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良品計画の元社長の松井忠三さんに教えてもらった「良い組織・悪い組織」の条件とは?


今日はアントレプレナー塾という経営者のための塾に参加していました。この塾は、僕が19才のころに会社を作ったきっかけとなった塾で、いまだに大変お世話になっています。207回目の今回、特別講師を務められたのが良品計画の元社長、松井忠三さんです。良品計画と言えば、売り上げは3788億円、459億円の経常利益。国内・海外合計876店舗ある無印良品が有名です。場所は銀座の交詢社。福沢諭吉先生がが提唱し、結成された日本最初の実業家社交クラブです。名称は「知識ヲ交換シ世務ヲ諮詢スル」に由来しています。

そんなプロ経営者はどういう組織を良い組織だと捉えているのでしょうか。この記事では、今日お話しされたことの中で、個人的に印象に残ったことを抜粋して、紹介します。

幼い組織と高度な組織

レベル1.全てを人のせいにする組織

レベル1は全てを人のせいにする組織です。この組織では、役職者が度々責任辞任します。実際、良品計画でも、売上が芳しくなった時、3年間で5名の部長が変更になったという過去を明かしてくれました。

  • 例)衣服・雑貨の不信は衣服・雑貨部長の責任だ、のような論調
  • 売り上げの悪いのは店長の責任=人災だ、という他責組織

レベル2.人ではなくやり方が悪かったと思う「経験主義」型組織

この組織の場合、人ではなくやり方が悪かったのではないか、と考えます。例えば、冷夏や暖冬の際の対策など、イレギュラーなことが起きた時の対策も経験さえあれば、乗り切れると考えるのです。ですが、ここにも課題があります。100名の店長がいたとしたら、100通りのやり方が生まれてしまいます。そうすると、「何が一番良いやり方なのか」、という考え方が不明になってしまい、ノウハウが属人化してしまいます。

レベル3.仕組み、構造を変えなければ行けないと考える「仕組み組織」

属人化するのではなく、在庫コントロールや自動発注などシステムを取り入れて、仕組み化するという考え方がレベル3です。もともと人がやっていた作業をシステムに担ってもらうことで、効率化したり、最適化をしたりします。これにより、ノウハウの属人化を防ぎ、仕組み化できます。ですが、それだけでは、冒頭にあったようなシステム化できていないものについての問題が起きた時、結局誰かのせいにする「他責」が生まれる可能性があります。

レベル4.考え方や価値観から変えた「実行組織」

飲み会で上司や部下の悪口が出ない、と言うのがいい会社です。これは人の常として、何か問題がある時に、「悪いのは自分だ」、と思える人はあまりいないのが普通です。悪いのは上司や会社だ、と思う人が多いでしょう。だからそれぞれが自責にした上で、全員でビジネスを盛り上げていく。そう言う会社にしないと長続きしないのです。

  • 例)自ら考えて自ら動く
    • エンジン内蔵型人間=自律的人間
    • 改善提案を高速に繰り返す

業務標準化のためのMUJI GRAMという発想

松井さんが社長に就任する前はみんな徒弟制度でした。背中をみて育つやり方を採用していました。ですが、そうなってしまうと、常に70点の店舗作りになってしまいます。これではいけないということで、業務標準化のためのマニュアルを作った、と松井さんは振り返ります。

一方、実際に「マニュアルを作る」、と宣言したら、みんなに反対されたというエピソードも披露してくれました。「文化と感性を生かさないんですか?ロボットを作ろうとしてるんですか?」と言われたそうです。ですが、このマニュアル作りをやり抜いた。その結果、強烈な再現性を持つ組織になったと言います。

一方で仕事は1年2年どんどん変わります。その結果、埃をかぶるマニュアルは意味がない。そのため、ひたすらメンテナンスすることを前提のマニュアルにしました。

現場では毎月提案をだし、マニュアルの改善策を報告・作りっきりではなく、ひたすら改善していくのです。それがMUJI GRAMです。

今や13冊・2000ページのマニュアルで業務の標準化と見える化を実現。「隣の人がやっていることを普通にやっていれば、うまくいく」という体制を組むことができました。しかも、このMUJI GRAM、古くならないことが大切。そのため、毎月20ページずつ更新されます。

松井さんのこのお話を聞くと「どうやってマニュアル整備を徹底していくんですか?」とよく質問されるとのことでした。ですが、1回やり始めるとその通りやってくれる。大事なのは「空気のような仕組み」。それがあることが当たり前になってしまえば、ない方が不自然になるというわけです。

やはり、当たり前を作るという意識でやり抜いた力強さは最初に取り入れないといけないのでしょう。

グローバル化を成立させる条件

では、良品計画のようにグローバル化を成功させるためにはどうすればいいのでしょうか。これについても松井社長の答えは明快でした。

1.ブランド
2.オペレーション力(実行力)
3.ビジネスモデル

この3つだと言うのです。一方、何もしなければブランドはすぐ陳腐化していくと危機感を露わにします。ブランドを磨き続けないと維持することはできない。投資回収が非常に早いようにしないといけないため、ビジネスモデルは重要。だが、ビジネスモデルがいくら優秀でも、実行力の方が大事だ、と松井さんは言います。

これには理由があります。もともと、良品計画はセゾンのグループ会社でした。セゾンは、企画中心で戦略が強かった。しかし、松井さんは「セゾンの常識は良品計画の非常識」という方針を掲げます。セゾンのやり方ではなく、自分たちのやり方でやり抜くことを決意したわけです。

その上で、歌舞伎の例を用いて、松井さんは「型破りと形無し」について話してくれました。基礎がしっかり出来ていて、そのうえで型やしがらみを打ち破ることが型破りで、基礎も何にも出来ていないのに、あれこれとやることを形無しと呼ぶ、と。セゾンから学んだ基礎があるからこそ、あえて、自分たちのやり方を打ち立てた。この考え方は、まさに型破り、と言えるでしょう。

せっかく学ぶ機会を得たので、自分たちの組織も考え方や価値観から変えた「実行組織」として行かなくてはいけない、と強く思った一日でした。

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