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ECFを社会に必要不可欠なインフラへ。 スタートアップとエンジェル投資家を繋ぐCAMPFIRE Angelsの目指す未来。

事業創造への挑戦に、応援と資金が集まる社会をつくりたい──。

「あらゆる事業創造=スタートアップ」をクラウドファンディングの力で加速させる存在となることを目指しCAMPFIRE Startupsは誕生しました。

私たちは資金調達をしたいスタートアップ企業と、投資したいエンジェル投資家を繋ぐ株式投資型クラウドファンディングプラットフォームCAMPFIRE Angelsを運用しています。

今回はCAMPFIRE Angelsリリース1周年を記念して、代表取締役の出縄と取締役の田中で対談を行い、この一年の振り返りと、これからのサービスとしての展望を語っていただきました。

リリースからの1年間を振り返って

田中:まもなく「CAMPFIRE Angels」は1周年迎えますが、改めてCAMPFIREに参画した経緯、またGoAngelから引き継いだものや変えたものをお聞かせください。

出縄:そもそも我々がCAMPFIREと合流したのは、理念が非常に近いからです。クラウドファンディングとは、プロジェクトや企業の想い、目的に共感した多数の人から、資金を集める仕組みです。

株式会社の仕組みとはまさにそうで、株主とは事業を一緒にやっていく仲間になるということでもあります。皆が参加して一つの方向に事業を伸ばしていく。このような理念をGoAngelは持っていました。GoAngelでは、まずは会社の周りの方々を株主にしていく、「拡大縁故募集」という方式を取っていました。しかしこれには募集範囲や規模に限界があり、また社長の人脈力によるばらつきもあります。

そこで我々はエンジェル投資家に注目しました。身内ではない、外部の方でもプロジェクトを見て共感してくれば、想いを持って投資してくれるのではないか。

CAMPFIRE Angelsは共感する投資家を外部から募っていく。ここがGoAngelには無い新しい切り口です。これは世界に遅れを取っているエンジェル投資文化を日本に広げることができる手法です。そして特定の富裕層だけがエンジェルではなく、誰でも少額でエンジェルになれる入り口でもあります。この方法なら、誰もが共感してプロジェクトに参加できると考えました。そしてこれらは、CAMPFIREの力があってこそ、より広げていけると思いました。

出縄良人(でなわよしと)
株式会社CAMPFIRE Startups 代表取締役 /公認会計士
慶應義塾大学経済学部を卒業後、太田昭和監査法人(現:EY新日本有限責任監査法人)に入社。公認会計士として主に株式上場コンサルティング業務に従事。1997年にディー・ブレイン証券を設立し、株式投資型クラウドファンディングの前身の中小企業向け証券市場「グリーンシート」を主導。同市場の株式公開主幹事で9割を超えるシェアで、2010年までに141社に対して112億円のエクイティファイナンスを支援。2004年には上場引受主幹事業務にも進出し14社を上場。多くの非上場企業へのエクイティファイナンスやIPO支援を手がけた。2010年に同社の代表を退任後、2015年にDANベンチャーキャピタル(現:CAMPFIRE Startups)を設立。

田中:出縄さんがGoAngel時代から取り組まれてきた「拡大縁故募集」は、非常にクラウドファンディング的というか、CAMPFIREでの購入型クラウドファンディングにも多く見られる方法ですよね。目指す世界観はもちろん、そういう意味でも、CAMPFIREとのシナジーは強く期待出来たのではないかと思います。

田中:少し切り口は変わるのですが、この一年で、特に強く記憶に残っている案件はありますか?

