アシアルのメンバーが注目している5つの技術を紹介した先月。それらの技術はどんなふうに使われ、社会にどんな影響を与えているのでしょうか。深掘りしつつ、代表取締役社長・田中正裕の関心事も聞いてみました。
目次
- 様々なフェーズの仕事に取り組んでいる証
- 5つの技術はどんなとき、どんなところで使われる?
- ―PWA(プログレッシブウェアアプリ/※1)
- ―UML(統一モデリング言語/※2)とAI翻訳
- ―テスト自動化
- ―FinTech(※3)
- 技術力で今をとらえ、お客様のバリューに換えていく
- AIでギャップを埋める
- 日本ならではの新たな強みも見つけたい
様々なフェーズの仕事に取り組んでいる証
先月、メンバーから出てきた技術はPWA(プログレッシブウェアアプリ)、UML(統一モデリング言語)、AI翻訳、テスト自動化、FinTechの5つ。これらがピックアップされたのは、「アシアルがいろいろなフェーズの仕事をしていることの表れでもあるのかな」と田中は言います。
「開発プロジェクトにはいろいろなフェーズがあります。クライアントの考えや置かれている状況によってアシアルの関わり方も変わるんです。例えば、“ITで業務を改善したい”という、漠然とした段階のお客様であれば、ITの技術をどう活かせるか、ビジネスの課題をどう解決するかを考えるところから、二人三脚で取り組みます。
一方、この技術を使いたいからそれに詳しいアシアルにお願いしたい、というようにかなり具体的なご相談をいただけるケースも。そうなれば、その技術を得意とするメンバーをアサインして、具体的な実装を詰めていく。
こういった背景を踏まえて5つの技術を見ると、必要とされるフェーズが違う、それぞれ異なる段階で役立つものになっています。いろいろなフェーズの仕事に関わるアシアルのメンバーらしいチョイスだと思います」
5つの技術はどんなとき、どんなところで使われる?
では、5つの技術は具体的にどんな段階、もしくはどんな目的で用いられるものなのでしょうか。
―PWA(プログレッシブウェアアプリ/※1)
「先ほどお話しした例えでいうと、PWAは後者のタイプのクライアントが最初から導入を決めた上で開発依頼をしてくださったり、もしくはすぐに導入する、しないという検討に進むことが多いです。」
※1 PWA(プログレッシブウェアアプリ)……Webサイトをスマートフォン上でアプリのように動作させる仕組み。スマホアプリを1から開発しなくても、アプリのようなユーザー体験を提供できる。
―UML(統一モデリング言語/※2)とAI翻訳
「UMLとAI翻訳は、二つともコミュニケーションを円滑にするものです。UMLはお客様とのやりとりの中で、業務フローを明確にしたり、システムの理解を深めていただくのに活用できます。AI翻訳は、アシアルでいえば、言語の異なるメンバー同士で意思疎通するときにも役立っています」
※2 UML(統一モデリング言語)……システムの動作、構造、仕様を視覚的に分析、設計、記述する際に用いる図の標準規格記法。
―テスト自動化
「テストは、どんな開発でも必要になります。アシアルはもちろん、多くの開発会社では、すでにテストの少なくない部分を自動化しています。でも、ここで言うテスト自動化はもう一歩先の技術。今はまだテスターと呼ばれる職種の人たちに行ってもらっているテストも、AIなどを活用して自動化するものです。
人が作業できる範囲やボリュームでしかテストができないという制約がなくなれば、開発するソフトウェアの品質が一段階上がると思っています」
―FinTech(※3)
「アシアルでも金融系クライアントのお仕事を複数いただいていますが、金融とテクノロジーは、今後も深く影響し合いながら発展していくでしょうし、ほかの分野にも波及するのではないでしょうか。
例えば、仮想通貨の裏側にはブロックチェーンという技術があります。それは、FinTechから出てきたものですが、もうその分野だけではなくなってWeb3(Web3.0)というWeb全体に関わる概念に繋がろうとしています」
※3 Fintech……FinanceとTechnologyを組み合わせた造語。具体例としては、スマートフォン決済や仮想通貨など。
技術力で今をとらえ、お客様のバリューに換えていく
これらの技術や、それぞれが使われるシーンなどをふまえて、アシアルがすべきことは、「お客様の新しいビジネスニーズにきちんと応えていけるだけの準備をすること」だと田中は言います。
