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ANOBAKAのファンドパフォーマンスと投資ストラクチャー

葛西:本日はファンドの投資方針やパフォーマンスについて詳しく伺いたいと思います。よろしくお願いします。

萩谷:よろしくお願いします。

2021年12月に3号ファンド組成のニュースがありましたが、1号2号のファンドを振り返ってパフォーマンスはいかがでしたか?

萩谷:1号ファンドは2016年4月から17億円のファンドを運営しており、48社に投資しています。組成から6年経っているのですが、時価評価ベースだと5倍程度になっており、良いパフォーマンスになっています。実際に上場路線になっている投資先が10社近くあるので、良いEXITができるように引き続き支援を行って、最終的に10倍程度のリターンを目指したいと思っています。2号は2018年10月から開始していて、28億円程度のファンドを運営しています。1号と同じくシード/アーリーステージの会社に59社投資しています。直近で投資したところがたくさんあるので倍率はそこまで大きく変化はないですが、エース候補になり得る、治験領域のBuzzreachや、NELLというマットレスのD2CをやっているMorght、トイサブ!というおもちゃのサブスクを運営しているトラーナがあり、2号ファンドも期待できます。

2号はまだ直近の投資があるので結果はわからないと思いますが1号ファンドはすでにいいパフォーマンスが出ていると思います。振り返ってみて、パフォーマンスが良くなった要因として考えられるものはありますか

萩谷:特に1号ファンドと2号ファンドで投資戦略に差分はないです。ただ、DXの波が来る前の2016年、2017年の早いフェーズで投資させていただいた投資先が先行優位をとれているのが大きいと思います。2号の投資先もプロダクトをしっかり磨き込んで顧客と向き合っているところなので、マーケットの波に確実に乗れれば同じように成長できると思います。

葛西:ブームが来たものに投資するというよりは、波が来る前から投資をすることが重要なのでしょうか。

萩谷:その通りです。ブームが来てからだと遅く、このマーケットが来るだろうとか、人の価値観の変化やデバイスの変化を見極めて、新しい流れが来る前に仕込んでいることが大切です。波が来る前からもがきながら本質的価値をプロダクトに落とし込んだり顧客と向き合ってソリューションを考え続けることができる起業家が強い印象ですね。

葛西:1号ファンド、2号ファンドの投資先にはどういった特徴がありますか?

萩谷:ANOBAKAはIT領域でオールジャンルに投資をしており、特に領域は定めていないのですが、「産業DX」「D2C」「サブスクコマース」が大きく伸びてきていますね。例えば産業DXの場合だと、物流版Uberのような物流のマッチングサービスをしているCB cloud、建設の職人さんのマッチングプラットフォームをやっている助太刀や、ヘルスケアで女性向けのオンライン診療をやっているネクイノが大きく伸びています。今ではD2C、サブスクという言葉が広がって多くの事業がありますが、2018年あたりのサブスクコマースがまだあまりない時に大きく調達しているユーザーライクに投資してサブスクの成功事例を作っています。最近だと大きく成長しているClearという高級日本酒のブランドにもシードから投資させていただいていています。

3号ファンドを組成されましたが、どういったストラクチャーで投資していくか教えていただけますか。

萩谷:1号ファンドと2号ファンドでもANOBAKAはシードに特化して投資していました。バリュエーションも基本的に5億円以下の会社に投資をすることがほとんどです。プロダクトリリース前や直後のユーザーがつく前の段階で投資させていただき、一緒にPMFを目指して、preシリーズA、シリーズAにつなげていくようにやってきました。3号ファンドでも投資方針は変えずに同じ投資方針でぶれずにやり続けます。

葛西:投資額やフォローのタイミングは変わるのでしょうか?

萩谷:基本的に3号ファンドでは100社程度に投資する予定です。これまでのバリュエーションレンジと変わらずシード、プレシードに投資を行っていきます。変化があるとすれば、プレシリーズAのようなラウンドでPMFが見えてきていて、大きく伸びそうな信頼できる起業家の場合は2号ファンドより積極的に投資する可能性があると思います。かつシリーズA、Bに対するフォロー投資も行います。なかなか今まではファンドサイズ的にシリーズA、Bでラウンドを引っ張るような投資はできなかったんですが、3号ファンドではしっかり支援したいところにはシリーズA、Bでもリードできるように投資していきたいです。

