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目的に向け技術を組み合わせ、作りあげていく面白さ。ITに関する知識や経験が存分に活かせる環境が魅力

株式会社ラングは2003年に創業した岩手大学発ベンチャーです。考古情報デジタル処理会社として、先端技術を活用した埋蔵文化財の形状計測を手掛けています。

 「誰もが簡単にアクセスでき、理解できる情報」にすることをミッションに、最先端の3Dデジタル技術を駆使し、新時代の考古学を創るため日々奮闘しています。

今回は常務取締役で、開発チームを束ねる千葉さんにインタビューを実施。エンジニア業務のやりがいや、今後のラングに求める人材像について語ってもらいました!


プロフィール

千葉 史(ちば ふみと):2001年岩手大学大学院工学研究科博士後期課程電子情報工学専攻修了。岩手大学工学部情報システム工学科助手を経て、現在ラングの常務取締役。考古遺物の三次元形状計測・処理などの研究開発に従事。日本情報考古学会会員。モットーは「情報工学はお助け学。医師にとってのレントゲン技師のような役割」。

代表のビジョンに共鳴し、ラングへの参画を決意

――千葉さんがラングにジョインしたきっかけを教えてください。

元々「地理情報システム」を専門としていて、岩手大学大学院では地理情報システムを用いて遺跡の立地を調べる研究をしていました。私が所属していた研究室の主任教授が、当社代表横山のお父様で。その縁で、横山が研究室に遊びに来たある日、壁に貼ってあった地形のポスターを見て、私にこんな相談をしてくれたんです。「地形情報処理技術を活用すれば、考古資料の3次元データから2次元の実測図を作れるんじゃないか。地形を石器に見立てることで、石器の“稜線”を描けるのではないか」と。

前例のない取り組みでしたので、その発想に驚きました。と同時に、「とても面白そうだな」と感じ、横山と共に実現に向けて構想を練ってみることに。このアイデアが、のちのPEAKITの礎となります。

その後、ラングの創業2年目にあたる2005年に岩手大学の助手を辞職し、当社にジョインすることを決断。現在に至ります。

■PEAKIT詳細

LANGweb
岩手県盛岡市にある考古学の会社。遺跡や出土遺物の三次元データ化、図面作成を行なっています。3D解析技術の研究も積極的におこなっています。
http://www.lang-co.jp/technology/technology.html



――現在の業務内容は?

エンジニアリングに関連する業務をすべて担当しています。

具体的には、3次元計測機SOMAの改良やメンテナンス、特徴線抽出処理PEAKITを中心とした社内用ソフトウェアの開発・改良・メンテナンス、パソコンやプリンターなど社内機器のメンテナンス、社内サーバの管理などです。

特にSOMAやPEAKITは開発のフェーズが一通り終了し、現在は実用フェーズを迎えています。そのなかで、日々細かなトラブルが生じたり、お客様から「○○はできないのか?」「○○の機能を実装してほしい」といった相談をいただくことがあります。それらを1つ1つ精査し、対応していくことも私の役割です。


――開発フェーズは一段落したとのことですが、開発の過程で苦労したことや大変だったことはありましたか?

SOMAの受注販売に至るまでのプロセスが大変でしたね。それまでは社内で作り、社内で使うという形でしたので、いわゆる“暗黙の了解”で事が進むことが多かったんです。たとえば、「バグが起きないように日本語は使わない」「ここのボタンは押さない」など。ところが、外部の方に使っていただくにあたっては、そうした共通認識が通用しません。限られた納期のなかでどのような問題が発生するかを洗い出し、機能を改良したり、マニュアル化したりする作業に苦労しました。

またSOMAに限らず、当社の開発はいわば「未知への挑戦」が中心です。決まったものを作るわけではありませんので、横山の考えをどう実現するかを考えることが難しかったですね。要素技術は調べれば分かります。ただ、それを当社の規模や予算感で、かつ“長期的に継続する技術”で作る必要があると考えたときに、言語やデータ処理技術をどう組み合わせるのがベターなのかが悩ましい。今も苦労している部分です。


