地方創生とはなにかご存知でしょうか。言葉としては聞いたことがあるが、具体的にどのような取り組みがされているかをご存知の方は少ないのではないでしょうか。地方創生とは、内閣が進める地域活性化のための施策の一つです。日本全体においての人口減少を抑制、首都圏への人口集中の是正、地方地域の活性化を目指し、健全な日本社会が将来にわたって維持されることを目的とした取り組みとなっています。この記事では地方創生の言葉の意味や注目されている背景、具体的な取り組みなどについて解説します。
目次
①地方創生とは?
地方創生とは、地方の人口減少や東京一極集中を是正することで、経済衰退の要因とされている課題を解決し、日本全体の地域力を高めるための施策の一つです。内閣で組織した「まち・ひと・しごと創生本部」がその施策を主導し、人口減少の克服と地域活性化へ取り組み、自律的で持続可能な社会をつくることを目標としています。国連サミットで採択された持続可能な開発目標SDGsや日本が掲げる未来社会Society5.0、再生可能エネルギーを導入したスマートシティなどとも関係が深い取り組みとなっています。
②地方創生が注目される背景
地方創生が注目されている背景としては、全国で進む人口減少による影響があるからです。日本全体の人口減少についてはメディアでも定期的に取り上げられていますから、ご存知の方も多いかと思います。2020年時点の日本の人口は1億2,500万人ですが、2050年には1億人を割ってしまうと言われています。人口減少の影響を強く受ける地域が地方の山間地域や林間地域です。地方では若者の人口流出が進んでおり、人口が流入している都市圏での生産量が年々高まっている一方で、過疎化する地方地域が増加し、地域間の格差が拡大しているのです。
全国には1,800の自治体がありますが、そのうちの半数が消滅可能都市であることが指摘されています。消滅可能都市というのは、20〜39歳の若年女性人口が2040年までに半減する自治体のことで、人口減少が加速する地域とされています。このような状況は国力を衰退させる恐れがありますから、政府が主導して是正に取り組んでいるのです。
③地域が抱える課題
地域が抱える課題は大きく2つです。全体的な人口減少と地方の人口流出です。
人口減少
人口減少がもたらす影響としては、子供が減り高齢者が増える少子高齢化が進むことです。若年層の人口が減ることになりますから将来の働き手も減っていくことが予想できますよね。働き手の減少は経済規模の縮小をもたらし、社会保障の逼迫が発生します。医療費・介護費は年々増加傾向にありますが、それを支える働き手が少なくなれば制度の崩壊を招く恐れがあります。
地方の人口流出
地方の人口流出がもたらす影響としては、働き手である若年層が集まる都市圏での生産量が高まる一方で、人口が流出している地方では過疎化が進み地域差が拡大しており、すでに修復が難しい状況に陥りつつあります。
④地方創生の目標
まち・ひと・しごと創生本部が主導する地方創生には4つの目標が掲げられています。
地方でも安心して働ける
地域活性化のために、地域経済を担う企業への支援・新規事業のための支援・観光事業促進のための支援などをおこない、地方の雇用を増大させます。
地方への人の流れをつくる
リモートワークの普及を受けて、企業の地方拠点の強化・政府拠点の移転・サテライトオフィスの推進などを支援し、都市部から地方への人の流れを創出します。
結婚・出産・子育ての希望をかなえる
出生率の低下は経済的な不安や支援の不足が原因となっています。出産を経て復職した際に責任ある仕事を任せられるような仕組み作り、不妊治療から出産・子育てまで継続的な支援ができる制度作りが求められています。
魅力的な地域をつくる
上記で示した地方の雇用創出に加えて、インフラ整備で住みやすさを実現させる、休校支援、空き家問題の解決などには人手が必要です。地域おこし協力隊など地方に人材を集めるための取り組みなどもおこなわれています。
⑤地方創生に向けた取り組み
地方創生に向けた取り組みとしては以下のようなものがあります。
地域おこし協力隊・・・給与をもらいながら地域活性化に取り組める支援制度
Uターン起業・・・地方で起業する方や移住する方への交付金支援
自治体SDGs・・・持続可能な社会実現へ向けて29の自治体が未来都市のモデルに
⑥まとめ
地方創生について、概要や具体的な取り組みについてご紹介しました。地域活性化に向けた支援制度は多くありますが、数値的な結果としては大きな成果が得られていない状況です。地方創生には地域おこし協力隊などを利用して個人でも取り組める制度がありますので、興味がある場合はぜひリサーチしてみてください。