今回は、Visionalグループの新事業「Assured(アシュアード)」について紹介します。
「Assured」は、DXに挑戦する全ての企業のIT・クラウド利用を支えるサービスです。IT・クラウド利用時に生じるセキュリティやガバナンスといった「守り」の不安を解消することで、企業の変化を促進し、社会の進化を加速させていきます。
サービス概要や導入事例は、こちら。(β版)
Assured(アシュアード)|クラウドリスク評価Assuredは、クラウドサービス利用時のセキュリティ不安を解消する、クラウドリスク評価データベースです。複数の国際規格・assured.jp
この記事では、同事業の起案者であり、Assured事業部の事業部長を務める大森厚志さんと、Visionalグループ代表の南壮一郎さんの対談インタビューを通して、事業立ち上げに至るまでの経緯や、この事業に込められた想いについてお伝えしていきます。
※本記事内の写真の撮影は、ソーシャルディスタンスを保ちながら行いました。
※このストーリーは、2021年6月17日に、企業ブログ「All Visional」で公開した記事を転載したものです。
プロフィール
大森 厚志/Oomori Atsushi
千葉県出身。株式会社ビズリーチに新卒として入社後、ビズリーチ事業のマーケティング部、事業企画部を経て行政案件を担う組織の立ち上げに従事。2017年より、クラウド活用と生産性向上の専門サイト「BizHint」のマーケティング組織の立ち上げを担った後、社長直下のR&Dプロジェクトを経て、現在はAssured事業部の事業部長を務める。
南 壮一郎/Minami Soichiro
1999年、米・タフツ大学卒業後、モルガン・スタンレーに入社。2004年、楽天イーグルスの創立メンバーとして新プロ野球球団設立に携わった後、2009年、ビズリーチを創業。その後、採用プラットフォームや人財活用プラットフォームをはじめとした人事マネジメント(HR Tech)領域を中心に、事業承継M&A、物流、Sales Tech、サイバーセキュリティ領域等においても、産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する事業を次々と立ち上げる。2020年2月にVisionalとしてグループ経営体制に移行後、現職に就任。2014年、世界経済フォーラム(ダボス会議)の「ヤング・グローバル・リーダーズ」に選出。
世の中を変えていくために、まずは自分自身が変わっていく。
──今回は、Visionalグループの新事業「Assured」について話を聞いていきます。はじめに、大森さんのこれまでの経歴から聞かせてください。
大森:株式会社ビズリーチに新卒として入社した後、ビズリーチ事業部のマーケティングや事業企画、また、BizHint事業のマーケティング組織の立ち上げなど様々な経験を積んできました。
その後、南さん直下で、新規領域の立案・検証や社外出向などの機会を得て、現在は、Visionalグループの新事業としてスタートした「Assured」の事業立ち上げを行ってます。
──今回の事業立ち上げの最初のきっかけについて教えてください。
大森:はじめのきっかけは、2018年、BizHint事業の立ち上げをしている時、見識を広げようと社外の友人と中国にスタディーツアーに行ったことでした。そこで、最新のテクノロジーによって大きく変化していく中国と、そうした変化を実現するために挑戦する若い世代の人々の姿を見て、自分も強く刺激を受けました。
私自身、ビズリーチに入社し、先輩方が立ち上げた事業によって、世の中が大きく変わっていく数々の場面を見せてもらっていたのですが、当時は私自身新米で、描かれた戦略に基づき実行をする立場であったので、どこか変革の当事者ではない感覚がありました。そして中国で、大きな時代の変化を実際に目の当たりにして、「次は自分が、社会を大きく変える当事者になりたい」という気持ちがこみ上げてきました。
そんな気持ちで帰国すると、偶然、南さんから「何か面白いことをやってみろ」とメッセージが届きました。その後、社長室に籍を移し、南さんに何度も壁打ちに付き合ってもらいながら、トライアンドエラーを繰り返しつつも本事業の起案に辿り着きました。
──南さんは、なぜ大森さんに声をかけたのですか?