ITを武器に未知の領域を開拓できる面白さ

――千葉さんが感じる、開発の仕事のやりがいを教えてください。

お客様との距離が近い点です。考古学の最前線に触れることができますし、ラングの業務が考古学研究にも役立っているという充実感もあります。当社の技術や取り組みを新聞などのメディアに取り上げていただく機会も多いのですが、さまざまな方の目に触れること、世の中の反応をじかに感じ取れることも、仕事のやりがいですね。

また近年、当社の技術をさまざまな方面で活用したいというお話をいただくことが増えています。たとえばGIGAスクール構想の一環として、秋田県の某行政機関から、土器や土偶を3D計測して教材にするという取り組みのご相談をいただきました。サンプルデータを現場の先生たちがご覧になったところ、「実物のスケールが分かりやすくて効果的だ」という反応があったそうです。これまで、教科書に載っている歴史上の遺物は、リアルな大きさがイメージしにくいといった問題点がありました。ところがAR(仮想現実)の技術で机の上にCG(コンピュータグラフィックス)を出現させることで、実際の様子が手に取るように分かるようになります。地域の文化財教育にも貢献できますし、次の世代につなげていく仕事ができるのも当社ならではの魅力だと思っています。


左が実物(レプリカ) 右がAR技術で出現させたCG


――ラングのエンジニアだからこそ経験できる事柄や、身に付けられるスキルは?

プログラミング言語(C言語、シェルスクリプト、Tcl/Tkなど)の習得はもちろんのこと、基本的な技術を選択・組み合わせながら、目的を達成できる経験が積めることですね。当社は考古遺物に特化した開発を行っていますが、一方で要素技術は汎用的なものが多く、エンジニアとしての経験や基本知識がある方であれば取り組みのハードルは高くないはずです。

考古学×ITは始まったばかりで、進展のスピードもそこまで速くありません。ITを武器に未知の領域を切り拓きたいという思考がある方にはうってつけの環境だと考えています。

さらに当社の場合は、自社開発が中心です。既存のアプリケーションを使うのではなく、アルゴリズムを一から理解してプログラムを作る「フルスクラッチ」開発もできますので、自ら手を動かして作りあげる楽しさも味わっていただけると思います。


――今後の展望を教えてください。

開発の側面では、SOMAに「色」を計測できる機能を実装することを目標に取り組んでいます。実際にお客様からも、遺物の茶碗などから色や模様を取りたいというニーズをいただくことが増えてきました。計測できる項目が増えればさらに展開の幅が広がると思いますので、まずは新機能の開発に力を入れていきたいです。

またPEAKITについては、現在Webアプリ化を検討しています。理想はお客様が自らWeb上のサーバにアクセスし、データを納品できるようなシステムを作ること。外国の方も含め、さまざまな方に使っていただきやすいシステムを作ることを目指しています。


経験や技術を活かしながらエンジニアリングに取り組める環境

――今後、どのようなエンジニアを求めていますか?

実践力のある方ですね。具体的には情報に関する知識の素地があり、プロジェクトに関わったことがある、あるいは画像処理やロボット制御のプログラムを書いたことがある方など、ベースとなる実務経験を少しでも持った方を求めています。先ほどもお話ししましたが、私たちは決して特別な技術を使って開発しているわけではありません。むしろみなさんが今お持ちのスキルを、「考古学に応用する」という考えで臨んでいただけるとよいのではないかと思います。

資質という面では、「自分から課題を見つけられる方」や「別の視点から新しいアイデアを提供してくださる方」だと、当社でも活躍しやすいのではないかと思います。私たちの組織は非常にフラットですし、互いに意見を言いやすい風土があるため、アイデアがあればどんどん発信してもらいたいですね。


――最後に、求職者のみなさんへメッセージをお願いします!

2023年4月に新卒のメンバーが加わりましたが、開発チームは長らく私1人で仕事をしてきました。今後実現したい技術に向けて力を貸してくださる方、一緒に新しい領域にチャレンジしてくださる方をお待ちしております。

ちなみに私は生まれてからずっと岩手県盛岡市に住んでいますが、盛岡は自然が豊かで季節感に富む、とても住みやすい街ですよ。落ち着いた環境で仕事に打ち込めますので、ぜひみなさんにも岩手で働く魅力を感じていただければと思います!


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