出縄:全て記憶には残っていますが、特に成功しなかった案件は記憶に強く残っています。もっと改善策があったのではないかと悔しい思いです。それぞれが素晴らしい案件でありました。オリンピックでいうと、「メダル取らせてあげられず悔しい」という気持ちに近いですね。融資等の他の資金調達方法のサポートをさせて頂いておりますが、不成立という結果は真摯に受け止めて、今後活かしていきたいです。

成功した案件で印象に残っているのは、Gigi株式会社さん。第一号案件ということもあり、正直全てが初めての事なのでどうなるのか想像できなかったです。募集成功した際は非常に嬉しかったですね。この成功があったからこそ我々の今に繋がっていますので、大変感謝しています。今後も益々発展してほしいですね。

田中:確かに、最初はもう全て手探りの中、しっかり投資家さんがついてきてくれたということが、とても嬉しかったですね。僕らの不慣れな運営に対して、信じて託してくれたGigiさんには感謝の気持ちでいっぱいです。

田中:それ以外でとなると、僕は鳶浩工業さんがとても印象的でした。いわゆる「ザ・スタートアップ」とは少し異なり、これまで堅実に解体工事の現場に取り組んでこられたからこそわかる「解体工事現場における安全課題」という、業界特有の、しかし大きな課題解決を目指したプロジェクトでした。一般の個人投資家さんだけではなく、多くの同業者さんが共感して株主となってくれていました。

田中駆(たなか かける)
株式会社CAMPFIRE Startups 取締役 執行役員 経営戦略室長・プロダクトマネジメント本部長。1992年生まれ、神奈川県横浜市出身。横浜市立大学起業戦略コース卒業後、ベネフィットワン、ランサーズ、パラフトにて、セールス・経営企画・DX推進・新規事業企画に従事。2018年に株式会社TOMOSHIBIを創業、代表取締役CEOに就任。2019年4月に株式会社CAMPFIREに事業売却し同プロダクトオーナーに就任。2020年12月より株式会社CAMPFIRE Startups(旧:DANベンチャーキャピタル株式会社)取締役就任。

出縄:まさにGoAngel的な感じでしたね。

田中:本当にそうですよね。VCさんからの出資ではなく、他のECFプラットフォームさんの利用でもなく、僕らCAMPFIRE Angelsが存在する意義とは、まさにここなのではないかと改めて実感しました。まさに出縄さんがやってこられた拡大縁故募集を、マーケティングやSNSなどの利用により広げることができたのではないかと。

出縄:そうですね。これはCAMPFIRE Angelsの今後の方向として1つのモデルになったのではないかなと感じましたね。ピッチページのインタビュー動画により社長のお人柄が伝わり、より多くの方からの共感が得られた印象です。クラウドファンディングの良いところが活かせた案件であったと思います。

なぜ「株式投資型CF」に取り組むのか

田中:出縄さんはこれまで大変長く、非上場会社の資金調達に取り組まれています。その出縄さんが思われる「株式投資型CF:ECF」の存在意義は、どんなところにありますでしょうか。

出縄:まだ社会に定着していない「非上場会社と個人投資家を直接繋げるプラットフォーム」として、社会に必要不可欠な存在=インフラになりたいと思っています。10年後には社会に必要とされる存在になっていたい。

普及していくためには、ECFが経済の中で一定のボリュームを担う必要があります。上場をしていない企業200万社のうちの10%、つまり毎年新たに2万社、10年で20万社がECFを使っている状態にしていきたいですね。

例えば、銀行や信用金庫は現在、必要不可欠は存在ですよね。我々は投資銀行として、そんなインフラと言える立場を目指したいですね。

そして社会全体の経済成長を支える仕組みを作りたいと考えています。資金供給の担い手となり、我々が経済を引っ張る存在になりたいですね。

今は大企業が多数ありますが、昔はみんな中小企業でした。でも大企業がこれだけ増えると次の新しい大企業が増えるパワーがなくなってきてしまいます。我々がサポートした中小企業が例えば50年後に大企業へ成長できるような資金供給インフラを作りたいです。

田中:確かに、現在株式会社がそれだけある中で、エクイティを用いた資金調達に挑戦している非上場会社はごく一部ですよね。スタートアップのみならず、日本国内の非上場会社の挑戦を支えるという観点で、なくてはならない存在になりたいと、僕も思います。

既存の金融制度や投資マーケットとは目指す方向や性質が違うというだけでエクイティファイナンスが難しくなってしまっている、そんな会社にこそ、ECFは挑戦する場所であるべきではないかとも思っています。

