おてつたび創業時から、リードエンジニアとして開発を担当している川尻智樹(かわじり・ともき)さん。2月からは正式に社員として入社し、日々開発に励んでいます。
今回は、おてつたびに来るまでの経緯や、おてつたびを通して見ている未来について伺いました!
ーこれまでの経歴を教えてください。
2017年に楽天に新卒で入社してから、トラベル事業のバックエンド側の開発に携わっていました。
入社を決めたときの理由はいくつかありましたが、「楽天」といえば、誰もが名前を知っているような大手企業です。アクセス数が多く、使われている頻度が高い大規模なシステムの中でエンジニアとしての最初の経験を積めるのは大きいなと思っての選択でした。
実際に入社してみると、規模が大きいだけになんといっても人が多かったですね。トラベル事業のエンジニアだけでも100名程いましたし、事業も全国に展開していました。
そんな環境で一年ほど経った頃に、もっとユーザーと距離が近いところに関わりたい、規模感が小さいところで開発に携わりたいという思いから、直属の上司に相談して、チケットサービスの部署へと異動しました。
おてつたびとの出会いもちょうどその頃で、楽天が主催していた社会起業家との協業プログラムがあることを知って、採択されたおてつたびに関わりはじめ、今に至ります。
関わりはじめた一年半前のおてつたびは、設立したばかり。まだLPしかないような状況だったので開発は一人でスタートしました。大企業とは違った「ないない尽くし」。だけれど、だからこそ自由や裁量が沢山ある。白いキャンバスに0から一緒に絵を描けることが面白くてたまりませんでした。
チケットサービスの部署に所属しながら関わるうちに、だんだんとおてつたびも成長してきて、最終的には社員としてフルコミットすることを決意しました。
(協業プログラムのキックオフ時の写真。半年間みんなで一緒に駆け抜けました。)
ーおてつたびに入社を決めた理由は何でしたか?
僕がいた楽天のように規模が大きいところだと、どうしても歯車を動かすことのウエイトが大きくなります。そうするとユーザー目線だけではなく、売上を重視しなければいけない場面も多々ありました。
僕は以前から、エンジニアとしての原点である「ユーザーにとっての使いやすさを追求する」ことを重視したい気持ちが強く、月一回のMEETUPイベントでユーザーと話す機会があるなど、ユーザーとの距離が近いおてつたびでの開発のほうが自分の理想に近づけると感じました。
サービスの開発というのは本来、ユーザーのためのもののはずです。しかし、エンジニアだと、どうしても外に出てユーザーを知る機会が少ないので、こちらの思惑だけで進めてしまうと、「改善」ではなく、一歩間違えば「改悪」になってしまうかもしれない。
それを避けるためには職種問わず全員が横同士のつながりを持って、ユーザーのことを思いながらサービスづくりに向き合わないといけないと僕は考えています。
次のステップに上がるために違うところに行くという選択肢がおてつたびに関わっていくなかでだんだんと見えてきたという感じですね。
ーおてつたびに惹かれた理由を教えてください。
おてつたびが目指している「新しい旅のかたちを作る」ことに共感したのがいちばん大きいです。「お手伝い」と「旅」をかけ合わせた「おてつたび」は一般的な旅行のようにパッケージだけを提供する一方通行の旅ではなく、ユーザー自身が能動的になって、事業者さんと接してできる新しい旅です。僕はそこが非常に面白いなあと思っています。
また、自分自身も首都圏ではなく徳島県の出身なので、事業者さんの様子などのイメージはしやすいというのも根底にはあるかもしれないです。
ーベンチャーの魅力、「おてつたび」の魅力とは??
