実際に技術を教えてもらえるようになったんだけど、当時のエステサロンは年功序列が激しくて。あと昔からよく言われていたのが、学歴がない人は男は職人、女は美容、エステティシャンって言われるような業界だったんだよね。
だから、集まってくる人がみんな気が強くて、裏表がある絵に書いたような女の職場だった。そこでもずいぶんイジメられたし、鍛えられたなー。
あとは、昔はエステのコース契約って一コース何百万単位だったから、その分、インセンティブの幅も大きくて、給与が大きく左右する世界だったんだよね。いわゆる実力の世界だから…。だから、当時17歳で最高月収30万はもらっていたと思うよ。十代にとってはかなりの大金だよね。
ーそれで、稼ぎも良くなってきたある日
いつもみたいに街頭に立って仕事をしていたら急に声をかけられて。親戚のおじさんだった。仕事中にびっくりしてなにを言いにきたのかと思ったら、いきなり「あっちゃん。ここのサロン、もう潰れるよ。早く辞めな。」って。
その一言だけ言って去っていったの。
急にそんなこと言われて驚いたけど、うっすら思い当たる節はあった。売上に対してインセンティブの金額が少ないかもっていうのは感じていたけど、でもあまり気にしてはなかった。だから、あの日おじさんから言われて、改めて明細を確認したらやっぱりインセンティブの金額が誤魔化されてたんだよね。
十代っていうのもあって騙されていたのか、あとは本当に資金繰りが苦しかったのか、今はもうわからないけど、働く中で杜撰(ずさん)な経営も目の当たりにした。そうこうしてるうちに、グループ会社でネイルの事業をやっていて、そっちに来ないかって声がかかって。また急な話だったけど、ネイルも学べるしいっかっていう軽い気持ちでエステの仕事と両立することにした。
ーでも、この両立をきっかけに事態は一変。
なぜか、今までのインセンティブが支払われなくなって、みるみる給与も減っていった。これはさすがにおかしいと思って、よく考えたけど結果退職することにしたの。
でも、その一ヶ月後に会社は全店舗潰れてしまった。嘘のようで本当の話なんだけど、おじさんが言った通りになった。
当時どこから情報が流れていたのかはわからないけど、はじめて就職した会社がなくなる瞬間を見た。この時点でかなりハードモードというか、波乱万丈感あるけど、こんな経験はあまりないと思うから今思うと貴重な経験だったよね。
でも、この経験が今会社経営をする上ですごく生きてて、時代が変わった今でも美容業界とか特にエステ業界はブラック体質のイメージが根強くあるから、そのイメージを自分が払拭したいって思うようになったね。だから、スタッフとか特に人事部とは[うちはホワイト企業・超クリーンを目指すぞ!!!]っていつも言ってる笑
それで、話は戻るけど、そこからまたニートになって次はどうしようかなって思って…
ー次は、渋谷109のショップ店員になっていた。流行の最先端で物販販売のノウハウを学んだの。