田中:逆サイド、投資家に向けたECFの存在とはどのようなものでしょうか。

出縄:投資家を特別な存在ではなく、もっと普遍的な存在にできるのがECFであると考えます。みんなが普段からスタートアップ、成長志向のある会社にエクイティで資金供給をしている。それが当たり前になる世界を目指したいです。投資するという行為が当たり前である世界にしたいですね。

CFを通じて応援するプロジェクトに資金を供給することが日常茶飯事になって欲しいです。またプロジェクトもより日常化して立ち上がる世界を作りたいですね。それがまさに我々の目指すところのインフラです。

これからの「CAMPFIRE Angels」

田中:ECFがスタートアップや個人投資家に向けてどんな存在意義を持っているのか、改めて言語化できてきましたね。そんな未来に向けて、これからの「CAMPFIRE Angels」はどんなプラットフォームになっていくでしょうか。

出縄:まずは、未上場株を流通できる仕組み作りをしたいと考えています。
証券市場は発行市場と流通市場の両輪だと言われています。流通が活性化し資金回収できるとリスクが減るので、投資がスムーズになります。そのような機能を当社にも設けていきたいです。

ECFでの流通市場としては例えば、IPOやM&AがEXITとしてありますが、これはかなり先となる上に、不確実性も高いのが現状です。

そこでまずは株主コミュニティに参入していきたいと考えています。参入の仕方については、例えばPTSを取る方法があります。しかしこれでは流通が高まらなかった経験があります。流通が少ないと価格形成機能がぶれ、公正な市場になりません。また小さな案件でも流通できるマーケットメイクという制度がアメリカにあります。しかしこれはJASDAQで採用が検討されるも実現には至りませんでした。

これまでの経験を踏まえ、まだ世の中に無い、新しい切り口で流通市場の仕組みを作り出していきたいと考えています。

田中:非上場株式に投資をする個人投資家としては、EXITによる大きなキャピタルゲインへの期待はもちろんあるとして、もう少し流動性高く株式を保有できるようなマーケットができると、確かに安心して投資できるようになりますよね。

田中:資金調達後/投資後の世界観は間違いなくそこに近づいていくとして、僕は更にその前、資金調達の前段階で、個人投資家とスタートアップの新しい接点を生み出して行きたいと考えています。

これは正直まだあまり表に出せない段階なのですが、現在既に1万人近い規模になってきているCAMPFIRE Angelsの個人投資家ネットワークを、資金調達前のスタートアップが有効活用できるようにする仕組みを構想中です。

個人投資家の皆さまにとっても、投資する前の段階から、いずれは投資したいスタートアップと出会えることで、よりエンジェル投資を深く体感し楽しんで頂けるものにできると考えています。

出縄:確かに、それは以前から提唱している「日本の個人投資家育成」という観点でも、非常に有効なものになりそうですね。楽しみです。

田中:そうやって個人投資家とスタートアップの関係性を強く広く育てていくと同時に、現在の日本国内におけるスタートアップエコシステムを形成している他のプレイヤー、例えばVCさんや行政さんとの連携も強化していきたいと思っています。

スタートアップにとって資金調達は一度で終わるものではなく、事業成長を目指す上で何度も何度も繰り返していくもの。その中で、他のスタートアップ支援制度や資金調達手段とも上手く連携させながら、一つの選択肢としてのECFというポジションを確立していくのも、僕らの重要なミッションだと考えています。

出縄:直近でプレスリリースを出してくれていた、神奈川県さんや南相馬市さん、talikiさんとの連携がまさにそうですね。

田中:まさに、です。CAMPFIRE Angels単体としての実績も、もちろんまだまだ遥か先まで積み上げていく必要があります。しかしそれだけやっていれば良いかというと、もちろん違う。出縄さんが仰る「インフラ」となることを実現するためにも、こういった取り組みは今のうちから積極的に取り組んで行きたいと思っています。

出縄:いずれインフラとなっていくCAMPFIRE Angelsにご期待頂いて、未だ黎明期であるECFを一緒に創り上げて下さるようなスタートアップ企業さんや個人投資家さんに、ぜひご利用頂きたいですね。

※新型コロナウィルス感染対策として検温や除菌を徹底した上、撮影時のみマスクを外しております。


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