「新しい選択肢がどんどん出てきている世の中なので、2年前、3年前の定石が今の定石ではないところがあって。だから、いつも心がけていることではあるんですけど、自分たちも同じことばかりするのではなくて、どんどん変わっていきたいですし、どんなフェーズのお客様にも、“今”をちゃんととらえた提案をしたいですね。
例えば、今はAIや通信速度が大きく進化したり、新型コロナの影響もあって仕事や生活のスタイルが変わっていってますよね。そんな中で、新しいITやAIの使われ方があって、それがまた新しい機会になってくる。その潮流をお客様のバリューに換えていきたいと思います」
AIでギャップを埋める
田中にも、自身が注目している技術やトピックを聞いてみました。キーワードは、これまでにも出てきた「AI」です。
「注目の技術として“AI翻訳によるコミュニケーション促進”が出ていましたけど、アシアルとしては翻訳というよりは多言語コミュニケーションがテーマかな、と。
アシアルはアメリカとハンガリーにオフィスがあって、それぞれのメンバーとやりとりすることもありますし、東京のアシアルにも海外出身のメンバーがいます。コミュニケーションをチャットとかの文字ベースでやることで、AI翻訳が活用できる状況なんですよ。
ただ、例えば複数人が集まるビデオ会議で、一つの資料を画面共有するようなシーン。日本のお客様が資料を共有してくれても、海外のメンバーには絵とか図しかわからないっていうことになってしまう。
せっかく翻訳エンジンとか言語認識エンジンが進化しているのに、今、自分たちが置かれている状況とテクノロジーの間に小さいけれど確かなギャップがまだある。それをAIを使って埋めていくってことを、アシアルとしては今年やっていきたいと思っています。
思っているというか、もうすでに研究開発を始めていて、絶賛仕込み中です(笑)」
さらに、「AIとかを超えて、自分が注目しているところでいうと……」と続ける田中。それは、「組織としての多様性を確保しながら、生産性を上げていくための技術」だそう。
「今、アシアルではフルリモートなので職場という制約がなくなっています。今後は、メタバース的なアイデアですが、コンピューターの前に座るっていう制約すらなくなるかもしれない。さらに技術が発達すると、仕事をするために自分の意識のオンとオフを切り替えなくても、仕事が成り立つような世界が来るかもしれません。そういうことができる技術にはすごく興味がありますね。
新型コロナの感染が拡大して思ったのは、制約からの解放という点でIT産業はすごく有利だということです。一方で、そこに人間がいないとできない仕事もたくさんあるから、リモート化と言われても、業種や職種によってはできません。
でも、今のようなペースでAIが進化したり、あとはロボティクスですよね、そういう技術が発展すれば働き方も変わっていく。人間の動作を人間以外ができる、人間が機械にバトンタッチする、みたいな。どんどんそういう世界ができつつあるんだと思います」
日本ならではの新たな強みも見つけたい
新型コロナ感染拡大は、今まで見えづらかったものを浮かび上がらせました。それには、よいものもあれば、悪いものも。
「デジタルへの移行が進んだとか、そういうよい面も多いですよね。悪い面としては、格差がより広がった感が私の中にはすごくあって。情報にアクセスできない人はよりしづらくなっていたり。簡単に是正できることじゃないかもしれないけど、技術を使って何かサポートできないか、関心の高いところではあります。
30年後、40年後を考えると、日本がこのまま衰退しちゃうんじゃないかっていう危機感もあります。子どもが大きくなったときに日本は大丈夫かな、とか。日本のよさが失われつつあるな、改めて日本ならではの新しい強みを見つけていかなきゃならないな、と。そこが一番の関心事かもしれないですね」
PROFILE 田中正裕(たなか・まさひろ)代表取締役大学2年生の時にアシアル株式会社を設立、そのまま代表取締役社長として今に至る。小学生の時に滞在していたアメリカでパソコンを触ったことがきっかけで、生きている時間の大半をプログラミングして過ごす。東京大学を卒業、アシアルの事業が忙しくなったため同大学院を中退。代表取締役社長として対外的な活動を行いつつ、各プロジェクトでは自ら最先端の技術を駆使したアーキテクチャやコーディング、マネジメントなども担当。現在はブダペスト(ハンガリー)にて、ヨーロッパ市場に向けた子会社ASIAL HUNGARYのオペレーションをメインで行う。趣味は飛行機の操縦。ライセンスを保有し、国内外で小型機に乗って楽しんでいる。
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