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リハビリの専門職が「コミュニティ」に託した想い_誰もが挑戦できる社会の実現に向けて

Blanketインタビュー #4 コミュニティマネージャー 佐々木将人

平成2年生まれ。大阪府出身。理学療法士・コミュニティマネージャー。訪問看護ステーション・通所介護事業所(以下、デイサービスとする)での仕事を経験し、人が身体的、精神的、社会的に健康でいるためには、コミュニティに所属していることが重要ではないかと、コミュニティについての学びを開始する。現在は、KAIGO LEADERS SPACE(オンラインコミュニティ)の運営に携わり、高齢化社会をポジティブに変革する仲間あつめ、仲間つなぎ奮闘中。


インタビュー第4弾は「運動機能回復のスペシャリスト」理学療法士の資格をもちながら、コミュニティマネージャーとしてBlanketの運営するKAIGO LEADERSのオンラインコミュニティ『SPACE』の立ち上げ・運営に携わるまさまさこと佐々木将人さんにお話を伺ってみたいと思います。

リハビリテーションとコミュニティマネジメントの交わり

理学療法士としての「リハビリテーション」の仕事とBlanketでの「コミュニティマネジメント」の仕事、一見二つの結びつきがわからないのですが、どのような繋がりがあるのでしょう。

______まさまささんが「コミュニティ」に関心をもった経緯を教えてください。

僕のキャリアのスタートは、訪問看護ステーションですが、通所介護事業所や地域包括支援センターお介護予防事業など、複数の仕事を兼務させてもらった4年間でした。

この4年間で気づいたことがあります。利用者さんが病院から退院して家に戻ってきても「病人」として扱われることが多いことです。元々その方には「お父さん」という役割だったり、仕事仲間にとっては「部長」だったり、様々な役割があったと思うんです。しかし、それらの役割を病によって失い「病人」として扱われることが増えると、本人は病人として振る舞える場所にしか行き場がなくなってしまう。

もともと通ってた喫茶店に行こうと思っても「こんな体になってしまっていけない」など、自分が好きだった自分や自分が大事にしていた習慣を手放してしまう。こうして、その人が元々もっていた色々な役割が失われ、「病人」という役割が増える。他に行きつけの飲み屋があったとしても「病気を再発してしまうかもしれないからやめた方が良いよね」と周囲も誘わなくなるし、本人もいかなくなる。その結果、これまで築いてきたコミュニティからどんどん遠ざかる。所属するコミュニティが減っていく。そうなると人は元気や気力さえも失ってしまうんです。

人が元気で過ごすためには、人との関わりや役割が重要なのではないか、と考えるようになり、利用者さんの「リハビリテーション」を考える上でコミュニティに関する学びを開始しました。


____コミュニティへの関心はBlanket、およびKAIGO LEADERSのMISSIONにどこで合流したのでしょうか。

KAIGO LEADERSのMISSION

僕はKAIGO LEADERSのミッションの「リーダーシップを、ひとりひとりに」という言葉がすごく好きです。自分の人生を主体的に生きていく、一歩を踏み出していく、みたいなイメージがわくからです。

リーダーシップ」という言葉の意味はまちまちかと思いますが、語源である”leith”には「境界線を越える」っていう意味があるらしいんです。僕はこの境界線を越えていく、例えば「行けなくなった喫茶店を諦めるんじゃなくてもう一回行ってみる」とか「はじめてやることには不安とか恐怖とかあるけど、それでも一歩踏み出してみる」姿勢が好きで、それを応援したいと思っています。その一歩のことを僕は「聖なる一歩」と表現をしているんですね。この「聖なる一歩を踏み出していく人たちが増えて欲しい」という想いがKAIGO LEADERSの「リーダーシップを、ひとりひとりに」というミッションに、近いと思ったんです。

介護の現場で働く中で感じてきたことがあります。自分の思っていることを明確に医療者に提言する介護職があまりいないのではないか…ということです。医学的な視点とは別に、生活の視点・利用者さんが大事にしていることがあると思います。例えば「この人は〇〇が好きだから、その治療を押し進めることで好きなことができなくなるのでは。余命がそんなに長くないなら、〇〇を大事にすることも考えたいのですが、どうですか」と、その人の生活や大事にしていることを知っているからこそできる提案がありますから、そこに自信をもった介護スタッフがもっといても良いと思うんですよね。

