングファームや外資系VC、IT、不動産、大手アパレルなどを担当。有力ビジネス媒体とのリレーションを持ち、メディア戦略立案からコミュニケーションコンサルティングまでを行う。
<株式会社サイバーセキュリティバンク>
◆阿部 成美(あべ・なるみ)さん
学生時代は教員志望だったが、大学卒業後にカナダ・トロントでのワーキングホリデーを経験したことから、「多様な人たちと関わりながら働きたい」という思いでウェブ広告代理店へ入社。営業〜受注〜広告入稿~運用まで一気通貫で従事した後、ベクルーティング(サイバーセキュリティバンクの前身)へ転職。現在はデジマ部部長として、ウェブ広告とPRを連動させた新たな課題解決手法を提案している。
クライアントの売上拡大に向けてデジタル領域での提案が不可欠に
——イニシャルさんの事業分野や、デジタル領域で感じていた課題について教えてください。
青山:私たちはベクトルグループの一員としてクライアントのPR業務を支援しています。PRは、メディアを通して情報発信していくことがメイン。最近では、ターゲットに興味・関心を持ってもらえるコンテンツの一つとして、動画制作にも力を入れています。
山下:そうした支援を行う中で、PRには「メディアに露出することを必ずしも保証できない」「メディアに露出しても必ずリードにつながるかは保証できない」といった課題もありました。
青山:KPIをどこに設定するかにもよりますが、クライアントが求めているのはメディアに露出すること自体ではなく、その先にある売上拡大です。そこに寄与するためには認知のフェーズだけでなく、リード獲得までをお手伝いしていく必要があり、デジタル領域での施策提案も不可欠になっていました。
山下:とはいえ、以前の私たちにはデジタル領域の知見がほとんどなかったんです。リスティングとは?刈り取りとは?など、基本的な部分からCSBの阿部さんに教えてもらい、少しずつナレッジを蓄積してきました。
——CSBとともにプロジェクトを組むことになったきっかけは?
阿部:最初にイニシャルさんと一緒に動いたのは、青山さんから声をかけていただいた案件でしたね。
青山:CSBが前身のベクルーティング社だった時代に、人材関連企業の相談をしたことがあったんです。その際にBtoBに強いウェブ広告の知見もあると聞いて、阿部さんに案件の相談をさせていただきました。
運用者としてのサポートだけを求めているわけではない
——デジタル領域のパートナーは以前にも存在していたのでは。
山下:一緒に仕事を進めるウェブ広告の代理店はありましたが、現在の阿部さんのように、相談フェーズから一緒に議論できる関係ではありませんでした。パートナーというよりは、私たちがウェブ案件を丸投げしているだけの状態だったかもしれません。
青山:たしかに「運用だけ」「広告配信だけ」をお願いしているような状態で、一緒にクライアントの成功を考えているわけではありませんでしたね。本来私たちに必要だったのは、運用者としてのサポートだけではなかったのだと思います。
——他のウェブ広告代理店と比べて、阿部さんをはじめとしたCSBの関わり方は何が違うのでしょうか。
富村:そもそも、仕事へのスタンスが違う気がします。業務において優秀かどうかの前に、シンプルに人として「一緒に仕事をしたい」と思える相手なんですよね。阿部さんは何でも相談に乗ってくれるし、基本的にノーとは言わない。グループ企業同士だと「うちの対応領域はここまで」「これ以上はできません」といったやり取りになりがちですが、阿部さんはいつも包括的に話を聞いてくれていて。
青山:クライアントから見たベクトルグループは、現在ではPRの枠を超えて「コミュニケーションのプロ」だと認識していただいています。必然的に依頼内容がアバウトになりがちなことに加えて、クライアントのフロントに立つイニシャルには、ふわっとしている段階でご相談をいただくことも多いんです。
富村:私たちは幅広い与件に対応していくことが前提なので、守備範囲を限定してしまうパートナーだと、一緒にプロジェクトを進めていくのは厳しいですよね。
