2021年7月末、コロプラグループにおける新型コロナワクチンの職域接種(2回目)が完了しました。職域接種の主な目的は【安全な職場環境の提供】と【新型コロナウイルスの早期収束】ですが、いざ進行してみると様々な課題に直面し、各方面の協力と現場の創意工夫が不可欠でした。
そこで本記事では、実施概要と具体的な課題および当社の対処法を公開します。あくまでも一例ではありますが、これから職域接種を実施する企業/団体のご担当者さまのご参考にしていただける部分が少しでもあれば幸いです。
なお職域接種の接種率は、グループ全体で従業員約1,500名のうち60%程度となり、そこに自治体などでの接種も加えると、ワクチン接種は高い比率で進んでいるという状況です。なお、人事部で把握している限り、現時点のコロプラ単体での接種率は合計で約75%になっております。
※ 職域接種の最新情報は、厚生労働省の特設ページをご参照ください。
※ なお、ワクチンを接種するかしないかは、あくまでも本人の希望に基づいて実施しています。
職域接種の実施概要
1 事前アンケートを実施した上で、ワクチンの発注数を設定
現在、コロプラグループには約1,500名の従業員が在籍しています。今回は従業員本人だけでなく、ご家族、同居人、取引先・投資先の従業員のうち希望者かつ18歳以上を対象とし、事前アンケートから推測した1,200名分のワクチン(モデルナ社製)を発注することにしました。
※ 申請時点でのモデルナワクチンの対象は18歳以上でした、その後は対象年齢が引き下げられています。
そして先着順で本申し込みを開始すると、1,200名分の枠が2日で埋まりました。また、申込後のキャンセルは原則不可とし、よく考えての申し込みを重ねてお願いしました。重視したのは貴重なワクチンが無駄にならないようにすることです。仮に職域接種で受けられなくても、追って自治体などで受けられますので、発注数は必要十分にしました。
2 東京品川病院さま、株式会社近畿日本ツーリストコーポレートビジネスとの異業種連携について
職域接種を実施する場合、会場や医療従事者などの確保は企業/団体側でする必要があります。しかし、現在コロプラはオフィス規模を約60%に縮小しているため、広い会議室がなく、職域接種のスペースの確保ができません。そこで候補に上がったのが、近畿日本ツーリストとタッグを組み【大型バスを利用した接種会場】を作り上げることでした。大型バスを利用するメリットはいくつかありますが、まず換気性に優れているために安全性が高く、かつ同一方向に向けて並ぶ椅子に間隔を空けて座り、順に接種を受けられるのは効率的です。
また、今回のプロジェクトで最も苦労したのが医療従事者の確保でした。当社はコロプラ単体での従業員数が1,000名未満のため、労働安全衛生法上、常駐の産業医がいません。ただし、従業員の健康保持促進を図るために週2で委託契約している産業医の方がいますので、相談したところ、「現時点では、アナフィラキシーショックが起きたときの医療設備が社内に揃っていないので対応が難しい」ということでした。
そこで、職域接種の協力を表明している医療機関を探し、お問い合わせすることになりました。そして最終的に東京品川病院さまにご協力いただけることになり、接種会場として駐車場もお借りしました。大規模総合病院の敷地内であることから、副反応が出た場合などでも迅速な対処が可能となりますので、接種者にできるだけ安全な環境を提供することができました。
3 接種希望者1,200名を3日に分けて実施 〜 当日の流れについて
接種希望者1,200名を3日に分け、4週間後の同じ曜日にセットで申し込むことを条件にしました。1回目と2回目ともに医師2名、看護師6名で対応いただくことが決まり、1時間で約40〜70名が接種できるよう希望日時を募り、先着順で調整しました。なお、バスは連日4台ずつ用意し、朝は9時30分から開始、15時30分に受付終了しました。
ご参考までに、当日の流れも記します。
1 受付で必要書面の確認
2 医師の問診
3 バス内で接種
4 待機(約15分)後、問題がなければ終了
※ アレルギーなどにより医師の問診で30分待機の方もいました。
1〜4までにかかったのは、おおよそ40分ほどでした。
