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産業IoTにおけるソフトウェアインフラとしてデファクトスタンダードになる

電気自動車の実証実験を通して「監視機能の強化」に行き着いた

2006年の創業時には、現在のような事業は想像していませんでした。当時はプロトタイピングという形で業務をお受けすることが多く、そのような中で2010年頃に出会ったのがスマートシティプロジェクトです。ちょうど産業界において電力関連のテーマが流行していた時期で、まだ量産されていなかった電気自動車を作って配備し、経済効率やエネルギー効率を測ったり、バスやタクシーに展開したりするといった実証実験に参加していました。

ある公共実証プロジェクトでは電気自動車タクシーを3台ほど作り、実際にお客さんを乗せて走ってみるということをやりました。そういった実証実験では運転手さんも電気自動車に乗ったことがありませんし、自動車も走らせてみないとどのくらい電気がもつか分かりません。例えばガソリンであればエンプティランプが点灯した後もしばらく走れるというのは経験から分かることですが、電気自動車の場合は残りの電力量が5%を切ると即座に走行不可能に陥るということが、実験を通して初めて分かりました。

そのような状況下で自然と強化されたのが「監視」の機能です。人間を乗せて走行するわけですから、機械装置のデータを監視し続ける必要があったんですね。電気自動車という領域の黎明期において特に故障が怖いと考える自動車メーカーさんも多い中で、私たちが作った監視システムに注目が集まり、徐々に開発の話をいただく機会が増えました。

「リアルタイム性」「データの細かさ」「欠損回収」を追求、あらゆる産業シーンへ

そこから約2年間に渡って類似のプロジェクトを10件ほど手がけましたが、どのプロジェクトでも取れるデータは基本的に機械装置から出てくる時系列データであり基本的なデータ処理は変わりません。一方で監視機能を強化するには、制御信号で走っている自動車の生データを1000分の1秒や100分の1秒単位で追い、そのデータをクラウド経由でどれだけ迅速に運べるかということが重要になります。そうした機能を突き詰めていくうちに「リアルタイム性」「データの細かさ」「データを運ぶ際の欠損がない」ということが開発の軸になりました。ビジュアライゼーションの側面でも、パーツをメーターで見たい、グラフで見たいといったように欲しい機能が明確になり、それらをソフトウェアとして製品化したのが「VISUAL M2M」です。

結果として電気自動車の開発を通して追求したこれらの要素はあらゆる産業シーンに適用できるものになりました。最近ではロボティクス分野やドローン、ヒューマンセンシングなど、適用分野も広がっています。現在製造業の現場で起きているのは、自動車にしても産業機械にしても、インターネットを使ったコネクテッド化です。そのような世界観の中で先ほどの「リアルタイム性」「データの細かさ」「データを運ぶ際の欠損がない」という3要素を実現するのは、シンプルでありながら両立が難しく、同時実現しているという意味では今のところ競合を見出していません。



一貫したアーキテクチャがないと魂が入らない

今後は世の中のコネクテッド化のシーンにおいて、デファクト・スタンダードなソフトウェアインフラとして介在するということを一つの目標にしています。あらゆる産業分野においてコネクテッド化をしたいのであれば「我々がつなぎますよ」と。当然マーケットについても、日本だけではなく世界中の製造業を相手にしていきたいですね。また自動車に関していうと、自動運転レベル4(完全自動走行)における「何かあったときに誰も止められない」という最大のリスクに対して我々の技術が貢献していくということも、大きなマーケットとしてイメージしています。

一般的にこのような領域ではサーバーとAPIを作って「デバイスはどうぞ自由につないでください」というスタンスのところも多いのですが、私たちが追求している3要素はそれだけでは実現できません。例えば自動車であれば制御ネットワークをきちんと理解して統合していくなど、複数のレイヤーにまたがって、そこに登場する全てのデバイスやシステムに対する一貫したアーキテクチャを設計してソフトウェアを作っていくということをしないと、魂が入らないんです。その点に気づいている会社はまだ少ないと思いますが、私たちは創業時からそこに注力していたため、少人数でありながら技術力の偏りがなくその実現力が高い。組織作りに関しては行き当たりばったりというのが正直なところですが(笑)、このような組織をもっているIoTの会社は珍しいと思います。

前人未到の世界に飛び込んだメンバーから成るチーム

そもそも先人のいる事業内容ではありませんから、経験者としてaptpodに入ってきた人はほとんどいません。共通点があるとすれば、前人未到の世界に飛び込んで来てくれた人たちというところでしょうか。日本をリードするような大きな企業がイノベーションを起こそうとしているところに我々がチームとして参加できるわけですから、独りよがりではなく「うちほどイノベーティブなことをやっている会社はない」と自信をもって言えます。何よりシステムが物体と繋がって動く瞬間は、インターネットという血流を使って命を吹き込むような感覚で、妄想していたものが目の前で動き出す感動がありますよ。

AIの進化というシーンにおいても、細かいデータを確実に収集しAIに食べさせることができる私たちの技術は重要な役割を担うと考えています。aptpodのビジネスという単位にとどまるのではなく、日本をリードする企業の様々な製品がコネクテッド化していくことによって、ひいては生産性の向上を通して日本のGDPを上げることもできるはずです。人口や国土の規模から高度経済の縮図とも言われる日本において、先進的に社会システムの実験を行い、それを世界に輸出していけるような未来を思い描いています。

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