南:当時、私は新しい領域の事業づくりに挑戦したいと考えていて、きっと大森さんなら、事業づくりをリードしてくれるだろうと思ったからです。
私が考える事業部長の要件はいくつかあって、まず、「価値あることを、正しくやろう」をはじめとするVisional Wayのバリューを体現していること、そして、思考の独立性があること、自走するためのエンジンを自分の中に積んでいること、負けず嫌いなこと、などです。
新卒入社してきた大森さんの姿を何年か見守り続けるなかで、彼ならきっと、答えの見えない新しい領域においても、しつこく、粘り強くやり抜いてくれるはずだと思いました。
そして、大森さんに声をかけた一番の理由は、彼は「変わり続ける力」を持っていると確信したからです。私たちが大切にし続けているバリューの中に、「変わり続けるために、学び続ける」という言葉があります。大森さんは、日々の働き方や生き方を通して、このバリューを体現し続けていました。
入社当時の彼は本当に手がかかりましたが、大森さんは、そうした自分を自ら見つめ直し、「変わりたい」と強く思い、その実現のために愚直に努力を重ね続けてきました。そして彼は、実際にいくつもの成果を出してきました。
また、もともと彼は兄貴肌なタイプではなかったと思うのですが、新卒入社社員の先輩として後輩たちのためにイベントを企画したり、リーダーとしての頼もしい一面も見せてくれました。そのようにして変わり続ける大森さんの姿を長く見守り続けてきたからこそ、彼の可能性に賭けてみたいと思ったのです。
大森:そう言っていただけて嬉しいです。南さんの話にもありましたが、入社当時の自分は生き急ぐように日々を過ごしていて、強い想いとエネルギーはあっても、周囲との協調性に欠け、数ヶ月に一度は南さんや他の役員の皆さんに呼び出され指導されていた記憶があります。何かに付けて反抗的だったので、南さんの言うように、本当に手をおかけしてしまったと思っています。
──そんな当時の大森さんが、「変わりたい」と強く想うようになったきっかけがあれば教えてください。
大森:入社2年目が終わろうとする頃、「結局、自分は何をしたいのか?」と立ち止まって考えるようになった時期がありました。それこそ当時は、会社を辞めるという選択肢も視野に入れていて、社内外のいろいろな先輩方に相談していましたね。
その中の一人である、社外メンターとしてお世話になっている方から「君、このままじゃ事業づくりをできる人になれないよ」と言われました。「自分自身の成果に固執し、環境に不平不満を並べて、自らの努力で環境を変える努力すらしていない。ただ働くだけならそれでもいいけど、自分の手で事業を創りたいなら、まずは、そのスタンスを変えないとダメだよ」と。
その言葉が凄く刺さり、次の日、会社に出社するや否や、「辞めるの止めます」と周囲に伝え回りました。それからは、事業のためにチームの中で自分がどう立ち回ると良いのか、事業視点を大切にしながら動くようになりました。
南:これは口で言うほど簡単なことではなく、世の中に「変わりたい」と口では言う人は数多くいますが、本当に「変わることができる」人は決して多くありません。
最初は「自ら変わることができるのか?」と思いながら大森さんを見ていましたが、実際に変わり続けながら周囲の信頼を勝ち得て、そして社内で実積を積み重ねていく姿を見て、新しい事業づくりを大森さんに任せてみたいと思いました。
「Assured」を通して、世の中の変革を支えていく。
──続いて、Assured事業が立ち上がる経緯について聞かせてください。
大森:社長室に籍を移して以降、はじめは、社会全体がこれから向かうべき方向性と現在地を照らし合わせながら、幅広く、様々な業界の課題についてリサーチしていました。
特に、世の中の潮流としてDXというダイナミックな変化が起きるなかで、何がどのように変わるのかを想像しながら、世の中が変革を求めている領域や、Visionalグループとして解決すべき課題を探し、南さんにも、隔週に一度のペースで壁打ちに付き合ってもらっていました。
