株式会社雨風太陽の代表・高橋博之の頭の中と人柄を、たっぷり知っていただくための文章やコンテンツをまとめました。
ついつい盛りだくさんの内容になってしまったので、気になる項目からチェックしてみてください!
まずはじめに。代表・高橋博之ってどんな人?
東日本大震災を機に、政治家から起業家へ転身し一次産業の世界へ
高橋は、団塊ジュニアの最後の年、1974年に岩手県花巻市で生まれました。
前年、高度経済成長が終わりましたが、その残像を引きずる団塊世代から、都会の会社でネクタイを締める人生がよいとの価値観を刷り込まれ、18歳で上京。見つかるわけもない自分探しに没頭しました。
大学を出るときは超就職氷河期で、新聞社の入社試験を100回以上受けたものの、全滅。新聞記者を諦めた高橋は、政治家への転身を決意。議員秘書の下積みを経た29歳の時に帰郷し、岩手県議に立候補。見事当選します。
そして2011年3月11日、高橋の人生に転機が訪れました。東日本大震災です。
当時、岩手県議会議員だった私は、それまで交わることのなかった都市の消費者と地方の生産者が被災地で初めて出会い、お互いを知り、活動を共にするにつれ、関係性が深まっていく様子を目にしました。
東北の農漁村は、震災前から過疎・高齢化で衰退していました。食べものをつくっている生産者自身が食べていけない、後継者がいない、耕作放棄地が広がる、鳥獣被害が増える、気候変動が猛威を振るう…
ボランティアとして被災地に訪れた都市の消費者は、そのような地方の生産現場の実態に心を痛めたり、食べものの裏側にいた生産者の哲学や生き様に共感したことで、継続的な復興支援に参加していきました。
一方で、東北の豊かな自然に触れ、目の前の困っている人を助け感謝されることで、都市生活では得にくかった生きる実感ややりがいを得て、支援に来たはずの彼らが逆に被災者から救われる場面も数多く見られました。
困っていたのは地方だけでなく、生かし生かされ合っている自然や人間とのつながりが希薄になり、生きる実感を失っていた都市もまた、同じだったのです。
このとき、消費者と生産者がもう一度関係性を紡ぎ直すことで、「疲弊する都市」と「衰退する地方」の双方が抱える課題を同時に解決できるはずだと確信しました。
生産者たちの世界が、物質的豊かさを実現した社会の新たなフロンティアになる、そう確信した高橋。
震災後はその思いをいっそう強め、2011年夏の岩手県知事選に立候補し、「これからは農山漁村にこそ希望の種をまいていかなければならない」と訴えるも、落選してしまいます。
それなら、口で言っていたことを今度は実際に手と足を動かしてやってみようと、政治家から事業家へ転身しました。
「東北食べる通信」の創刊、そして「ポケットマルシェ」サービス開始
2013年に【NPO法人 東北開墾】を設立し、世界初の食べもの付き情報誌『東北食べる通信』の創刊を実現。代表・高橋が自ら編集長として、毎月一人(軒)、東北各地の生産者の生き方や現場の様子などの記事に新鮮な食材を添えて、読者に届けていきました。
そして【一般社団法人 日本食べる通信リーグ】を創設してから今日に至るまでに、日本全国と台湾の50地域でご当地の食べる通信が誕生しました。
創刊翌年には、第1回日本サービス大賞地方創生大臣賞受賞も。
わたしたちが果たすべき使命は、食に”参画”する回路を開くことです。海や土からつくられる食が食卓へ届くまでのプロセスを共有し、生産者の思いや哲学に触れ、様々なかたちで”参画”していく。そのかたちには、知る、購入する、体験する、学ぶ、交流する、コミュニケーションをはかるなどがあります。
食に関わるおもしろさ、社会にコミットするおもしろさを実感できる独自のサービスを開発、提供します。食をつくるプロセスの一部に自ら”参画”した食材が、数ヶ月後に食卓に届くことで、断絶していた「つくる」と「たべる」をつなぎます。これまでの消費社会には、このつながりが欠落していました。そこにあるのは、単なる食とお金のやりとりだけ。
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これまで相容れないとされてきた「競争を避ける内に閉じた『地方の共同体を重視する社会』」と「競争を促進する外に開いた『都市の個人を重視する社会』」が、食を介して混ざり合った先に、活力に満ちた新たなコミュニティ、新たなふるさとを創出し、心躍るフロンティアを開墾していきます。
更に2016年9月には、新サービス「ポケットマルシェ」をスタートさせます。
「なぜポケットマルシェを始めたのか。」
答えは、単純です。小中規模農家が食べていける道をつくりたかったからです。
