■思い立ったら即行動。自分の直感の下、複数のビジネスを立ち上げていた大学時代
ーーまずは、創業前までのご自身のキャリアを教えてください。
ビジネスを最初に始めたのは、19歳の大学生の時です。大学構内にソフトクリームの機械を設置してアイスクリーム屋をやってみたんです。そしたらこれがバンバン売れて、それからも色々と大学関係でビジネスをやってました。たぶん学長から呼び出された回数は、歴代ナンバーワンじゃないかと思います。問題児ではありましたけど、行動力はめちゃくちゃありました。
でも、その時は「面白い。これやってみたら儲かるんじゃないか」と直感的に思ったものをすべて形にしてきただけで、原価計算なんかまったく概念にないまま進めたビジネスでした。だから、利益は出たとしても再現性が全然ないものだったんですよね。そこで、まずはちゃんとビジネスを学ぼうと大学卒業後にコンサル会社のアクセンチュアに入社しました。そして約2年半の間、ビジネスの進め方や論理的な考え方、ITリテラシーといったビジネスの基本を学んだ後、25歳の時に株式会社Arinosを設立しました。
ーーすでにビジネスを経験した上での入社という所で、どんなことを学ばれましたか。
ビジネスのスピード感や自分が動かしている責任の範囲などは、ベンチャーをやっていた時の方が確実に早いと思いました。やり方の違いもあるんでしょうけど、やはり大手企業だと上司、さらにその上司に説明するための資料作りや細かいところまでチェックがあるので、かなりの時間を要します。自分の経験と比較して「こういうものなのか」と思うところはありましたね。でも同時に、そうやって時間を要しても100点をとる努力をするのも大事だと思いました。
そんな想いを抱きながら働く中で気づいたのは、ビジネスにおいて非常に重要なのは、その100点を使い分けるということです。起業家は、全リスクを洗い出してそれを全てヘッジする方法を考えるのは難しいですが、致命傷を負うリスクだけをヘッジすることはできると思うんです。大事なのは、それを今は30点のレベルでやってスピードを上げようとか、70点で少し厚めにやろうとか、100点でやるべきなど、時と場合で使い分けられるようになることだと思っています。アクセンチュアに入社したことで、この100点の使い分けの重要性を一番学べたのではないかと思います。
■起業のきっかけは恩返し。夢は、若者のチャレンジを支援する「大阪賞」を創設すること
ーーArinos創業にあたり、展開する事業はどのように決めたのですか。
実は、「この社会課題を解決するために、こんな事業をしたい」という崇高な想いを一度も持ったことがないんですよ。僕がビジネスを成り立たせることができたのは、昔がむしゃらに営業していた僕に投資をしてくれたベンチャー企業の社長さん達のおかげです。恩返しができればと、ある時お礼参りをしたことがあったのですが、その際に彼らが揃って口にしたのが、「自分達に恩返しはしなくていい。それよりも、これから出てくるお前みたいな若者を支援する仕組みを作ってくれたら嬉しい」という言葉。じゃあ、金銭的、時間的制約でチャレンジができない人を支援する財団「大阪賞」を作る、これを僕の夢にしようと。この夢を実現させるためには、お金とビジネスの成功体験が必要なので、そのために起業をしました。社会課題を解決したいなどの想いのある起業家とは少し異なるかもしれませんが、事業や会社にかける想いの強さには、誰にも負けないくらいの自信があります。
ーー社名「Arinos」に込めた想いを教えてください。
文字通り、蟻の巣の意味ですが、Arinosで働きアリを輩出して、日本を良くするというのがコンセプトです。近年よく「ワークライフバランス」という言葉を耳にしますが、この言葉の意味を履き違えて、働くことが悪のように捉えてしまっている人も結構いるように思います。でも、働かなければ経済を回していくことはできません。働きたい人は働けばいいし、働きたくない人は働かなくていいと思いますが、働くこと=悪と思っていたら日本経済は絶対に良くなりませんよね。だから、日本経済を良くするために、Arinosがアリの巣になって働く人材、事業を作れる人材をどんどん世に送り出して日本経済をよくするぞという想いが、この社名には込められています。
■目指しているのは、お客様と一緒に汗をかきながら事業を拡大させる事業パートナー
ーー現在、会社で展開している事業について教えてください。
大きく分けて3つのソリューションを提供しています。1つ目が、戦略、業務、IT、オペレーションをワンストップで提供する大手向けのコンサルティング。2つ目は、そこから派生させて中小企業向けに業務診断パッケージを作り、DXやBPRができるソリューションとして販売する事業。そして3つ目は、事業計画書の作成から資金調達までを全て無料で行い、資金調達達成後に株式の一部をいただき、一緒に事業を拡大していくというスタートアップ向けのサービス事業です。他にも、スリランカで人材教育、静岡県の川根本町での農業など、派生ビジネスを複数行っていますが、主力事業は上記の3つの事業になります。
ーーどのようなMVV(ミッション、ビジョン、バリュー)を掲げていますか?