青山:実際に私が初めて阿部さんに相談した案件では、私たちと一緒にフロントに立ってくれて、同じ目線でクライアントとの意思疎通を図ってくれました。
立ち位置は代理店だけど、スタンスは「1つのチーム」
——実際に協働しているプロジェクトの具体例についてもお聞きしたいです。
山下:ある不動産業界のクライアントから「コンバージョンを上げたい」というご相談があったときのことです。そのクライアントは、ウェブでも紙ベースでも、その時点で考えられる施策を動かしていましたが、なかなか営業成果につながっていませんでした。阿部さんに相談したところ、「そもそも営業現場に課題があるのでは?」と示唆してくれて。
阿部:そのクライアントは、ウェブ上で予約をしてくれたエンドユーザーをショールームへ呼び込み、商談をしていたんです。それまで半年ほどかけてマーケティング施策を動かし、ある程度の集客があるのに、1件も成約に至っていませんでした。こうした状況においてもクライアントは「ウェブで何とかしたい」とおっしゃることが多いのですが、成約に至らない原因がショールームでの商談にあるとすれば、どれだけウェブ施策を強化しても解決には至りません。
山下:デジタルの相談だからデジタルで対応するのではなく、与件に対して課題の本質を考えてくれていたということですよね。
阿部:はい。私たちとしては、ただ黙って施策を提案すれば自分たちの数字になるかもしれませんが、それではいつまで経ってもクライアントのためにはならないんです。
青山:私は、あるITプラットフォーム企業のプロジェクトで阿部さんに助けてもらいました。そのクライアントには動画コンテンツなどの認知系施策をいろいろと提案していたのですが、途中で状況が二転三転していたんです。与件が変わる難しい状況だったと思いますが、阿部さんは丁寧に対応してくれて、目的であるリード獲得を短期間でできるようになっていきました。お客さまとの関わりについては、いつも私たちが想定している以上の対応をしてもらっていると感じます。
阿部:私は「イニシャルさんと一緒に動く代理店」という立ち位置ですが、スタンスとしては「1つのチーム」だと思って動いています。
青山:まさに、立ち位置に関わらず、阿部さんは自分から課題を捉えに来てくれますよね。
「事業そのもの」の課題を解決するパートナーとして
——今後、イニシャルさんとCSBのタッグで、どんな価値を発揮していきたいと考えていますか?
富村:「PR×デジタル」の成功事例をどんどん増やしていきたいですね。お客さまからの要望が多岐にわたる中でPR×デジタルの実績を作っていくことは、私たちの最重要課題の一つだと認識しています。実際に新しいプロジェクトも動き始めています。
青山:私たちはもともとPRメインの会社であり、かつての私たちへの依頼は「メディアに露出したい」といった内容がほとんどでした。でも今は「コミュニケーションの会社」として、コミュニケーションそのものの課題に対する案件が増えています。PRの知見だけで解決できない課題は、今後もたくさん出てくるはずです。
山下:先ほどもあったように、私たちは阿部さんをはじめとしたCSBのみなさんを運用者だとは思っていません。お願いしたことだけをやってもらう外注先ではなく、クライアントの課題を解決するためのコンサルティングを提供してくれるパートナーだと思っています。これからCSBに新たに加わる方も、阿部さんと一緒に仕事をしていく中で、ウェブ広告代理店の枠を超えた力を発揮できるようになっていくのではないでしょうか。
富村:私たちが向き合うクライアント側の担当者は、経営企画やマーケティングの責任者であることがほとんどです。ゆくゆくは、クライアントの事業そのものへのコンサルティングもCSBにご一緒していただけるとありがたいですね。もちろん私たちが主体的に動いていくつもりですが、同じ目線で一緒に歩んでくれるパートナーとして大きな期待を寄せています。
阿部:ありがとうございます。私自身、イニシャルさんとご一緒する中で、クライアントの課題を本気で解決したいと思う案件が増えていると感じます。1社ごとのクライアントと本質から向き合い、好事例を作っていきたいですね。