デザイナーとエンジニアの社内座談会
職種間の連携や風通しの良さの向上。
多くの企業で取り組まれている課題のひとつかと思います。
当社ココネはアバターやデジタルワールドのサービスをグローバルで手掛けている会社ですが、全社員約500名のうち4割がデザイナーという、似たような業界の会社の中でも割と珍しい体制を採っています。
デザインドリヴンで物事が進む場面も少なくなく、だからこそデザイナーとエンジニアの関係性の質がサービス成長の推進力に直結します。
今も職種間の風通しは良いほうだと思ってはいますが、さらなる相互理解を目指して、先日、デザイナーマネジメント室*が主導する初の試み「デザイナー×エンジニアの社内座談会」を実施しました。
(*デザイナーがより一層、現場で活躍できるよう、横断的に支援や育成活動を行う組織)
参加者は各サービス(事業)のリーダークラス&有志の総勢17名。なお、初回ということもあって、デザイナー側は元々エンジニアと接する機会の多いUI担当の方々が参加されました。エンジニアはクライアント担当の方々がメインです。
本企画の目的はストレートに「プロジェクトをまたいだエンジニアとデザイナーの交流」。
職種間のお互いの印象や最近の生成AIに関してなどやわらかいトークテーマも入れ込みつつ、各組織で困っていることに対する議論も引き出せるようなテーマを設け、なるべく参加者が有意義だったと思ってもらえる会を目指しました。
ちなみに当社はサービス(事業)ごとにデザイナーとエンジニアが配置されているため、事業部横断の座談会という側面も持っています。
参加者から募集した当日のトークテーマは以下のとおり。
座談会トークテーマ
- 転職経験がある方にお聞きしたいのですが、他社での経験と比較して、ココネのお互いの職種についてどう感じていますか?
- 会社の共通機能としてあったら嬉しいデザイン効率化ツールなどはありますか?
- 実は便利な機能を作ってます、というものがあれば知りたいです
- gitで困っている方いらっしゃいますか?
- 生成AI技術の活用について
- UIから見た「こんなエンジニアの動き方はちょっと困る」をリーダーとして丁寧かつ柔らかく言葉を選んで、でもハッキリと聴きたいです!
印象的だったやりとりをピックアップ
ー転職経験がある方にお聞きしたいのですが、他社での経験と比較して、ココネのお互いの職種についてどう感じていますか
[デザイナー]
ココネのエンジニアの方々は親しみやすくて、カワイイものが好き、ものづくりが好きな方も多いのでお話ししやすいですね!業務以外でも趣味のことなど色々なお話ができると感じています。
[エンジニア]
今までの会社だとデザイナーさんとは心の距離が遠くて、話し合う機会が少なかったり、仕様書をもらってそれ通りに作って終わりといったくらいの関係性のことがありました。ココネに来てから効率化ツールを一緒に作ることもあったり、接する機会が増えています。また、先程あったように、「カワイイもの好き」という共通点から趣味・嗜好が似ていたりして安心して話しかけやすい気がしています。
ー会社の共通機能としてあったら嬉しいデザイン効率化ツールなどはありますか
[デザイナー]
(担当するプロジェクトでは)UnityのPrefabでデザイナーとエンジニアがお互いに触って、それを統合するタイミングで競合が発生することが少なくありません。作業ステータスがわかるようなものがあればいいなと思っています。
[エンジニア]
それは逆にPrefab共通化をきちんとやっているからこそ、全然違う画面を触っていても大元は同じものを参照してしまって競合してしまうということが起こっているかもしれませんね。他のプロジェクトではそこまで共通化していないので、デザインが多少ズレることはあっても作業がバッティングするようなことは起こっていないようです。共通化で楽になる部分とデメリットの部分があると思います。プロジェクトとしてどちらを取るかでしょうね。
ーgit困っている方いらっしゃいますか(エンジニアからの問いかけ)
[エンジニアA]
今はSourceTreeをデザイナー陣にも使ってもらっていますが、エンジニアとしてはSourceTreeを必ず使って欲しいというのはなかったりします。あと、リーダー陣はgitの使い方に問題なくても、チームメンバーの方や全体がどうなのかが知りたいです。時々、gitが競合してその修正に一日かかってしまった、という話を聞いていました。そういった無駄を無くしていけたらいいなと思っています。