そういう意味で、聖なる一歩を踏み出す人材がたくさん現れると良いな、と思っていて、このミッションなら僕も一緒に追える、とBlanketにジョインしました。

『SPACE』_誰かの「チャレンジ」を支える居場所をつくる

______BlanketにJoinしてから仕事内容を教えてください。

最初は、KAIGO LEADERSのオンラインコミュニティ『SPACE』の立ち上げです。

『SPACE』のホームページには「色々な人とつながることができる」「「頼る」も「応援する」も両方できるようになる」「チャレンジできる環境がある」という3つの言葉があります。この言葉を作るにあたってたくさん考え、メンバーと話し、イラストレーターさんやホームページを作成してくれる会社さんとやりとりを重ねました。

基本的に「足元がぐらぐらしている人はチャレンジしない」と思ってるんです。人は失敗しても咎められない場所、ホームタウンのような土台がないとジャンプできないと思っています。なので、居場所を感じられる、ありのままでいても咎められることはないサードプレイスとして_例えば、「失敗したよ」と言っても「その一歩が素晴らしいね!」と失敗した傷をケアしてくれる人・「次はどうしたい?」とその次を一緒に考えてくれるような人、それぞれの役割の方がいるような場所として_コミュニティは機能すべきだと思っています。

「「頼る」も「応援する」も両方できるようになる」は、まさにその居場所感を表しています。メンバーの関係性を大事にし、たよったり、たよられたり、応援しあえるような居心地が土台にあるようなコミュニティを目指しています。ホームページで使われているイラストでも、チャレンジする(飛びたつ)ときには支えてくれる人がいるっていうイメージを書いてもらいました。土台となるコミュニティがあるからチャレンジできるし、その一歩を踏み出すことでいろんな人とつながることができる。その一歩を踏み出していける環境でありたいという願いを込めて上記3つの言葉としています。

2019年の8月にトライアルをオープン。12月に全国にオープン、今(取材時6月)140人くらい入ってくれています。(※現在は200名)

KAIGO LEADERSのオンラインコミュニティ『SPACE』

______『SPACE』の実際の運営についてお話を聞かせてください。

コンテンツがメインなコミュニティや「有名人の話を聞けます」といったコミュニティもありますが、私は「人の話を聞いているだけでは変わらない・自らが一歩踏み出さないと変わらない」と思っているので「どうやったら一歩踏み出せるのか?」っていうのを考えています。

『SPACE』のなかでやっている取り組みの一つで「定例会」があるのですが、その定例会の「ゲスト」は『SPACE』のメンバーにやってもらうようにしています。例えば、自分の仕事の紹介とか、なぜその会社に勤めてるのか、どういうことを目指したいのか、というのを話してもらいます。世の中に出ているものは有料だったり、有名な人じゃないと呼ばれないことが多いですよね。『SPACE』の定例会では仲間内だから失敗しても良いから「君のやっていること、君の強みを教えてくれ」と話してもらいます。介護に関心のある多種多様なメンバーがいるからこそ、その発表はだれかの学びになるし、質疑応答やディスカッションを通して、学びは拡大したり深まったりしていきます。

他に「勉強会企画」もやっています。「最近みんななんの勉強してるの?」とゆるい投げかけから座談会のような勉強会の場があります。例えば、司法書士の方に「高齢者のお金の問題、法律の問題について教えてくださいよ」と、それぞれの得意なものをメンバー向けに行ってもらいます。

役割や出番を作ることで「境界性を超える」という行動が生まれると思っています。コミュニティマネージャーとして「提供しすぎない」ということを大事にしています。僕は運営者ではありますが、提供者ではない、参加するメンバーみんなが提供者であり、受給者である、そう考えています。

僕が大事にしている言葉(自分でつくったんですが)「あなたの感じているそれはダイヤモンド、フィードバックは愛」があるんです。勉強会を聞いて「わかりにくかった」のは感じたことだから否定されるものではない、その言い方に相手を想う「愛」があれば嫌な気しないと思うんです。そういったフィードバックがあることで、一歩踏み出した者が、さらに進みやすくなると思っています。愛のあるフィードバックが重要だと思っているので、そういう空気感・文化が醸成される場所を目指しています。そういう文化を醸成するために、メンバーの踏み出した一歩とその結果にスポットライトをあてにいっています。