南:自分も大森さんと同じくらいの年の頃、当時の上司であった島田(亨)さん(現・株式会社USEN-NEXT HOLDINGS 取締役副社長 COO)や小澤(隆生)さん(現・ヤフー株式会社 取締役 専務執行役員COO)からの新規事業のノウハウをいろいろと学ばせてもらったので、自分なりの学びを全て大森さんにお渡ししてきました。
大森: とにかく南さんの何事にも問い続ける姿勢が印象的な時間でした。そして、自分自身、社内外のいろいろな方にヒアリングを行い、自ら問い続けた結果、社会における大きな課題を発見しました。
世の中でDXの機運が高まる一方、多くの企業ではDXの中核を担うIT・クラウドサービスの管理が後手に回っていることに気が付きました。外部サービスを自社の業務に組み込むということは、自社の重要な情報を自社の管理外に置くということであり、本来的には情報の守り方を大きく変える必要があります。ただ、ほとんどの企業では、急速なDXの推進に対して管理体制の整備が追いつかず、悩まれている状態でした。
クラウドサービスは企業に大きな利便性をもたらし、DXを実現するうえで非常に重要ですが、同時に正しく利用するための守りを固めなければ、セキュリティが脆弱なサービスを利用してしまったり、使い方の不備による情報漏えいなど、問題の温床になります。
実際に日本でも、最近こうした問題が顕在化しつつあります。既にIT利用が先行している海外のデータを見ると、1社あたり数十、数百サービスと、年々利用サービスが増えており、今後もこうした問題が加速度的に深刻化していくと考えています。
また、確実に外部サービスの利用が加速するなかで、一度このような問題が起きると、リスクを恐れて変化の歩みを止めてしまう企業が出てくることは想像に難くありません。このままでは、日本社会の未来を占うDXが失敗に終わりかねないと考えました。だからこそ、DXに挑む企業が安心して変わり続けられるためのサービスとして、「Assured」を起案しました。
──起案後、どのように事業構想を具体化していったのでしょうか?
大森:数ヶ月間、お客様となる企業のニーズを検証するための時間をいただきました。Visionalの新規事業として新しい領域に飛び込むうえで、お客様が向き合う課題はどのようなものなのか、一次情報にこだわり、徹底的に足で情報を稼ぎながら検証を重ねていきました。
解決すべき課題が大きいため、まずどこから着手すべきか決め、Visionalグループの仲間から社外のセキュリティやガバナンスに従事している方を紹介してもらったり、SNSなどを使って社外の方にダイレクトアプローチを行いながら、100名を超える業界関係者の方々にヒアリングのお時間をいただき、細部を詰めていきました。その過程で、数多くの切実なニーズや悩みの声を聞き、「この課題を私が解決しなければ」という使命感が湧きました。
──当時の「Assured」の事業構想について、南さんはどのように考えていましたか?
南:もともと当社も、「ビズリーチ」をはじめとする各事業を運営するうえで、お客様や会員様から大切な個人情報をお預かりしている会社ですので、セキュリティやガバナンスを強く意識しています。
起案を受けた時期に、CISOの若井(大佑)さん(ビジョナル株式会社 執行役員 CISO)から、似たような課題があることを聞いていたので、「Assured」の事業構想の話を聞いた時は、まだまだ荒削りだけど、ブラッシュアップしていけば社会の進化を支える大きな可能性を持つ事業になるかもしれないと思いました。
そして、はじめの起案から数ヶ月間で、大森さんが本当にいろいろな人の所へ駆けずり回って新しい情報を集めてきました。行動は、その人の優先順位を表します。結局のところ、「事業づくり」は創業者の強い意志がなければ始まりませんので、そうした大森さんの姿や、徐々にブラッシュアップされていく事業構想を見て、改めて、大森さん自身と大森さんの構想に投資してみたいと思いました。
世の中に大きなインパクトを与えていくために、背中を預け合える創業メンバー求む。
──正式に事業化が決まってから、どのように事業立ち上げを進めてきたのでしょうか?