14年間、生産現場を歩いてきて、小中規模農家から「今の大規模流通に頼るだけじゃジリ貧だ」という声をたくさん聞いてきました。どうしたらいいのか聞くと、価値を認めてくれる消費者に直接売りたいという答えが圧倒的に多かった。土日に都会でやっているマルシェなどがそういう場なのだけれども、土日しかやってないし、都会までわざわざお金と時間をかけて行かないといけない。そんな声に触れ続け、じゃあ、畑にいながら毎日マルシェに出品できるようになればいいよね!と、つくったのがポケットマルシェです。
産直EC「ポケットマルシェ」の最大の特徴は、全国の農家・漁師と消費者が、顔が見える個人として直接コミュニケーションをとれる「メッセージ機能」「コミュニティ機能」を備えているところです。
消費者からは、地元での食べ方や保存方法など、気になることを生産者に直接質問できたり、「コミュニティ」機能では、消費者と農家や漁師の方々がそれぞれ「ごちそうさま投稿」や、産地の様子などを日々発信しています。
クレーム対応や販促を手伝ってくれる類似サービスは増えていますが、ポケマルでは生産者の方々が自立することが重要だと考えています。いいものをつくって、自分が納得できる価格で販売して、農業、漁業を生業として続ける。価格決定権があれば、モチベ―ションにもなります。中間業者のいないポケマルという販路を利用して、農家さんや漁師さんに稼いでいただきたいと思っています。
消費者の方々も、一次産品ができるプロセスに目を向けてほしいと思います。農作物は病気になることがあれば、死ぬこともある。ときに漁師さんは、自分の命を危険にさらして漁に出ています。そうした生産品の裏にある「生産者の顔」を知れば、再生産可能な価格で買おうと考える消費者が増えるのではないかと思います。1人でも多くの消費者に、ポケマルを通じて生産者の顔を知っていただきたいですね。
(生産者と消費者を直接つなぐ「ポケットマルシェ」 ――野菜や魚が適正価格で流通する持続可能な世界を目指す)
ポケマル上では消費者と生産者は『お客様』や『農家さん、漁師さん』ではなく、お互いに名前で呼び合っています。このような関係がもっともっと広がっていけば、一次産業の在り方、そして日本の食生活も変わっていくはずだと、高橋は考えます。
サービスリリースから今日に至るまでには、生産者と消費者の間で様々なエピソードが生まれてきました。
例えば、災害時などのいざという時、生産者と消費者による情緒的なつながりは大きな力になるのです。
自分とつながっているのだから、もはや他人事じゃない。相手の悲しみを我が痛みと感じることができれば、心が揺さぶられる。黙っていられなくなる。当事者として動く。自然災害が多発する時代だからこそ、日常からそんなつながりを日本中に広げていきたい。そんな思いから、食べる通信とポケットマルシェは生まれ、これまで6年間取り組んできた。
今こそ、私たち消費者の出番である。日頃、私たちの食卓を支えてくれている生産者が窮地に追い込まれているのだから、今度は私たちが生産者を支えるときだ。ときだなんて言われなくったって、顔が見える関係でつながっていれば、ほっとけなくなるに決まってる。だって、ぼくら人間だから。
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そして、生産者と消費者だけでなく、ポケマル内では生産者同士の連帯も始まっている。
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異質な世界を生きる生産者と消費者が"共感"でつながる、同質な世界を生きる生産者と生産者が"共感"でつながる。そうしたつながりを網の目のように日本中に張り巡らせることで、自然災害へのリカバリーの力を養う。これが自然災害が当たり前になった時代に、私たちができる「備え」である。それが、私たちの命の根底を支える食の生産現場をみんなで守り育てる道になる。だから引き続き、生産者と消費者の間に入って、お節介を焼き続けようと思う。
高橋博之 note 「共に生きる〜台風19号被害に寄せて」
その他にもサービスリリースから今日に至るまでには、生産者と消費者の間で様々なエピソードが生まれてきました。
関係人口提唱の第一人者
このように、被災地、食べる通信、ポケットマルシェを通じて目にしてきた新しい情緒的なつながりを、高橋はやがて「関係人口」と名付けました。(自身の著書「都市と地方をかきまぜる」の中で、国内で初めて刊行物にて発表)
この「関係人口」を地域再生主体として、農漁業者の生産活動や地域課題の解決に参加させていくことができれば、生産者や地域住民の当事者意識も涵養され、外と内の協働による課題解決が始まる。たとえ人口が量的に減っても、地方の現場に関わる人が増えていく人口の「質的変換」がなされれば、地域社会の再生は可能なはずだ。その突破口を切り拓く可能性が「食」にはあることを示したい。
