新規事業ならベンチャー企業で。そんなイメージもあるかもしれませんが、朝日新聞社で新規事業に取り組む袴田玲子さんは「大企業だからこそできるチャレンジもある」と入社を決めたそうです。ベンチャー企業での勤務も経験して、現在はアライアンス事業部で、新規事業に取り組む袴田さんに、詳しく理由を聞きました。
――朝日新聞社に入社後のお仕事を教えて下さい。
朝日新聞社のニュースをLINEなどのポータルサイトに提供する仕事をしていました。デジタルの編集部と新しい企画を考えたり、記事の読まれ方を分析ツールで調査したり、開発チームと改修計画を立案したり…と仕事は多岐にわたります。朝日新聞デジタルとは異なる読者層に朝日新聞の記事をアピールできるのがこの仕事の魅力で、新規読者の獲得につながる企画作りを心がけていました。最近、新規事業チームに異動し、新規事業の立ち上げの検討をしています。
――どんな理由で朝日新聞社を選んだのですか?
大企業だからこそできる、スケールの大きな仕事やチャレンジがあると思います。個人やベンチャー企業ではキャッシュフローの問題や仲間を集める苦労があり、サービスをスケールさせる難しさを感じました。大企業だと会社のリソースも活かしながら新規事業などに取り組めるのが大きな魅力です。新しいチャレンジに取り組んでいる朝日新聞社であれば、ほぼ未経験だったデジタル分野のスキルも吸収しながら働けるのではないかと考えました。
――入社してみて、想像と違ったところはありますか?
デジタル分野の経験を積める仕事を・・・という思いがあり、最初は契約社員として働き始めました。実際に働き始めると、入社前に想像していた以上に自由に仕事ができ、さらに仕事の裁量も広がっていきました。これだけ自由な発想で仕事ができるのなら、この会社で長期の視点をもって働き、貢献していきたいと強く思い、あらためて採用試験を受けました。
――思い出に残る仕事を教えて下さい
昨年、LINEニュースのアワードで二年ぶりに大賞を受賞したことです。LINEでのニュースの読まれ方を分析して、編集部と一緒に工夫を重ねてきた努力が報われた気がしました。
編集とビジネスのファイヤーウォールは大事ですが、だからといって部署間の壁を高くしては何も生まれません。何度も取材を重ね、編集した記事を多くのユーザーに届けたい、そのための努力は一緒にしていく。そういうスタンスで、編集フロアに日々顔を出してコミュニケーションを重ねました。だからこそ、授賞式で「大賞 朝日新聞デジタル」と映し出されたときには、編集のメンバーと手を取り合って喜びました。受賞したことで、読者満足度が高いニュースサービスという認知も広まり、広告チームのセールスにもつながりました。何よりもうれしかったことは、編集部の人が「来年も受賞したい!」と言ってくれたり、広告チ-ムも受賞時の写真を使って販促ムービーを作ってくれたりと、一つのチームとしてみんなで受賞の喜びを分かちあえたことです。
――デジタル部署以外の仕事も経験されていますか?
この半年間は経営企画室の業務も兼務して、30代の社員が経営陣への提言をまとめる「2030プロジェクト」に参画しました。まだ入社してから数年で、現場の仕事も大変なときなのにと心配する上司もいたようですが、一方で推薦してくれた上司もいたようで、気付けばチームの事務局長をやることが決まっていました。
社内のいろいろな部署の人や経営陣とも議論できる場があり、転職者の私にとって貴重な機会となりました。外部の研修を受けたり、若手起業家や高校生・大学生とディスカッションしたり、最終的には100ページ以上のスライドにチームの考えをまとめ役員会で提言しました。自分の成長にも繋がったと思うので、今後の新規事業の業務に活かしていきたいと思います。
――普段の業務とどうやって両立したのですか?
そのプロジェクトが始まって正直かなり忙しくなったので、一か月ほど経過したころから、フレキシブルに働けるように在宅勤務の制度を利用しました。10-18時で働くにしても、昼休みに家の近くで用事を済ませることができるのはいいですね。制度のおかげで、時間と場所にとらわれずに自分のペースで働くことができました。
――朝日新聞社にどんな魅力や可能性を感じますか?
昔は「あなたがいなくなったら続かないよね」と言われるような仕事に憧れましたが、今は正反対。
私は朝日新聞社の魅力のひとつは「続ける力」だと思っています。確かな情報を必要とする方々に、記事を書き、新聞を届け、配信を続ける。こういった「続ける力」があり、たくさんの仲間がいる会社で働いているからこそ、今は自分だけが出来る仕事をするのではなく、先々に受け継がれていく永続的なビジネスモデルを作りたいと思っています。
- Profile -
ビジネス開発センター アライアンス事業部 袴田玲子(Reiko Hakamada)
2014年に朝日新聞社のデジタル部門に入社(中途採用)。ニュースの外部配信担当などを経て、現在は新規事業創出、アライアンスを担当している。ミズノート https://www.asahi.com/choice/waterserver/ など複数のサービスを統括している。