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雑誌 Software Design 2024年1月号:インタビュー「最新テクノロジーを盛り込んだ『C.A.T. Club』」辛東根・金政澤【前篇】

この記事は「Software Design 2024年1月号」に掲載された記事を許諾を受けて転載しています。

グローバルへ挑戦する ココネのエンジニアリング力を探る

世界に愛されるデジタルワールドでトップレベルの実績

第7回 最新テクノロジーを盛り込んだ『C.A.T. Club』

ココネがグローバルへの挑戦を模索する中で、3Dベースでデジタルアートトイの収集を楽しむ『C.A.T. Club』が生まれた。フィールド内を探索しながら、収集したアートトイで自分だけのコレクションを楽しめるサービスだ。2023年9月にリリースしたばかりのアプリなので、AWS FargateやMongoDB Atlasなど最新テクノロジーを採用しているのも特徴だ。詳細をココネ グローバルスタジオ 辛東根氏と同 金政澤氏に聞く。

━━自己紹介をお願いします。

辛東根(以下、辛)  ココネ グローバルスタジオ C.A.T. Clubプロジェクト 開発チーム クライアントテックリードを務めている辛東根(シン ドングン)です。ゲーム業界では20年ほどの経験があり、ココネにはおよそ10年前に入社しました。おもにモバイルアプリのクライアント開発をしています。

金政澤(以下、金)  同じく グローバルスタジオ C.A.T. Clubプロジェクト 開発チーム サーバーテックリードの金政澤(キム ジョンテク)です。これまで日本と韓国のオンラインゲーム会社やモバイル開発会社でバックエンド開発の経験を積んできました。10年前にココネに入社して、数多くのプロジェクトに携わってきました。

グローバル市場挑戦のため、自分たちの強みを振り返った

━━『C.A.T. Club』について簡単に教えてください。

辛  『C.A.T. Club(Collectible Art Toys Club)』は仮想空間を探検して3Dのデジタルアートトイを発見し、収集して飾ることを楽しむサービスです。現実世界でお気に入りのフィギュアを棚に飾ったりしますよね。あの楽しみを仮想空間で体験するようなイメージです。2Dではなく3Dベースであることも特徴で、3Dのサービスとしてはココネでは2タイトル目となります。これまでココネでは自分の分身を着せ替えるCCP(Character Coordinating Play)が多かったのに対して、『C.A.T. Club』では着せ替えではなくコレクションとディスプレイがメインとなります。

金  グローバル展開も特徴です。これまでもグローバル展開はありましたが、メインターゲットは「カワイイ」が好まれるアジア圏でした。今回のメインターゲット国はアメリカに据えており、キャラクターの雰囲気、全体のUI、サウンド、インフラ構成などもターゲット国に合わせて調整しています。なお、リリース日は2023年9月4日で、実はココネの創立記念日です。

━━どのような背景で誕生しましたか?

辛  ココネは常に新たなことに挑戦しようとしています。例えばAIを活用したサービスやブロックチェーン技術開発にはグループ会社でも取り組んでいます。私たちが次の挑戦として選んだのがグローバルへの展開でした。国内で好評を得ているデジタルワールドを介したサービスで世界に挑もうと考えたのです。

金  世界で通用する私たちの強みは何かと考えました。クオリティの高いアバターやデジタルアイテムを作る技術とノウハウ、自己表現やコミュニケーションを楽しんでもらうためのデジタルワールドを提供することに関しては、誰にも負けないのではないかと思いました。

━━開発はどのように進めましたか?

辛  当初は、すでにローンチしているCCPの3Dサービスである『ポケピア』をベースにプロトタイプを開発しました。しかし、『C.A.T. Club』はCCPがメインではないため、そのまま流用するのは厳しいと判断しました。流用できるものは一部流用していますが、ほぼスクラッチ開発でした。フロントはUnityで開発しています。

金  バックエンドはKotlinをベースにして生産性を重視しています。またフレームワークはSpring Bootです。

辛  プロジェクトが開始されたのは2022年末ごろです。当初はプロトタイプで評価し、本格的に開発を始めたのは2023年からです。

3Dベースのアプリ開発におけるチャレンジ

━━3Dベースだと開発にどのような影響がありますか?

辛  3Dになるとアセットの容量が大きくなりがちで、制作プロセスも工数がかかります。ベースとしているこれまでのアプリは2Dが多いため、いろいろと作りなおしています。実際にお客様がダウンロードするアイテムはさほど大きくなりませんが、デザイナーがアイテムを制作するときの作業データはかなりのサイズになってしまいます。アプリの肥大化を防ぐために、アセットとアプリのプロジェクトでワークスペースを分離しています。これでリリースもしやすくなりました。

金  キャラクターの見た目もかなり違いますよね。

辛  描画はUnityのURP(ユニバーサルレンダーパイプライン)を使っています。URPは汎用性が高く、軽量かつ新機能の導入が容易です。
 3Dサービスでは、光の表現も世界に没入するのに大切な要素です。『C.A.T. Club』の世界にも時間の経過を盛り込んでいますが、時間の進行は現実世界と同じではなく8時間周期としています。毎日大体同じくらいの時間帯に遊ぶ人も、昼夜いろいろな世界を体験してもらえるようにしています。

━━どんな課題がありますか?

辛  Unityの開発ツールに関しては、『C.A.T. Club』で重要視している「リアルな3D表現」のために必要な機能が少しずつ増えてきていますね。

━━バックエンドにはどのような特徴がありますか?

金  先ほども述べたように、これまでのグローバル展開サービスはアジア圏をメインターゲットにしていたため、サーバはAWSのシンガポールリージョンに設定していました。しかし、今回はアメリカをメインターゲットとしているので、バージニア北部リージョン(us-east-1)に設定しています(図1)。ココネのアプリでは初です。


辛  今のところ、開発は東京(日本)のみで行い、アメリカではおもにリーガルやマーケティングを担当するという体制になっています。

金  距離があると通信の遅延が問題になってきますが、そこはGlobal Acceleratorを入れて、快適に遊べるようにしています。

辛  コンテナも使っていますよね。

金  これまでココネでは、Amazon EC2でECS(コンテナオーケストレーションサービス)を採用したサービスや、途中からAWS Fargateを使用するようになったサービスはありましたが、最初からAWS Fargateを採用しているのは『C.A.T. Club』が初めてです。FargateにするとECSのインスタンスの運用から解放されるので、管理がとても楽になりました。


続きは後編で


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