(【産直アプリを通じた関係人口創出に関する生産者調査】「お客さんが関係人口になっている」生産者は約6割、生産者の8割以上が「地域を訪れる形の関係人口」創出に意欲的)
現在は、内閣府が「関係人口創出事業・拡大事業」を立ち上げるなど、国や地方自治体による「関係人口」創出の動きも盛んになっています。
雨風太陽としての取り組みについては、こちらをご参照ください。
生産と消費の新たな関係を追求し「共に生きる」社会の実現を目指す
ここまで、高橋の経歴と併せて、雨風太陽の歩みを辿ってきましたが、2022年に社名を「雨風太陽」に変更した今も、高橋が掲げる想いは変わりません。
MISSION:都市と地方をかきまぜる
VISION:日本中あらゆる場の可能性を花開かせる
「都市と地方をかきまぜる」という考え方の新しくて太いところは、都市のいいところと地方のいいところをフラットに見て再配列し、互いの課題を解決しながらこれまでにない価値を一緒に生み出すところにあります。
現代社会では、本来不可分である消費者と生産者、都市と地方、人間と自然は分断されてしまっています。
私たちは、消費者と生産者の接触面積を広げ、都市と地方のあいだに「関係人口」を生み出すことで、日本中あらゆる場の可能性を花開かせていきたいと思います。どの土地にも等しく自然の恵みをもたらす、雨や風、太陽のように。
被災地で生まれた関係性を、全国各地で平時から再現すること。すなわち、都市と地方をかきまぜ、生産者と消費者をつなぐことで「関係人口」が拡大すれば、双方の抱える課題は解決へと向かうはずです。
これからは「食」に限らない様々な領域で、全国の一次産業の現場を起点に、生産者と消費者の接触面積を増やす事業を展開していきます。そして、雨や風、太陽のように循環を生み出し、地域社会の活性化を実現します。
参考:各事業について
・ポケットマルシェ: 全国の農家・漁師と直接やり取りしながら旬の食材を購入できる産直アプリ
・食べる通信:食のつくり手を特集した情報誌と、彼らが収穫した食べものがセットで定期的に届く食べもの付き情報誌
・ポケマルふるさと納税:生産者や地域と継続してつながるふるさと納税サービス
・ポケマルでんき:生産者の作った電気を提供し、都市と地方をつなぐソーラーシェアリング・電力小売事業
・親子地方留学プログラム:日本全国の生産者のもとで自然に触れ、命の大切さを学ぶ+ワーケーションプログラム
ここからは、高橋のインタビュー記事、講演・対談、書籍などをまとめています。
インタビュー記事
◆高橋のライフストーリーから
◆問い、想い
◆会社の歩み
書籍
◆『だから、ぼくは農家をスターにする』
2013年に東北で生まれ、全国に広がった「食べる通信」。つくる人と食べる人の間で日々起きている化学反応と、挑戦の記録が綴られています。
だから、ぼくは農家をスターにする 「食べる通信」の挑戦 www.amazon.co.jp 171円 (2022年05月26日 15:54時点 詳しくはこちら) Amazon.co.jpで購入する
◆『都市と地方をかきまぜる』
これまでの「地方創生」の文脈では語られてこなかった「都市」と「地方」の課題がある、と声を上げる高橋。両者の課題を切り口に、これからの農漁業、地域経済、消費のあり方、情報社会における生き方までを語り尽くした一冊です。
都市と地方をかきまぜる 「食べる通信」の奇跡 (光文社新書) www.amazon.co.jp 814円 (2022年06月03日 12:24時点 詳しくはこちら) Amazon.co.jpで購入する
◆『人口減少社会の未来学』
21世紀末、日本の人口が約半数になる⁉ この大きな変化に対して私たちは何をなすべきかについて、高橋を含めた十一人の識者がそれぞれの視点から語ります。
人口減少社会の未来学 (文春文庫 う 19-26) www.amazon.co.jp 869円 (2022年05月26日 15:54時点 詳しくはこちら) Amazon.co.jpで購入する
◆『共感資本社会を生きる』
「お金」を「幸せになるための手段」と再定義するコミュニティ通貨eumoの代表・新井和宏さんとの対談本。「お金」と「食」の観点から、働き方や幸せについて、本気で、本音で語り合い、行き過ぎたグローバル資本主義に警鐘を鳴らします。
共感資本社会を生きる 共感が「お金」になる時代の新しい生き方 www.amazon.co.jp 1,760円 (2022年05月26日 15:54時点 詳しくはこちら) Amazon.co.jpで購入する
◆『人と食材と東北と つくると食べるをつなぐ物語 「東北食べる通信」より』
