CLOCK・ITが2018年にリリースした『mamacoco(ママココ)』は、ベビーシッターのマッチングサイト。3名のプロジェクトメンバーが語るエピソードから、汗と涙の結晶である自社サービスの開発・運用の舞台裏に迫りました。
メンバー紹介
上甲さん:役割分担や意思決定、最終承認を行う『mamacoco』のプロジェクトリーダー。卓越した技術力と鋭い洞察力、それでいて親しみやすい人柄で、メンバーからの人望も厚い。
牛谷さん:設計から仕様まで『mamacoco』の裏側を知り尽くした敏腕エンジニア。CLOCK・ITへの転職と同時に、業務系からWEB系へのキャリアチェンジを果たす。通称ウッシーさん。
堀江さん:保育士からエンジニアへ異例の転身。ベビーシッターとの面談やユーザーの問い合わせ対応など、運用面を一挙に引き受ける。前職の経験や人脈を生かして、『mamacoco』のユーザー拡大にも貢献。
修復の嵐。それでも、心が折れなかった理由。
【堀江】:早速ですが、私がプロジェクトに入ったのは2019年なので、プロジェクト創世記のエピソードをたくさん聞きたいです。初期の開発は外部に委託していたとのことですが、なかなかの波乱万丈な幕開けだったとか?
【上甲】:えぇ、まぁ(笑)要件定義が曖昧なまま動き出し、明確な仕様を伝えていたわけでもなかったため、当然ながら納品された成果物もそれなりのもので。エンジニアからの申し送りが中国語で書かれていたり、こちらから提出したソースコードとは別のものが使われていたり、さぁどこから手をつけよう・・・といった感じでしたね。
【堀江】:そんな中、開発メンバーとして選ばれたのが、2016年入社の牛谷さんだったわけですね。
【牛谷】:実は、CLOCK・ITに入る前は業務系の開発経験しかありませんでした。『mamacoco』の開発で使うのは、触ったことのない言語だったし、Macを使うのも初めてだったので、未知の領域に足を踏み入れる気分でした(笑)本当に僕でいいのかって。
【上甲】:経験値よりも、コミュニケーション力や柔軟な対応力が当時の『mamacoco』には必要だったので、そこを持ち合わせていたのがウッシーさんだったんです。そこで、膨大なタスクを整理して、ウッシーさんがWEB系の開発にスムーズに馴染めるような業務からお願いしていました。ウッシーさん、黙々とこなしてくれていましたよね。
【牛谷】:先入観がなかったことが功を奏したんでしょうね。そもそも自分はWEB系のソースを見たことがなかったので、「こんなものか」と割り切って、ひたすら修復に没頭していました。馴染みのあるJAVAやC#は型がしっかりと決められている言語であるのに対して、『mamacoco』の開発言語であるPHPはルールが緩いので、多少曖昧な記述でも動作するんですよね。その緩さに慣れるまでは苦労しましたけど、やるしかなかったですから。
【堀江】:ガツガツと手を動かしている牛谷さんの姿が目に浮かびます・・・。
【牛谷】:身近にべビーシッターを利用したことがある人がいなくて、もちろんメディアやWEBサイトから情報収集はしていましたが、リアルな声に触れる機会がなかなかなかったんです。サイトとしては何とかカタチになったものの、リリースしてからも正直、ずっと手探り状態。当時は、シッティングの依頼が入るたびに「おぉ!」と驚いて(笑)初めてマッチングできたときの感動は今でも忘れません。
【上甲】:そうそう、リリースしてからようやくサイトの全体像や機能の必要性がイメージできるようになったというか。そして、しばらくして保育士出身の堀江さんが現われて、『mamacoco』は発展を遂げるという・・・。
ログインって何?メニューは何処? 初めて知った、ユーザーの実態。
【堀江】:ずっとプログラミングに興味があって、IT業界で仕事を探していたところCLOCK・ITに出会ったんです。保育士時代の経験を『mamacoco』に生かしてほしいと言っていただき、今に至ります。ちなみに私、エンジニア経験はゼロでした。
【上甲】:ベビーシッターはお子さんを相手にするので、保育士経験のある堀江さんなら接し方や遊び方についてシッターさんをフォローすることもできるし。何より、どういうサイトが使いやすいのか、どんな機能が必要なのか、ユーザーに近い視点で意見してもらえることが大きかったですね。
【堀江】:シッターさんも親御さんも、全員が『mamacoco』のようなサイトを使いこなせるわけではなくて。ログイン方法がわからない方、メニューボタンの意味がわからない方って実は結構多いんですよ。日々、『mamacoco』のお問い合わせ対応をさせていただく中でキャッチアップした声を上甲さんや牛谷さんに伝えて、サイトの改善に役立ててもらっています。