大森:引き続き、事業計画の精度を高めるために様々な方へのヒアリングを重ねつつ、並行して、「仲間づくり」、つまり、Assured事業部の採用活動を始めました。私自身には、エンジニアリングやデザインの経験がなく、一人ではものづくりができないため、最初は、事業の立ち上げに一緒に挑戦してくれるエンジニア採用から取り組み始めました。
結果的に、非常に豊富な経験を持つ新しい仲間を社外から迎えることができ、共にβ版の開発・検証を進めていきました。そして、この約半年間は、β版の利用を快諾いただいたお客様と共に、サービスの磨き込みを行っています。
──Visionalグループの新事業として始まった「Assured」に、南さんはどのような形で携わっているのでしょうか?
南:事業やサービスづくりに関するディテールについては、事業部長を務める大森さん、また、覚悟を決めてAssured事業に飛び込んできてくれた事業部の仲間の意志を優先しています。ただ新規事業を立ち上げるうえで迷うことは多々あるので、定期的に、大局的な観点でアドバイザーとしてサポートに入っています。
特に「事業づくりは、仲間づくり」と口酸っぱく伝えているのですが、どうしても事業をスタートする前は、みんな焦ります。ですので「焦らずに、まずは、しっかりと創業メンバーを探しなさい」とアドバイスをしています。事業づくりにおいて最も大切なのは、志を共にできる「仲間」であると言っても過言ではないからです。
世の中に大きなインパクトを与えるような事業は、1~2年では絶対に立ち上がりません。中長期的な目線をもって、チームとして課題に向き合うことが本当に重要です。
一人の力だけでは必ず限界が来ます。だからこそ、目先の目標だけに囚われることなく、一緒に社会や業界の歴史を創っていく覚悟をともにできる創業メンバーを探すことが大切です。それが結果として、「お客様の本質的課題解決」を実現する事業の土台となっていきます。
──事業のために採用に全力でコミットするという姿勢は、これまでのVisionalの各事業にも通じていますよね。
南:そうですね。創業時、私は、ITサービスの事業づくりの経験がないなかで「ビズリーチ」を立ち上げようとしてきたのですが、その経験が大きいと思っています。ビズリーチ事業を立ち上げ、成長させることができたのは、当時、竹内(真)さん(ビジョナル株式会社 取締役 CTO)、永田(信)さん(ビジョナル・インキュベーション株式会社 代表取締役社長)をはじめ、一人一人がそれぞれの強みを持ち、お互いの背中を預け合える「仲間」が集まってくれたからこそです。
大森さんは私の話を受けて、事業部長として仲間づくりに全力でコミットし、そして実際に今、頼もしい創業メンバーが一人、また一人と集まり始めています。ただ、中長期的な事業の成長を見据えると、将来的には、より大規模な組織づくりを目指していかなければいけません。
そのために重要なのは、事業部の一人一人が、自分たちの事業、そして仲間を信じることです。そうした組織を実現していけるかどうかは、事業部長の大森さん、そして創業メンバーのみなさんにかかっていると思います。これからのAssured事業部の成長を、私自身とても楽しみにしています。
──最後に、この記事を読む読者の方へメッセージをお願いします。
大森:これまでは、β版をお客様に試験的に利用いただく準備期間でした。ここからいよいよ正式にサービスをリリースし、お客様の課題解決のために事業を加速させていきたいと考えています。
そしてそのためには、お互いに背中を預けあえる心強い仲間が必要です。企業の変革を支えることを通して、世の中に大きなインパクトを与えていく。そうした「事業づくり」に挑戦したい方は、ぜひお気軽にお声がけいただけたら嬉しいです。
南:私自身としても、約12年間、Visionalグループの数々の事業を立ち上げる過程で得た知見やノウハウの全てを、これからもAssured事業部の仲間たちに伝えていきたいと考えています。Visionalグループの新事業の創業メンバーとして、新しい挑戦をしたい方と、ぜひ一度お話しできたらと思っています。