受付は人事部のほか、2021年度の新卒社員が総動員で担当しました。慣れない業務だったと思いますが、回を増すごとにオペレーションが改善されていき、接種者からは「非常にスムーズで、ノーストレスだった」「受付のシステムが良くできていて感動しました!」といった感想が寄せられました。
そのほか、業務のスケジュール調整も各チームで率先して行われました。また、会場が駅から少し離れていたため、ある従業員が駅からの道順がわかる動画を撮り、全社に共有してくれたこともありました。一人ひとりの思いやりや一つひとつの気づかいが不可欠でした。
課題と解決策
1 課題(ワクチン、会場、医療従事者の確保以外で実施したこと)
◆ 接種会場のレイアウト検討
∟ 無駄のないレイアウト(導線)を事前に考え、現地でも少しずつ改善しました。
◆
接種会場の案内表示
∟ 「受付」「問診」などのアナウンスを印刷した用紙を用意しました。
◆ 受付のオペレーション確認
∟ 必要書面(予診表やクーポン券など)の確認をしたり、名簿を作成したりして、当日の受付業務がスマートに進むよう準備しました。
◆ 各種アナウンス
∟ 接種する日時ごとにSlackのグループチャットを作成し、当日の流れや持ち物、注意事項などをアナウンスしました。
◆ 物品購入
∟ 体温計(人事部で常備していたものだけでは足りなかったため)、予備マスクなど、主にインターネットで購入しました。
◆ 雨や熱中症対策
∟ 会場が駐車場だったため、雨天時のテント、2回目の接種は熱中症対策にも細心の注意を払いました。
2 やって良かったこと
2回目の接種が終わったら、自治体からの接種券を貼った予診票のコピーをご本人に渡す必要があります。しかし後日郵送するのではタイムロスが生じますし、事務処理も多くなりますので、当社では2回目の会場にプリンタ(予備も含めて4台。その他、インク、A4用紙)を用意し、本人が接種を受けている間に印刷しておき、当日持ち帰ってもらうシステムにしました。
3 その他、振り返り
当社では比較的早い時期に職域接種を実施したため、導入事例や見本になるような情報がほとんどなく、担当した人事部は手探りの状態で進めていました。その中でもなんとか事故なく職域接種を実施することができたのは、関係各所のみなさまのご協力があってこそでした。改めてお礼申し上げます。
進行にあたり、はじめは不安な気持ちもありましたが、総じて接種を受けた方の満足度は高く、お礼の言葉をたくさんいただけて、ほっと致しました。
最後に、これまでの記事(Vol.1、Vol.2、Vol.3、Vol.4、Vol.5、Vol.6、Vol.7)と同様に、時系列で感染症対策をリポートします。あくまでも "グループ全体で1,500名、社員数950名規模のエンターテインメント企業" の事例ですが、ご参考にしていただける部分があれば幸いです。
時系列で見る、
新型コロナウイルス感染症対策 in コロプラ
1月
1月の出社率を35%で調整していたが、1月8日に緊急事態宣言の発出を受け、1月の出社率を途中から30%に制限。
2月
2月も出社率30%とし、出社申請は厳格に管理し、従業員の社内の出入りを把握し感染防止を徹底。
3月
3月の出社率は、31%で調整。
4月
◆ 緊急事態宣言の解除を受け、4月は出社率 36.3%まで出社枠を広げ調整。
◆ オフィスの感染症対策の一環として、ドアノブを握らず腕や肘を使ってドア開閉できる器具を、会議室のドアノブに設置。
5月
◆ 5月の出社率は、36.3%で調整。
◆ 新型コロナワクチン接種に伴う社内制度を設定。
∟ ワクチン接種のための時間は就業時間として扱うことを決定。
∟ ワクチン接種による副反応に備えた「新型コロナワクチン休暇」の新設。
その他、ご家族のワクチン接種の付き添いをする場合や接種後に副反応が生じ看護が必要な場合は、有給休暇を積極的に利用することを推奨。
6月
◆ 感染症対策の一環として、リフレッシュスペースにポータブル手洗いスタンド「WOSH」を設置
◆ 新型コロナワクチン職域接種(第1回)の実施。
7月
◆ 新型コロナワクチン職域接種(第2回)の実施。
8月
◆ 全員在宅日を2日連続で実施。
今後もエンターテインメント企業として、良質なエンターテインメントをお届けできるよう万全の体制を整えていきますので、ご理解・ご協力のほど、お願い致します。
以上、2021年8月23日(月)時点の最新情報とさせていただきます。