【上甲】:他にも、シッターさん向けのガイドラインの作成、資料のダウンロード画面のコーディングなど、役割は多岐にわたりますよね。『mamacoco』の運用は、堀江さんの手腕にかかっています。
【堀江】:そのプレッシャーをやりがいに変えられるように、精進します。私はプログラミングも未経験だったので、戸惑うことばかりで・・・。「サイトのこの部分、どうなってます?」「これはどこから持ってきたデータですか?」って、開発側の牛谷さんには今でも毎日質問攻めです。
【牛谷】:いやいや、今まで気づけなかったことを教えてくれるから、本当に助かっています。おかげで、今では月に数十件は当たり前にマッチングできるようになりました。やっと努力が花開いてきたという手ごたえも感じています。
【上甲】:よくここまできたなという慰労の気持ちがある反面、ユーザーの属性や利用傾向を知るには、分析できるだけの登録者数が必要なので、ユーザー数の拡大はまだまだ課題ですね。
強みは、紆余曲折の日々の中で鍛えられた柔軟性。
【堀江】:私からしたら、エンジニアの大先輩であるお二人の存在そのものが『mamacoco』の強みです。
上甲さんは技術力も人柄も、どこから見てもリーダーに相応しい方ですし、牛谷さんは、絶え間なく続く私の質問に真摯に向き合ってくれて、尊敬の念しかありません。
【牛谷】:上甲さんのカリスマ性、ハンパないですからね。猪突猛進タイプの僕が気づいていない点を指摘してくれます(笑)堀江さんは、『mamacoco』の窓口として、社内のメンバーからの問い合わせをまとめてくれて、僕がこうして開発に専念できるのは、二人のおかげですよ。
【上甲】:その“カリスマ”っていうのやめてください(笑)何か褒めあいになってますけど、僕らのいいところって、何といっても、柔軟性じゃないですか?突然振ってくる要望や懸念点に対して、一旦冷静に受け止めてからタスクを整理する。トラブル続きだった日々の中で、だいぶ鍛えられたんでしょうね。
【牛谷】:社長や上甲さんのジャッジが早いから、現場は動きやすいんです。「この部分、どうなってますか?」と聞いて、1週間くらいレスがなくて、結局開発が滞るという他のシステム会社でありがちな負の連鎖が、ここでは全く起きない。
【上甲】:ウチの場合、ミーティングには社長も同席しているし、そこで全部話しちゃいますからね。社長はお子さんがいらっしゃるので、『mamacoco』のサービスや子育て論について、アドバイスをくれることも。
【堀江】:経営陣を優良顧客に持つ『mamacoco』。それもまた強みだったりして・・・。
やりたいことだらけ。『mamacoco』がデファクト・スタンダードとなる未来へ向けて。
【堀江】:『mamacoco』の未来構想のひとつとして、英会話や音楽、運動などの専門性を持つベビーシッターが子どもの教育をサポートできるようなサービス展開があると思います。そのためにこれから私たちがすべきことってどんなことでしょうか?
【上甲】:今まで以上にユーザーファーストを意識したサイトづくりが重要かと。サイトの質が高まればGoogleに評価されやすくなりますし、結果的に検索上位を狙えるようになりますから。待機児童問題や共働きの家庭が増えている中で、『mamacoco』のサービスがデファクト・スタンダードになる、そんな未来を実現したいです。
【牛谷】:そのために、私はまず自分の頭の中にしかないサイトの設計や仕様について1日も早くマニュアル化しなければ・・・(汗)サイトデザインの見直しや機能拡張のための足固めが、僕のミッションですね。
【堀江】:私は、お子さんがいる方とのコミュニケーションを増やしていきたいと思っています。保育士時代の先輩や友人に『mamacoco』を使ってもらったり、サイトに対して意見をもらうんですが、結構鋭い視点でアドバイスをくれたりするので、本当に勉強になるんですよ。だから、ママさんエンジニアが入ってくれたら嬉しいです!
【上甲】:それ、いいですね! WEB上でアプローチしきれない層との接点は、今後のユーザー拡大において大きな武器になるので、堀江さんも引き続きアプローチ頼みますね!ウッシーさんは、こんな人と働きたいっていうイメージあります?
【牛谷】:やっぱり、チームのために動ける人じゃないですか。周りを見て、自分ができることを見つけたり、できるかわからないけどやってみようかなという姿勢が、チームのためになるんです。『mamacoco』に限らず、エンジニアって皆そうであるべきだなと。
【上甲】:そんな高い視点とチームを意識した行動に、『mamacoco』は支えられてるんですね・・・(感動)。二人にはさまざまなタスクを振っているにも関わらず、必ずやり切ってくれるし、その上で新たな課題を見つけてチャレンジしてくれるので、感謝しかないです。今、この記事を見てくれている未来の仲間と一緒に、『mamacoco』を盛り上げていきましょう!