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救急医療の未来像を考えるシンポジウムを開催

千葉大学発医療スタートアップ企業である株式会社Smart119(本社:千葉県千葉市、代表取締役社長/CEO:中田孝明)は3月14日、山梨県主催の『TRY! YAMANASHI! 実証実験サポート事業』に採択された救急情報システム「Smart119」(特許第6875734号)の実証実験成果報告会として、『次世代救急医療シンポジウム 2022 in 山梨』を古名屋ホテル(山梨県甲府市)にて開催しました。
シンポジウムは2部構成で実施され、前半部では、救急情報システム「Smart119」の実証実験成果報告、後半部では、株式会社Smart119代表の中田孝明医師、山梨県内で急性期医療や救急医療に携わる岩瀬史明医師、森口武史医師の3名による「山梨の救急医療の現状と課題」と題したパネルディスカッションが開催されました。

シンポジウムはオンラインでも配信され、全国250以上の消防・医療機関、自治体から500名以上の関係者が参加・視聴しています。

冒頭では、2022年1月~2月に行われ、東山梨消防本部、山梨県立中央病院、山梨厚生病院、山梨大学医学部附属病院、峡北消防本部において「救急搬送の効率化」を目的とした「Smart119」の実証実験の結果を報告。実験では、救急活動における病院選定・交渉時間について、「通常の電話連絡」と「Smart119システムのタブレット端末を使用した一括要請及び情報共有システム」でどの程度の差が生じるかの比較が行われ、Smart119を活用した場合、病院選定・交渉時間が約7割短縮されるという結果が得られ、山梨県より高い評価を得た旨を説明しました。

■登壇者
ファシリテーター
 ・中田孝明 医師(株式会社Smart119代表取締役・千葉大学大学院医学研究院救急集中治療医学教授)
パネリスト
 ・岩瀬史明 医師(山梨県立中央病院救急業務統括部長)
 ・森口武史 医師(山梨大学医学部附属病院救急部部長)

ディスカッションは、事前に設定された「Smart119実証実験の感想」「千葉大病院におけるSmart119の活用事例紹介」「救急隊の判断が奏功した事例」「医師から救急隊への要望」「院内救命士の活動状況について」「救急救命士への期待について」の6テーマで開催。
Smart119実証実験に参加した感想を問われた岩瀬氏、森口氏の両医師は、「スマホ画面上に必要最低限の情報が文字で表示されるため一目で状況が把握でき、判断までの時間を短縮できるうえ伝達ミスも減るため、救急医療の安全性をより高めるシステムだと感心した」と、口を揃えて高く評価しました。

救急隊~医療機関間のコミュニケーションに関する話題では、両者の意思疎通の難しさを示す例として、事故による「切断指」のケースが挙がり、「切断指が再接着可能か否か、口頭による説明だけでは判断が難しい。救急隊から画像や映像で情報が瞬時に提供されれば、医師は迅速な判断が可能となり、より良い医療が展開できるはず」と中田代表が提案。岩瀬氏は「情報漏洩やプライバシー侵害のハードルはあるが、通信セキュリティが担保された形で救急現場と医療機関がダイレクトに結びつくことができるのであれば検討したい」と述べました。
中田代表は、セキュリティ強化による情報保護を前提に、救急現場への『スマートグラス』の導入を提起し、「救急隊員が装着したメガネ型ウェアラブルデバイスを通して、医師がリアルタイムで患者を観察できれば、救急隊~医療機関間のコミュニケーション上の齟齬に起因する問題の多くが解決する。Smart119を介した、そんな未来像を描いている」と明かしました。
その他、近年の医療業界のホットトピックである『院内救命士』も話題にのぼり、山梨県立中央病院での採用事例をヒントに、あるべき院内救命士の姿が議論されました。最後に、特定行為が拡大傾向にある救急救命士に対し、「今まで以上の切磋琢磨を期待したいが、責任の範囲や深さも広がることも認識しておくべき」(森口医師)、「救急患者の大半は内因性疾患や基礎疾患を抱えた高齢者。その病態を現場で的確に判断するには、医学的な知見の積み上げが不可欠。高い志を持って知識の習得を続けていってほしい」(岩瀬医師)とエールが送られ、シンポジウムは閉幕しました。

パネルディスカッションでは、オンライン視聴していた多くの参加者から多数の質問が寄せられるなど、この分野に対する要望の多さ、Smart119に寄せられる期待の高さを確認することができ、医療関係者の現状認識や課題を把握する貴重な機会となりました。今後の活動に活用させていただきます。

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