こんにちは、地域人財基盤の広報を担当している宮澤です。
私たち地域人財基盤は、地域に人を集めるための採用支援や、様々な専門知識を有する専門人財の派遣を通じ、地域課題の解決に向けた実行支援を行う会社です。
最も多い支援先は地域の観光地域づくり法人(DMO)や三セク企業、地方自治体です。ここでは主に観光集客やまちづくり、地域課題の解決を図るための支援をさせていただいているのですが、「観光集客やまちづくりの実行支援」と聞くと、観光客向けの商品企画や、観光地域ブランディングといった、クリエイティブで刺激的な仕事をイメージする方も多いのではないでしょうか。
実際のところ、間違いなくこれらも私たちの仕事の一部に含まれており、その土地ならではといえる魅力を盛り込んだ観光商品を考え、それを多くの人々に知ってもらえるようにプロモーションを設計することなんかもあります。
しかし、この説明だけで、どれだけの方が私たちの実際の仕事内容を正確に想像できるのか、不安がよぎりました。自分で言っておいて何ですが、今お伝えしたのは、地域での仕事の本当に本当にごく一部。ですので、本日はこの場を借りて、実際に地域で働くメンバーのリアルな仕事ぶりをご紹介します!
日光市観光協会でのミッション
2024年4月に地域人財基盤へ入社し、藤城さんがミッションを受け持つ日光市観光協会は、登録DMOとして日光の観光地域づくりを推進している法人組織です。地域人財基盤は昨年度より、専門人財で構成されたチームで支援に入っており、藤城さんはDMO事業の推進をするため日光市観光協会に駐在し、現場の皆様と共に日々活動しています。(DMOとは?いう方はこちらをご参照ください)
藤城さんが担う業務は、DMOとして取り組むべき施策の設計や運営など多岐に及びますが、ここではプロジェクトの一例「着地型旅行コンテンツ開発」をご紹介します。
日光は首都圏からのアクセスが非常に良いこともあり、外国人旅行者が多く訪れています。そんな外国人観光客を相手に、当日飛び込みでも予約ができる観光ツアーを企画しようとした場合、ツアー内容の開発だけでなく、販売チャネルの選定と販路設計、英語対応可能なガイドの手配、当日予約で対応するガイドの勤務体制の整備やオペレーション構築など、さまざまな準備が必要です。
販売チャネルの選定では、闇雲に販売場所を増やすのではなく、「どの国からの観光客が多いのか」という視点を持って、販売代理店やオンライントラベルサイトを選定し、それぞれの強みを見極めた上でチャネルを決める必要があります。
また、外国人向けツアーには欠かすことができない「英語対応可能なガイド」の手配に関しても、地方にはそもそも英語対応ができるガイドの母数が少ないため、ガイドの確保をしつつ、当日受入対応を実現するためには、各所との連携が欠かせません。
さらに、英語で日光の観光ガイドができるようになってもらうには、日光に関する知識を学んでもらうためのガイド育成も必要になってきますので、研修会を開く必要もあります。
このように「外国人観光客向けの当日予約可能なツアー」を実現するには、綿密な準備と、たくさんの関係者を巻き込みながら進める調整力も求められます。当社の支援ではいわゆる“コンサルタント”のようにアドバイスだけをするのではなく、現地のメンバーと一緒になって考え、動きながら最適解を出すことを大切にしているため、このようにすべての段階に関わり、事業をスケジュール通りに遂行させるための横串的な存在となって仕事を進めていくのです。
(「関わる全ての人たちの気持ちを一つにまとめ、『みんなで一緒に日光を盛り上げよう!』という思いと情熱を形にするのが私の仕事です!」と意気込む藤城さん )
佐渡観光交流機構でのミッション
続いて、佐渡の観光地域づくり法人(地域DMO)にて、観光マーケティングに従事している岡崎さんのミッションについてご紹介します。岡崎さんは2021年に地域人財基盤へ入社し、マーケティングとDX領域に関する専門人材としてミッションに参加しています。
地域に入ってからの初年度は、まずは徹底的な現状把握と分析から始まりました。すでに取られていた観光データの読み解きや関係者からの聞き取りなど、その方法は様々です。この現状把握を通じて課題を発見し、マーケティング領域の具体的な実行支援がいくつも始動するという流れなのですが、そこでの取り組みの一部をご紹介します。
本土から船でしか行くことができない離島であるその支援先では、観光客のファン化を狙った会員制度(アプリ)を運営しており、顧客情報がデータで蓄積されている状態にありました。そこで、まずは取得された顧客情報の整理や分析を行ったのですが、観光マーケティングに使用するデータとしては精度が低く、活用が困難なものであることが分かりました。
そのため、まずは精度の高い顧客データを取得することができるようにアプリの再構築と、データを蓄積するシステムの改修を行うことから始める必要がありました。
アプリの再構築や、データを蓄積するシステムは、DMO内はもちろん、システム会社と検討を重ねながら計画を立てた後、行政と話し合って予算を確保し、2年目に開発を実施しました。そして、ようやく会員の性別・年代や居住地などの属性、来訪日数、宿泊地などが可視化できるようになったのです。
精緻な観光データを蓄積できるようになったことで、シーズン毎で旅行客の傾向がはっきりと見えるようになり、「年間を通して50〜60代がメイン顧客層」「夏は首都圏からの30〜40代の家族客中心、平均2泊」「冬は近隣エリアからの二名旅行が多い」「ビジネス客は泊数が短い」というような、地域が持つ来訪傾向を感覚値ではなく“数字の根拠”を持って導き出すことができるようになりました。
それにより、シーズンごとでターゲットを絞った体験商品造成が可能となり、販促活動やプロモーションにも活かせるようになったのです。
データの取得方法から改善を行い、抽出したデータを分析し、次なる施策を考えるという一連の取り組みは、もちろん岡崎さんだけでやるのではなく支援先や行政、事業者などのステークホルダーの方々と協力しながら進めますが、プロジェクトに関わるすべての人々が「観光を盛り上げる」というゴールに向けて自分ごととして向き合う必要があります。
そのため岡崎さんは、定期的に勉強会や、セミナー、ワークショップなどを行い、知識を研鑽しながらチームとして進めていけるようにプロジェクトを進めました。
このように地域支援をする際は、支援先に足りない機能を私たちが補うだけでなく、支援先におけるノウハウの定着化を含めて、自走できる仕組みづくりを意識しています。
地域支援とは、小さな石を積み重ねて大きな橋を作るが如し!
地域支援に挑む私たちの仕事のイメージは湧きましたか?
「思っていた以上に難しそう…」と感じた方もいるかもしれません。観光まちづくりには、地域の観光事業者や公共交通機関との連携、人的リソースの確保など、多くの人々との協力は必須であり、それぞれを繋ぎ合わせていく過程は一朝一夕で進む話ばかりではなく、時に苦労もあります。しかし、その一つ一つのプロセスこそが、「素敵な観光地」を共に創り上げていくために必要なものです。
その日々の取り組みは、まるで小さな石を一つ一つ積み重ね、大きな橋を築き上げていくようなもの。その努力の結晶として出来上がった橋は、地域と世界を繋ぐ大切な架け橋となり、多くの人々に感動と喜びを届けるのです。
SNSを開けば目にする美しい観光地での素敵な写真の数々。そんな観光地づくりを支える地域支援の仕事は大変ではありますが、情熱を持って取り組めば大きな結果を生むことができる、やりがいに溢れた仕事なのです。
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