[デザイナーA]
時々メンバーでまだわからない方がいて、そこで私が教えるよりは、エンジニアの方に教えていただいた方がいいのだろうなとは思っています。ただ、まだそういう場は作れていないのですが、勉強したいというメンバーはいます。
[エンジニアB]
UIの方々は普段からクライアントエンジニアと関わりがあるので、挙動がおかしくなったら聞ける距離感ではあると思いますが、例えばイラストを描くデザイナーはUIデザイナーほど関わりが多くないので、まだ気軽に聞いてくれないかもしれませんね。
[デザイナーB]
そうですね!そうしたらデザイナー全体を視野に入れたgitのレクチャー会を今後相談させていただきたいなと思いました。
[エンジニアC]
gitに限らず、「作業効率化勉強会」といった感じが良いかもしれません。エラーメッセージに原因が書いてあっても心理的に“読まない”というケースもあるので、まずは「コマンドラインなど触っている上で時々出てくるものは怖くないんだよ」といった勉強会があると、その延長で色々な改善の第一歩になるかもしれません。
ー生成AIの活用について
[エンジニア]
ChatGPTなど文字列の生成AIはコードと相性が良いので、エンジニアではとても便利に活用しています。UIのデザイナー陣にお聞きしたいことは「この画面でこういうボタンをデザインして」と入力したらそれっぽいボタンが出てくる、という生成AIは求めていますか?
[デザイナー]
イラスト系の生成AIツールは多いですが、UI系の生成AIはあまり見かけませんね。そもそも「お客様がこう動くだろうから、この画面やボタンが必要だ」になるので、イラストを出力するのとはまたちょっと違ってきます。あ、でも(UIの)アニメーションを作ってくれるのであれば良いですよね。考える部分は考えないと出てきませんが、そういったところは楽したい(笑)。
ーUIデザイナーから見た「こんなエンジニアの動き方はちょっと困る」をリーダーとして丁寧かつ柔らかく言葉を選んで、でもハッキリと聴きたいです!(エンジニアからの問いかけ)
[デザイナー]
基本的に皆さん優しいですし困っていることもないですね!その上でそうですね、どの職種でも言える話ですが、否定から入るのではなく、どうやったらできるかを一緒に考えられたらいいなと思います。
[エンジニア]
実はエンジニアは「できない」と言うことが多い人たちです(笑)。ただ、エンジニアの「できない」は「(時間がかかりすぎるから)できません」だったりするので、優先度を説明いただいたり「どうやったらできますか?」と聞いていただけるといいかもしれません。
(エンジニア、デザイナー全員納得の表情)
予定されていた時間(1時間)をフルに使い、話が途切れるようなこともなかった今回の座談会。参加された方々も積極的に質疑応答されるなど、“こういった場だからこそ話せる”こともあったように思えます。
座談会企画者のコメント
最後に、本企画を主導した永田に座談会開催の経緯などについて聞いてみました。
ー企画経緯
「サービスをつくる中で、UIデザイナーとクライアントエンジニアは関わりが多く、必然的にコミュニケーションも生まれるので相互理解は深まりやすく、現状に大きな課題があるわけではありません。ただ、昨今新しいメンバーやプロジェクトも増え、社歴のある方たちと比較して、そこまで相互理解を深められてないチームもあるかも知れないな、と思いエンジニアリングマネージャーの齋藤さんと相談して座談会をやってみようということになりました。特定のプロジェクト内で実施してもいいのですが、他のプロジェクトの他職種の方とのコミュニケーションを行うことで、多面的にUIデザイナーやクライアントエンジニアの思考や価値観を知る事ができるため、各プロジェクトのUIリーダーとクライアントエンジニアのリーダーを招いて実施してみました」
ー企画で配慮したこと
「座談会に参加いただくメンバーが主体的に話してもらわないと意味がないので、参加メンバーからトークテーマを募ったり、本番ではなるべく本音で話しやすくなるように、あえてメンバーを限定したクローズドな状況にしたり、BGMを流して少しでもリラックスしてもらえるよう心がけました」
ー今後について
「座談会がひとつ雛形としてできたので、他のチームや職種にも横展開していきたいですね。また、ちょっと話したいなと思ったプロジェクトやチームが、自発的に座談会やそれに近しい活動を実施している状態が生まれたら理想的と考えています」
▲座談会後に社内食堂で実施した懇親会の様子