「いま、明日を伴につくる」というミッションを重要視しています。5年後、10年後のことなんて、誰にもわかりません。ただ、今、明日をよくすれば、その積み重ねが1年後に結果となって現れてきます。また、きれいな戦略や業務プロセスを書いて渡しても、お客様企業でその戦略をまわすのは難しく、絵に描いた餅で終わってしまうケースが多々あります。だから、僕等はきれいな戦略や業務プロセスだけを書くことをやるのではなく、お客様の内部に入って一緒に汗を流しながら取り組む、事業パートナーであることを大事にしています。事業パートナーとして入ることでお客様の事業が大きくなり、魅力的な産業がどんどん世の中に出ていく。そうすれば、ゆくゆくは日本経済が発展していくよねと。そういった価値観を僕等は大切にしていつも動いています。
ーー会社の強みは、どんな所にあると思いますか?
僕等は、1万円を使うならそれを1万1円にしないと死んでしまう、という思考レベルでこれまで事業に取り組んできました。どうしたらそのプラス1円を得ることができるかをめちゃくちゃ考えて、いろんなことにトライしてきました。だからこそ、数々の失敗経験を積んできましたが、その経験こそが今一番の強みになっていると思っています。
いつもお客様にお伝えするのは、「僕等がコンサルに入っても、うまく行くかどうかなんてわかりませんよ」ということです。100%確実にうまくいかせられることなんてないですし、できますと言ったらそれは嘘になってしまいます。ただ、僕等がお約束しているのが、PDCAを最速で回して事業を前に進めることと致命傷を負うリスクだけは回避できるということ。過去に地雷をたくさん踏んできた経験があるので、死なないようにリスクを交わす能力は持っていますから。あとは数年間一緒に汗をかくので、お客さんも一緒にがんばっていきましょうというスタンス、この点は他のコンサル会社にはないスタンスではないかと思っています。
■第二創業期を迎えた今、求めているのは一緒に同じ方向を向いて走ってくれる熱意あるメンバー
ーー今後、どのような事業展開をする予定ですか?
コンサルだけできますといっても、正直、強みというのはほぼないと思います。事業計画書が書ける、ファイナンスを組める人も世の中にはいくらでもいますから。だから、生き残っていくためには、誰もやらない分野でビジネスモデルを作ってそれを実証しましたという「経験×コンサル」という価値が必要なのではないかと考えています。コンサルと事業を分けるのではなく、その2つが両立できて初めてコンサルというものが成立する。そう考えているので、今、着手し始めている農業のような新しい事業にもどんどんチャレンジし続けていきたいと思っています。
あとは労働集約型ビジネスからの脱却をし、ストック型のビジネスを作らないといけないという所とスケールですね。うまくサービス設計をして、それを武器に戦っていければと考えています。ただ、まだ人手が足りていないので、そのためにここ1年は採用強化に力をいれています。
ーーどんな人に会社のメンバーになってほしいですか?
今、弊社は約60名の社員数になり、組織化を図ってこれからスケールしていくまさに第二創業期にあります。ここに面白みを感じて、「一緒に大きくしてやるぞ」という想いを持ってくださる人に一番入ってほしいですね。スキルというよりは、マインドを重視しています。ちゃんと僕等と一緒に同じ方向を向いて走ってくれる方であれば、年齢も関係ありません。
僕等の会社に入ったら、おそらく2つのメリットがあると思います。1つは、組織作りを経験できること。そしてもう1つが、ビジネスを作ることに携われるということです。100名規模の会社であれば、組織作りはある程度終わっていますが、Arinosの場合はこれからです。またArinosは、コンサル会社としては珍しく、自社サービスを作って販売しています。いわゆるマーケティングの概念を持ちつつ、サービス設計をしていく経験ができる会社です。入社してコンサルタントとしてのスキルが上がることももちろんですが、実務として組織作りやビジネス作りを経験できる機会は、他社ではなかなか得られないと思います。
手さえ上げれば、何でもチャレンジできるというのも弊社の魅力の一つです。もし自分のやりたいことと弊社のベクトルが合っていたら、自分のチャレンジ精神を存分に生かせる職場だと思うので、ぜひ応募してきてほしいですね。