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教科書で読むようにPMFは進まない 〜スタートアップの現実〜

こんにちは。久々に記事を投稿します。
今回は、BPMの開発しているSaaS『Qosmos』が何を提供しているのかを紹介したいと思います。


メンテナンス施工管理システム、建物メンテナンス業務用SaaS、SaaS型メンテナンス業務用ERP、クラウド型CMMS・・・

BPMがQosmosの開発に着手してから3年。
これまで、その開発は紆余曲折あり、でき上がったプロダクトの呼び方も様々に変わってきました。
今も自分たちが開発しているものを、どのように定義すべきなのか、日々可能性を探っています。

最大の難関PMF

紆余曲折とは何か。

いわゆる「PMF(Product Market Fit)」というやつです。

あらゆるスタートアップにとって、最も大切なことが「PMF」です。
簡単に言えば、プロダクトが特定の顧客層のニーズを満たし、お金を払ってもらえる状態を作り出すことです。いくらプロダクトを作っても、顧客からお金を払う価値がないと判断されれば、それは単なる趣味の範囲を超えません。

スタートアップが、ベンチャーキャピタルなどの投資家から資金を調達する上でも、PMFは大きなベンチマークとなります。顧客からお金を払ってもらえるプロダクトを完成することができているか、その単価はどれほどか。顧客から支払ってもらえる単価が高いプロダクトほど、顧客の本質的な課題を解決したプロダクトだと評価されます。


しかし、このPMFが本当に難しい。多くのスタートアップがこのフェーズで行き詰まります。
PMFに至るまでのハードルを簡単に書くと以下のようになります。
(リーンスタートアップのフレームに当てはめてみます)

①【課題の発見】    :顧客の課題らしきものを発見し、それを課題だと仮定する
②【課題解決のアイデア】:仮説をもとに課題解決のアイデアを考える
③【MVPの開発】    :課題解決のMVP(実用最小限の製品)をつくる
④【仮説検証】     :MVPを顧客に提供し、課題と解決手段の仮説検証をする
⑤【改善/作り直し】  :顧客を観察したり要望を聞きながら、MVPを改善または作り直す
⑥【販売】       :同じような課題を抱える顧客を開拓する


教科書で読むようにPMFは進まない

BPMの場合、自分たちが元々、内装工事業を行っていたので課題は明らかでした。
むしろ問題は、課題がありすぎたことです。
建設業、不動産業界は課題だらけ、著しくIT化が遅れていました。

自分たちが直面している課題のどこから着手すべきなのか。
業界共通の課題とはどれか。

代表のほとばしる夢と妄想!!!
当然ながら起業家である代表は事業に思い入れがあります。理想を追いかけます。
自らが業界の「不」をリアルに感じてきただけに尚更です。
その想いの影響は強く、プロダクトの方向性が何度も変わり、その度に開発チームは混乱。
要件定義は困難を極めました。


今思えば、いきなり大きな課題から着手したのが間違いでした。
課題を細分化し、解決する課題の順位付けが必要でした。

当然ながら、この過程には代表以外にも、セールス、エンジニア、場合によってはデザイナーも参加します。

・ユーザーにとって何がメリットなのか?
・その課題は本当に真の課題なのか? 表面的なものではないか?
・顧客の対象は合っているのか?
・そもそもシステムで対応できることは何か?
・開発工数や期間はどれぐらいかかるのか?

それぞれの視点から、とにかく意見がまとまりません・・・


①〜③でつまづいて、ようやくこのフェーズを抜け出せたのが2020年前半。
2020年後半に仮説検証を始めて、現在は改善や機能の拡張をしています。

誰の何の課題を解決するのか

仮説の検証は、簡単なようでかなり難しい。
まずPoC(Proof of Concept)として、プロダクトをテスト利用してくれるユーザーを探さなければなりません。そして、複数のユーザーでトライアルを行いますが、ユーザーによって、フィードバックが千差万別。
どのフィードバックを活かすべきなのか判断に迷います。

SaaS(Software αs α Service)の特性として、ユーザーごとにカスタマイズはできません。あるユーザーにとっては嬉しい機能であっても、あるユーザーにとっては邪魔になる場合もあり得ます。
そのため、ユーザーの要望の最大公約数をプロダクトに反映する必要があります。

BPMの場合、当初は工務店、不動産管理会社など住宅のメンテナンス業務に従事する顧客をターゲットにしていましたが、その要望や重視するポイントは業種業態によって少しずつ異なっていました。

工程管理、施工報告、スケジュール管理、タスク管理、修繕履歴管理、資材管理、人材管理、受発注管理・・・
1つ1つの要望で、それぞれ新しいプロダクトができそうな要望が次々に出てきます。

誰の何の課題を解決するのか。
代表のほとばしる夢と妄想と闘いながら、何度も議論しました。。。
Qosmosで何を実現したいのか、どういう世界を作りたいのか。
思えば、開発を始めて3年以上、ずっと同じ話を繰り返しているような気がします。


PMFには終わりがない

Qosmosの顧客はようやく増えてきました。大手企業にも導入頂いております。
顧客は不動産管理会社、工務店。
そう思っていたら、最近は工場などにも顧客対象が広がっています。
メンテナンスをするのは、住宅やビルに限らないのです。
工場も店舗も倉庫もそこに建物がある限り、メンテナンスは存在する。


そんな訳で、今もBPMでは「誰の何の課題を解決するのか」の定義が明確ではありません。
3年前には考えていなかった工場も新たに顧客に加わったぐらいですから。

最近はプロダクトを一旦「クラウド型CMMS(Computerized Maintenance Management System)」と定義することにしました。訳すと「設備保全管理システム」です。
メンテナンスの現場には、必ず修繕の対象となる設備があるからです。この設備ごとにメンテナンスを管理することが、業務効率化や将来の予防保全には重要となります。


④〜⑥を行ったりきたり。時に①に戻ってみたり。
PMFって何なのでしょうか。

そもそもSaaSには、終わりがありません。顧客の満足度を高めるために、機能開発は延々と続きます。
そして、いかに顧客をつなぎとめ、増やせるのか。今、SaaS業界では熾烈な開発競争が続いています。

Qosmosももしかすると、3年後にはまた違ったものになっているかもしれません。
代表のほとばしる夢と妄想が止まらない限り。。。

実際の新規事業は教科書を読んだだけではわからない。実際に経験すると、思うようにいかないこともたくさんあります。しかし、そうした経験の1つ1つが自分の武器になっていきます。

BPMは、まだまだ人数も少なく、1人1人がこうしたリアルな経験をできる環境にあります。
新しいことに挑戦することが好きな人にとっては、とても勉強になると思います。

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