次に、大事にしている考えを紹介します。「水をすくうのではなく、水を交換する」ということです。消費社会で考えるとお金を払って「すくう」が普通だと思います。でも、『SPACE』では、みんなが提供者であり、受給者である、を大事にしたいので、「すくう」こともあれば「入れて、交換する」ことを推奨しています。それぞれの人が経験してきて得た水をこの『SPACE』という場に入れて、ぐるぐる回して混ざった水をすくって、自分の職場に戻って活かす。こういっためぐりができると嬉しいです。

目指すは『SPACE』に入っていれば「介護・福祉」分野の問題を解決するヒントが得られる、または、解決することができる状態です。

KAIGO LEADERS MEMBER AWARD 「まず動いてみる。」

______運営する上でしんどかったこと、やりがい、嬉しかったことはそれぞれなんですか?

しんどかったことから話しましょうか。働き始めて間もない頃は、使っている言葉と想起しているイメージが異なっていた、ということです。言葉として伝わっている気がしていても、イメージは異なっているので、できあがりのカタチが異なることです。何度も話、イメージを共有する必要がありました。

それがうまくいきだしたと感じたのは、Join for KaigoからBlanketへの社名変更(https://heisei-kaigo-leaders.com/activity/0422)のタイミングです。代表の可愛さんが目指していること・Blanketとして目指していることを、メンバーで話し合ったり、代表が何度も伝えてくれる時間がありました。「こういう世界観でBlanketを運営していきたい」「それってどういう意味?」「そこでいってる”葛藤”ってなんなの?」みたいなコミュニケーションをとるなかで仕事がやりやすくなっていったっていう思い出があります。自分の言葉でKAIGO LEADERSを語れるようになってきてるのは、一緒に『SPACE』をつくっているからだし、一緒にKAIGO LEADERSをつくっているからだと思えるようになりましたね。

Blanketのコーポレートページ

「仕事のやりがい」については、なかったら僕は仕事に取り組めるタイプではないんです。ただ、KAIGO LEADERSのMISSIONにすごく共感しているので。やりがいを感じられるだと思います。

「嬉しかったこと」については、アンケートで『SPACE』をきっかけに変化したことがありますか?という質問への回答でした。数は多くないけれど『SPACE』で一歩踏み出したり、他のメンバーからの影響で変わったと感じた人が実際にいらっしゃる、ということです。『SPACE』では、直線的な成長ではないとしても「進みやすさ」を大事にしたいです。よくわかんない状態でも、SPACEという土台があるからアクションできる。アクションするから、リアクションをしての感触を感じて進んでいく、を応援したいです。やはり「進む」が重要だと思うので、進みやすい環境とは何か?という問いにぶつかる…という感じです。

______今後『SPACE』をどうしていきたいですか?

介護は東京だけにあるもんじゃない。日本全国47都道府県だけでなく、全世界にある。なのでBlanketが掲げるValue「介護が、自分を、他者を、世界を好きになっていくプロセスになる」というのがあるんですけど、まさにそういう人が増えればいいなと思ってます。

そのプロセスをたどるためKAIGO LEADERSのMISSIONである「リーダーシップを、ひとりひとりに。」が改めて大事だと思います。『SPACE』を、だけでなくKAIGO LEADERSの認知を増やしたいです。認知を増やした結果『SPACE』の中に入ってきて欲しい、それは『SPACE』の中にある文化を僕が好きだからで、そこに触れてKAIGO LEADERSが目指している雰囲気になっていくことを願っています。

介護に関する不幸な事件を聞くと、KAIGO LEADERSを知ってくれていたら防げたんじゃないか、と思うことがあるんですよ。KAIGO LEADERSは一見キラキラしてみえるかもしれない。でも、キラキラしてるだけでなくてみんな悩んでいるし、悩みながらも進んでいる。

介護を通して困った当事者たちがKAIGO LEADERSを知っていたら、困っていることのSOSを出せたかもしれないし、もしかしたらその行動も違う結果になってたんじゃないかと思ったり、悔しい気持ちになります。そのためにもKAIGO LEADERSの認知を広げたい、と思っています。

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