こんなご時世にオフィスを拡大するという暴挙にうって出ました、Casieの藤本です。いや、正確には“初めてオフィスをつくる”が正解です。今回は京都の五条堺町通りにある3階建の物件丸ごとCasieとなります。Casieでは創業以来オフィスが存在せず、BASEと呼ばれる倉庫物流拠点しかありませんでした。
出社するオフィスがなかったので、BASEに出勤して1つのダイニングテーブルを4人でギュウギュウになって座るか、リモートワークするかの2択しかありませんでした。
ちょっと最初に懐かしい数字をまとめましょうか。
これがBASEの歩みです。創業当初は大阪にありました。創業当初の四條畷BASEは創業メンバーの親父さんが経営されてる工場の一部屋を間借りさせてもらってた。ご好意で賃料無料でした(涙)
次が京都の十条BASE。ここには2年半いて、事業の骨子全てがここでつくりあげられました。そして今月より3代目となる五条BASEが始動します。
オフィスがずっとなかった理由
オフィスをこれまで構えてこなかった最大の理由はリソースです。つまりお金がない。箱に対する投資は全てBASEに集中させる必要がありました。あとは、ぼく自身がサラリーマン時代からデュアルライフ(二拠点生活)がスタンダードだったので、リモートワークが当たり前でした。新型コロナでリモートワークに対する理解が普及した今とは違い、最初はいろんな人に「リモートだとチームは成長しない!」と言われ続けてましたね。
BASEが京都にある理由
これたまに聞かれますが、創業期のストーリーが関係しています。創業当時Casieは自己資金だけで経営してました。アートでの売上が立ち始めるには相当な時間がかかることが想定されてました。とは言え生きていく必要があるので、ぼくが出稼ぎをする担当になり、共同創業者の宏輔がBASEを作り上げるというミッションを分けました。当時から宏輔が京都に住んでいたため、BASEを四條畷から京都に移すことになったというワケです。
仕事をしに行く場所ではなく、コミュニケーションを取りに来る場所にしたい
五条BASEは1F、2Fが倉庫物流機能となっており3Fがオフィス空間になります。6月19日から家具が徐々に入りますので上の写真はリフォームが終わったばかりで何もない状態。
さて今回、これまで作ってこなかったオフィスをなぜつくるのか。しかも新型コロナでリモートワークが定着しつつあり、オフィスを手放す動きが目立つこの最中に。
ぼくが目指してるオフィスは「仕事をしに行く」ではなく、「コミュニケーションを取りに来る場」です。
”目指してる”としたのは、Casieとしてもぼく個人としてもオフィスをつくるのが初めてのことなので、実際どうなるかわかりません。大切なのはオフィスの定義です。世間的にはオフィスは出勤して仕事をしに行く場と定義されています。決まった時間に、決まった席で、決まった仕事を、決まった時間までする。
ぼくはこの常識を逆張りの精神で変えてみたいと思ってます。
ポイントは「行く」ではなく「来る」です。
×「私は今日、オフィスに行かないといけない」
○「オフィスは今日もコミュニケーションを取りに来る人でいっぱいです」
毎日一緒にいないからこそコミュニケーションや情報の精度は上がる
創業以来リモートワークを導入してきたのですが、その時に1つ発見がありました。それはBASEに週に何度かメンバーが自発的に集まっているということ。
「今日は誰それとMTGしたかったので来ました」
「誰それさんに聞きたいことあったので来ました」
「翔さんと飲みたくて来ました」(言われたいセリフ、ただの願望)
Casieではこれまで普通に「行く」ではなく「来る」という言葉が使われてました。みんなは気付いてないかもしれないけど、これはとても良い状態だと察しました。そしてメンバー同士のMTGを聞いてると、その精度が非常に高いことも発見の1つでした。
わざわざ移動してBASEまでMTGしに来るわけですから、潜在的に「無駄な時間にしたくない」とお互いが思っているからでしょう。これがもし毎日となりの席にいるとなれば「また今度、聞けばいいや」とかで後回しになるかもしれません。
また、その場で決まったことを各自リモート環境に持ち帰り、集中して作業をするためアウトプットが速いのです。オフィス空間にいるとついつい自分で調べたらわかることを「誰それさん!ちょっと教えて!」とかで誰かの手を無意識に止めてしまいガチ。その細かい時間の蓄積がアウトプットのスピードを落としてるのかもしれません。
Casieオフィスは生産性とクリエイティブを引き上げる秘密基地になる
Casieオフィスは毎日来るメンバーもいれば、週に1回も来ないメンバーがいる空間になるでしょう。どうワークするのかは始まってからのお楽しみです。ぼくがCasieオフィスをどうしたいのかを最後に書くと、生産性とクリエイティブを引き上げる秘密基地にしたいです。
リモートワークが定着した組織をもっと強くする存在こそが、コミュニケーションを取りに来るオフィスだとぼくは考えてます。先に書いた通り、毎日一緒にいないからこそ、一緒になった時の生産性が更に高まる。
スタンドバイミーという映画を見たことありますか?12歳の少年4人の青春物語です。ぼくはあの映画がとても好きで、小学生の頃にこの映画に影響されて友達と秘密基地をつくりました。
▼スタンドバイミーに登場する秘密基地
この秘密基地の中では12歳の友達同士が集まり、いろんな悪巧みを考えます。トランプで賭け事をしたり、タバコを吸ったり。秘密基地にはいつも誰かが来てます。そしてそこから生まれる想像の世界はどこまでも広がる。以前、どこかで書いたかもしれないけどぼくにとって「仕事とは世界に対するイタズラ」です。
世の中の誰もが信じないコトを信じ通すためには強い信念が必要です。でも強い信念だけでは折れてしまいやすいので、ぼくはこのイタズラ心もセットで必要だと考えてます。イタズラ心が刺激される秘密基地で世界が驚くクリエイティブが生まれるようなCasieオフィスにしたいと思います。
おしまい。