「東北食べる通信」を通じて発信してきた、食と風土が放つ豊かな彩りや味わい、そして生産者の姿勢を感じられる20のストーリーを収録した一冊。
人と食材と東北と つくると食べるをつなぐ物語 『東北食べる通信』より www.amazon.co.jp 2,530円 (2022年05月26日 15:54時点 詳しくはこちら) Amazon.co.jpで購入する
講演・対談
◆平成の百姓一揆(2019)
高橋が雨風太陽で目指す社会を語った講演です。
◆REIWA47CARAVAN(2020)
東日本大震災から10年を前にしたタイミングで新型コロナウイルスに見舞われた2020年。高橋は47都道府県を巡り、各地の生産者と出会う旅に出ました。
特設サイトには、行脚を行うにあたっての課題意識を、そしてnoteには各地のレポートを掲載しています。
趣旨 | REIWA 47 キャラバン 東日本大震災の現場で目にした「生産者と消費者のつながり」を日本中に広げるべく、「ポケットマルシェ」を立ち上げた高橋。Wit 47caravan.com
◆世なおしするべ!(2021)
代表高橋が、現代社会の抱える問題の本質に迫り、有識者の方々と熱く対談するオンライン対談イベント。養老孟司さん、石川善樹さん、山口周さんとの対談をアップしています。
世なおしするべ! 「世なおしするべ!」は、ポケットマルシェ代表の高橋博之が、現代社会の抱える問題の本質に迫り、有識者の方々と熱く対談するイベ www.youtube.com
◆ごにょすた(2019)全9回
『ごにょスタ』とは、ポケマルをご利用くださっている生産者さん・ユーザーさんをポケマル代表の高橋がお招きし、美味しいお酒とポケマル生産者さんの食材を味わいながらごにょごにょと語り合う番組です。
ポケマルを通して生まれている生産者さんとユーザーさんの関係性が、ビビットに伝わってきます。
記念すべき第1回のテーマは、「『ごにょごにょする』ということ」。ご視聴の際は、ぜひこのエピソードから、番組に込められた思いや、ポケマルが作っていきたい世界を感じていただければ嬉しいです!
podcastでも配信中!
◆ポケマルライブ車座編〜東日本大震災から10年を振り返る〜 (2021)全11回
東日本大震災により被害を受けた生産者さんとポケットマルシェ代表高橋が、震災後の10年を対談形式で振り返り、一次産業のこれからを語り合うライブ配信です。
podcastでも配信中
◆高橋博之の歩くラジオ (2021〜2022)
高橋と、社会を“生きる”ゲストととのオンライン対談です。ゲストのみなさんは、農家・漁師、起業家、研究者、行政官、メディア、NPO、学生……と様々な立場から、自分たちの生活する場、自分たちの生きる社会をよりよくしていこうと、熱い想いや強い志をもって働きかけている方々です。自分の“生きる”日々を振り返り、背中を押してもらえるような番組です。
※現在、Youtube LiveとFacebookでの生配信は行っていませんが、Youtube上のアーカイブでは全エピソードを公開している他、Podcast(anchor, Apple Podcast, Google Podcasts, Overcast, Pocket Casts, Radio Public, spotify)にて、毎週月水金に随時更新中。
「高橋博之の歩くラジオ」はVoicyにて新シリーズをお届けしています!(後述)
◆TEDxTohoku(2014)
2014年に高橋が登壇し、東北食べる通信について熱く語った伝説の映像。
https://www.youtube.com/watch?v=s-iBTD67bgM
SNS
SNSでも日々「博之節」を発信中!ぜひ覗いてみてください。
◆note
140字に収まりきらない高橋の想いは、こちらに綴られています。
高橋博之@ポケットマルシェCEO|note ポケットマルシェ CEO / 東北食べる通信 編集長 / 日本食べる通信リーグ 代表 / 岩手県議を経て、2011年岩手県 note.com
◆Voicy
日本中の朝を散歩しながら日々の思いや地方創生を熱苦しく語るラジオチャンネル。
食と農、生産者と消費者、都市と地方、人間と自然、生と死、地方創生、関係人口、2拠点居住、デジタル田園都市、生きるリアリティの再生、気候変動、well-beingなど、日々、考えていることをおすそ分け配信中!
これまで同名で配信していたYoutubeライブ版と同様、対談や車座のライブ配信もやっていく予定です。
いかがでしたでしょうか?
このnoteを通じて、雨風太陽代表・高橋の想いを、より深く知っていただけたら嬉しいです。
「雨風太陽 / 代表のこんなこと知りたいよ!」という要望もお待ちしております!
ポケットマルシェSNSもよろしくお願いします!
こちらでもぜひお待ちしています!