「自由さ」「対等な立場でいられる環境」ですね。
自分で考えてできる、裁量が大きい。それがいちばんの魅力、いいところです。それから、現場の意見を大事にして、気づいた人が上にあげていけるという、おてつたびが大切にしているボトムアップ型の環境というのも大きな魅力です。
ここでは、開発側の意見もきちんと聞いてもらえますし、駄目なところは理由とともにはっきり言ってもらえることもありがたいと思っています。
ー「おてつたび」で目指すものをおしえてください。
「新しい旅のプラットフォーム」を作っていきたいです。
わかりやすく思い浮かぶような観光名所以外に行きたいユーザーと、受け入れ先の地域とを繋ぐプラットフォーマー。観光名所を巡るだけではない、そこで生活するような感覚で地域を訪れる旅。そんな未来の当たり前の文化をつくる役割をおてつたびは担っています。
月一回、地域やおてつたびに興味がある人を対象におこなっているMEET UPに参加した体感としても、有名な観光名所を見に行くだけではない旅のかたちを、ユーザーも求めています。
そこに関わるエンジニアとして目指すのは、受け入れ先の地域の方で、ITリテラシーが高くない方でも使いやすいプロダクトをつくることですね。例えばスマホやインターネットに慣れていない人でも使いやすいものにするなど、ユーザーにはやはり色々な方がいるので、開発のうえで配慮すべきことはたくさんあります。
今後も、出来上がったプラットフォームをもとに色々な機能を追加していくつもりなので、そんな未来を一緒にゼロから作りあげることができると思うと、今から開発者としてワクワクしています!!
ー大企業からベンチャーへ転職してみてどうでしたか?
大企業からのベンチャーへの転職というと、不安や心配だったことについても訊かれるのですが、本音を言うと転職してみたら、何も心配はなかったです。
もちろん環境の違いは色々な部分で感じます。
仕事内容でいえば、パフォーマンスの改善に関してなど大企業に属しているときは見えづらく実感が持ちづらかった部分がより身近になりました。自分で関わった機能であったり、ユーザーとのかかわりがあるので技術追求もしやすい。ベンチャーのほうがむしろ効率よくスキルも上がると思います。
でも、大企業とベンチャーのどちらが良いというよりは、それを楽しめるかどうかが大切だと思いますね。
エンジニアはもちろん、職種問わず成長していける風土、挑戦できるフィールドがベンチャーにはあります。今まで使ったことがないものでも臆せず、チャレンジしていけるような方は、きっと合うと思います。
ただ、正解がないなかより良いものをつくろうと進んでいるので朝令暮改、なんてこともよくあります。そういうことに対して柔軟にできることも必要かな。
既にあるものからだと現状維持が中心になってしまいますが、作ることから始めるベンチャーではゼロからイチを作れるのが魅力です。
成熟したサービスの場合は、それをいかに維持していくかという視点を避けては通れません。「1」を「0.9」とか「0.8」にしてしまうようだったら上から止められてしまうこともある。それは楽天時代にもあったことですけど……。
でも結局、やってみないことには始まりません。トライアンドエラーで進めていけるのがベンチャーの、おてつたびのいいところです。
ー迷っている方に向けてメッセージをお願いします。
”やりがいにフォーカスする”というか、それこそ自分が「いいな」「素敵だな」と思った、共感したサービスに関わったほうが間違いなく伸びます。その挑戦を恐れないでください、と伝えたいですね。
ある程度規模が大きい会社では、ほとんどの人が同じ部署のまま、というパターンが多くなると思います。そうなると、スペシャリストにはなれるけれど、急に違うことをやるのも難しい。五年後十年後にユーザー目線になってやりたいならば、今のうちにフルスタックで知っておくべきだと思います。
僕自身がやってみた感覚としても、フルスタックでフロントもバックも兼ねるのは全然不可能ではないです。広い経験が積めますし、プロデューサー側の視点など、広い視野を持って働ける。それは今後の、次のステップに行ける可能性にもつながるので、若い人ほど価値が高いと思います。
挑戦したいと思っても、今いる安定した環境を離れることは不安だと思います。でも、まずは少しだけ関わってみる、話を聞きに行ってみるというやり方だってあります。
「小さな違和感」を大切にできないまま、それに気づかないふりをしたまま五年十年が経って……それで後悔するくらいなら、小さなアクションからでもいいから、挑戦したほうが良いのかな、と僕は思います。
ー川尻さん、ありがとうございました!
(インタビュー:永岡里菜、田中沙季 執筆:田中沙季)