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ホームレスに「なぜ働くのか」を教えてもらった話

先の見えないコロナ禍。つらいですよね。

外出しても何となく心配で以前の様に心から楽しめなくなってしまったり。 

ちょっと咳き込んだ時の周りの刺すような視線に憂鬱となったり。

おじさんである私でさえ日々そんな思いで生きている訳ですから、

学生である皆さんの心境は察するに余りあるものがあります。


「この状況がずっと続いてしまうのではないか」  

「就活だってきっとうまくいかない」          

「そもそもこんな状況でなんで就活しなくちゃいけないんだ」


もちろん生きていくため。生活するために働くということはわかっている。 

でも頑張りたいのに気持ちが前に向かない。    

悲観的になってしまう気持ちもわかります。私もそんなときがあります。        

そんな時に私が考えるのが「なぜ働くのか」ということ。 

今書籍や様々なメディアで論じられていますが、私が思い出すのは学生時代のある体験なのです。 


学生時代のホームレス体験   

実は私、大学時代にホームレスとして1週間生活したことがあります。   

きっかけはバイト先。私は当時某レンタルビデオ店でバイトをしていたのですが、 

お客様の中にホームレスの方がいました。(名前はTさんとします。)      

そのお店ではレンタルビデオの他に、書籍も扱っていて古本の買い取りも行ってました。 

Tさんは拾ってきた雑誌や書籍をそのお店に買い取ってもらっていたのです。 

(私の学生時代はそういう古本店が良くあったんです。)

はじめはおっかない印象でしたが、段々と仲良くなり、雑誌の拾い方や住んでる場所など、 

買取の待ち時間にとりとめのない話をするようになりました。

当時は就職氷河期。ネットカフェ難民なんて言葉が生まれたり、ヒルズ族が話題になったり。

私たちは何となくやるせなさや閉塞感を感じていました。  

(何となく今と似ているかもしれませんね。)

当時私は論文のテーマに悩んでおり、ふとTさんの顔が浮かんだのです。

私はTさんに頼みました。

「1週間でいいのでTさんのテントに一緒に住まわせてくれませんか。」

毎日の酒代を条件(笑)にTさんはOKしてくれました。つまりフィールドワークとして 

「ホームレスを体験させてもらった」のです。


ホームレス体験で気づいたこと               

フィールドワークなのでTさんと常に行動を共にしました。起床は朝4時。 

切符を買って入場し、一旦下りの終点まで行き、そこから始発に乗ります。

乗客の雑誌をチェックしながら上りの終点までマーク。  

乗客が下りるタイミングで一気に網棚をさらいます。 

駅のゴミ箱チェックも忘れません。傘のシャフトを曲げた手作りの装置(?)で上手に拾います。

(これは難しかった。)

拾った雑誌を袋に詰めてまた下り電車に乗ります。これの繰り返し。

手は真っ赤になり、ガサガサ。年明けの寒い時期でしたが、汗びっしょりになりました。

1日の終わりは意外と早く3時過ぎには切り上げてテントに戻ります。

雑誌は1冊50円で買い取ってもらえました。


皆さんはホームレスの方々どんなイメージを持っていますか。

正直あまりいいイメージを持っていないと思います。私もそうでした。

ネットカフェ難民にしても、ホームレスにしても、怠けているのが悪いんだ。自己責任だと。

でもTさんは違いました。毎日お酒は飲みますが、早寝早起き。

「お店に入るから」という理由で洗濯も毎日していましたし、身なりもキチンとしていました。

驚いたのがテントの中。整理整頓が行き届いていて、電灯やコンロに調理器具、ノートパソコンも

お持ちでした。(もちろん公園内をテントを張り、占拠することは許されませんが。) 


つまり「普通の人」だったんです。


Tさんには家族がいたようでした。PCも普通に扱えたのでおそらく一般企業で働いていたのでしょう。

過去については一切教えてくれませんでしたが、持ち物や会話の中からそう感じました。

私はショックでした。自分よりはるかにしっかりしている人がこんな暮らしを

しなければならないことに。 

そしてそれを「自己責任だ」と思っていた自分にも。                       

就活を始める時期になり、頭に浮かんだのもTさんでした。

紆余曲折あったことは以前のブログでも書きましたが、頭に浮かんだ「なぜ働くのか」は 


「人を幸せにしたい」でした。


もちろんすべての人を幸せにはできません。

でも周りの人には自分と関わった事でほんの少しでも幸せになってほしい。

そう思ったのです。この会社で採用業務をやらせていただいているこの瞬間にもそう思っています。

小さい頃から自分は器用なタイプではありませんでした。

Tさんの様な方だってホームレスになってしまう世の中です。

Tさんの様な方を社会に増やさない。

そして何より自分がそうなってはならない。その思いで日々全力で働いています。


皆さんに伝えたいこと

働く理由は人ぞれぞれです。どんな理由でもいいと思います。

でも「なぜ働くのか」がわからなくなってしまった方はまず、

人生をかけて「大事にしたい人、もの」

を思い描いてみるといいと思います。何でもいいです。家族でも自分でも車でもいいのです。

その人、ものを大事にするためのカギが

仕事であり、お金だと思っています。

(これについてはまた別のブログでお話しします。)

つらかったら、ゆっくり休んで考えましょう。そして、歩き出しましょう。  

私はそんな方と1名でも多く出会いたいと思っています。

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