葛西:絞って少数に投資していくのではなく、投資の件数も増やしながら、より伸びているところを支援を厚くしていく形ですか。

萩谷:その通りですね。まだまだシードで投資する投資家が少ないと思っているので、リスクをとってしっかり投資するのが役目だと思っており、投資件数を増やそうと思っております。コロナの時期を経て起業家自体も事業アイデアも増えてきている状況なので、これまで以上に投資スピードが上がっていくと思います。

オールジャンルということでしたが、3号ファンドで特に注目している領域はありますか

萩谷:基本はIT領域でオールジャンルに投資をしているので特定の領域に絞っていませんが、1号ファンドと2号ファンドで投資を行ってきた「産業DX」「D2C」「サブスクコマース」は引き続き投資をしていきたいと思っています。これまで投資を行った投資先の伸びるノウハウも共有できるので、ハンズオン支援に関してもより強固にできるのではないかと考えています。特に産業DXは建設、物流、不動産、保険、ヘルスケア、脱炭素と大きく波が変わっているタイミングで、DXで3〜5年の間に大きな変化が起きる領域なので確実に投資をしていきたいと思っています。基本はすでに流行している領域に投資するよりはこれからくる領域、特にWeb3メタバースは投資の仕込み時期で、解像度高く未来を語れる起業家が生まれてきている状況なので、しっかりと投資していきます。

投資家として大切にしている考え方や信念はなにかありますか

萩谷:起業家の方々は業界やマーケットを変えようとチャレンジし、一歩踏み出していて本当に素晴らしいと思っています。シードの投資家は起業家が初めて会う投資家なので、そこでちゃんと向き合わないと、機会を逃して日本経済への打撃にすらなると思っています。一つ一つ人と向き合って話を聞いて、共感して、対峙していくことを大切にしています。シードの投資は投資してからの付き合いが長く、上場まで7年、10年かかることもあるので、信頼できる人と向き合い続け、ビジネスマンとしても人としても成長していくことが重要です。その結果として産業に大きなインパクトを与えたり、なくてはならないものになっていってイノベーションが起きていけば良いと思っています。今を大切に人と向き合いながらやっています。

葛西:シードVCとしてのやりがいはありますか。

萩谷:シードVCとしてのやりがいは、まだ見ぬ誰も気がついていない価値に出会えて、数年かけて認められるスタートアップに初期から携わり共に成長できるところです。また、それが複数同時に体験できるところが面白みだと思います。

3号ファンドの立ち上げに伴い、メンバーも増やしていくことになると思いますが、シードの投資家にはどういったスキルや要素が必要になると思いますか

萩谷:大前提として知的好奇心は絶対に必要で、今ある情報をしっかりと自分で集められる必要があります。また、足を動かして一次情報を取りに行くコミュニケーション能力も大切です。加えて重要だと思っているのは、起業家が語る熱いビジョンに共感する力です。ビジョンに共感し、未来に対しての事業戦略を一緒に描ける素質がある方がシードの投資家として向いていると思います。

葛西:ANOBAKAに向いている人はどんな人だと思いますか。

萩谷:ANOBAKAはシードのベンチャーキャピタルとして戦っていきたいという思いがあり、素直でアントレプレナーシップを持った方が重要だと思っています。ANOBAKAはチャレンジを至高の概念とする会社なので、自らチャレンジしてANOBAKAをより良い組織にできるような人と一緒に働きたいです。

葛西:実際にANOBAKAは萩谷さんから見るとどういう会社ですか。

萩谷:個性の強いメンバーが集まっていて、自由で自分の強みを出していける組織になっています。組織としてもANOBAKAのビジョンに共感していて、ANOBAKAが評価されると嬉しいみたいな感覚がそれぞれあるので、個としても組織としてもいい働き方ができていると思います。

葛西:今後ANOBAKAをどういう会社にしていきたいですか?

萩谷:基本的には3号ファンドを含めた各ファンドを圧倒的に成長させるというのが大前提にあります。日本のシード期のスタートアップ を下支えし、インフラになるような企業になりたいと思っています。セレクティブに良い起業家に投資して、惜しみなくノウハウなど支援を行い、これからの産業を担うようなユニコーンや1兆円企業を目指せる企業を作る支援を行いたいです。組織としては何十年も続くようなベンチャーキャピタルにしていきたいという思いが強いので、組織としてキャピタリストを育てて、どんな人材でも一定のパフォーマンスが出るようなキャピタリストを育成できるようにしていきます。

葛西:本日はお時間いただきありがとうございました。

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