株式会社アイシス 代表取締役の政平です。
シリーズ)IT業界の仕組み8の 続きです。
最近「文系でも大歓迎」といって、プログラマーの募集をするIT会社が増えています。
でも、文系がプログラマーになるのは、きついのではないかと心配する文系の学生の方は多いことでしょう。
私はIT業界に20年いて、いろいろな技術者を見てきました。
その経験をふまえ、結論からいうと
文系からプログラマーになるには
まさに「きつい」と思います。
「文系でもプログラマーになれる。
但し、全員がプログラマーになれるわけではない。」
私の会社はプログラマーを新卒(=未経験)採用しています。
内訳は、理系、情報系の学部とともに、文系も採用します。
うちの会社に応募し入社してくれた文系の社員をヒアリングし
活躍している社員を分析しました。
その結果、プログラミングを習得するために必要な心がまえは
三つあることが分かりました。
それは
1.素直にルールを飲み込むこと
2.一定期間がまんすること
3.プログラミングを楽しむこと
尚、これは男女関係なく言えることです。
(私の持論ですが、よきエンジニアになるのに男女は関係ありません)
それではプログラマーになるための三つの心がまえを
詳しく解説していきます。
1.素直にルールを飲み込むこと
頭の良し悪しと、この業界が合う合わないは全く異なります。
プログラムは規約(ルール)のかたまり。
「なぜそうなるんだ?」という疑問はいらないのです。
それよりもプログラマーはルールをドンドン頭にいれて
「どうやって実現しよう」に気を向けるべきなんです。
プログラマーに一番不要な考え方はなんだと思いますか?
それは『文学的、哲学的な発想』です。
これがプログラマーには、邪魔なんです。
コンピューターの世界では手法やいろいろなルールが決まっています。
ノイマン型というアーキテクチャー(考え方、構成)に従い、
(注.近年、非ノイマン型に注目が集まっています)
コンピューターのメモリーにプログラムや計算値が記憶され、
逐次処理方式で処理される。
プログラムはメンテしやすいようコーディングルールがあり。。などなど
ルール、手順が決まっており、
すべてはゼロとイチ(0と1)の世界で処理される。
そのルールに対して「なぜ?」と考えるより
まずは「素直にルールを飲み込み」プログラムを使いこなせることを目標としましょう。
まずこれができなければ、文系、理系もプログラマーになれません。
2.一定期間がまんすること
物事の習得には、長い時間かかります。
知識や経験の蓄積が必要です。
皆さんも聞いたことがあると思います。
例えば外国語を習得する際、習得率は学習時間と正比例しない。
ある時を境に、急に習得率が向上する。
これを学習曲線といいます。
学習時間の割に、習得率が伸びない。
伸び悩みを感じる期間を高原現象(プラトー現象)と言います。
※今まで山の斜面のように成長を感じていたのに、山の中腹にある高原のように平らであり成長(斜面)を感じられないことから高原現象という。
ここで悩み、あきらめる人が圧倒的に多い。
ダイエットを途中で挫折してしまう人も同じ理由です。
では、あきらめないために何が必要か?
それは現実を知ること。
自分がどれだけの高い山に登ろうとしているのか。
富士山に登るのに、高尾山に登るような気軽さでは途中で断念してしまいますよね?それと同じです。
目標の山に登る断固たる決意が必要です。
プログラマーには簡単にはなれません!
IT会社の採用募集要項で「文系でもプログラマーは簡単になれますよ」
なんて言っているとしたら、それはウソです。
簡単になれないから自分の市場価値が上がるんです。
一人前のプログラマーになるためには、覚えることがたくさんあります。
ただ、皆さんに2つ朗報があります。
1つ目は、学習曲線は何度も繰り返す毎に習得期間が短くなり、学習時間も短くてすむということ。
このIT業界で誰もが経験すること。
あんなに1つのプログラミング言語を習得することが難しかったのに、
2、3つめのプログラミング言語を覚えることはやさしい。
2つ目の朗報は、プログラマーになるのは富士山を登るより容易いということ。山でいうと筑波山くらいでしょうか?(笑)
プログラマーは、限られた天才のためのものではなく、本気になればみんなができるようになるのです。
この話は、学生のみならず、現在社会人1~2年生でプログラマーになることに、"きつい"と感じている人こそ読んでほしい。
あなたも断固たる決意をもって、プログラマーになりましょう!
3.プログラミングを楽しむこと
プログラマーはプログラミングを楽しむ必要があります。
というより、プログラミングの時間が何より好き
と思えるプログラマーが伸びます。
2の「一定期間がまん」できる理由にもなれます。
好きこそ物の上手なれ。という話です。
この意味で、一部の理系や情報系が有利です。
なぜなら、プログラミングを経験(体感)しているからです。
プログラミングは、数学に似ています。
インプットがあって、ある処理(これがプログラミング)をして
アウトプットがでる。
I(Input)-P(Process)-O(Output)
自分の意図したとおりに答え(Output)が出力されると、答え合わせができた数学のような感動を覚えます。
簿記を知っている人は、簿記試験の計算とも通じるものがある。
この業界に向いている人か否か。
私がプログラミングをかじった人に、面接でよく聞く質問があります。
なんだと思いますか?
それは「プログラミングをして楽しかったか?」ということです。
「楽しかった」と言える人は、IT業界の第一関門をクリアしたも同然。
みなさんに良い提案があります。
無料のプログラミング講座を受けてみることです。
有料のプログラミング講座でも、無料の部分があります。
プログラミングをちょっとかじる程度でよいのです。
"Hello, world."
プログラミングをして、この文字を出すことに感動を少しでも覚えるなら
あなたはプログラマーとして向いていると言えます。
但し、この章の注意点があります。
プログラミングを習得する途中で「楽しめない」=「向いてない」
と思ってはいけません。
誰でも、どんなことでも、苦労は付き物。
苦しい時をひと山超えたら今よりもっと好きだと思えます。
まとめ
ここで述べたことをまとめます。
プログラミングの手順を素直に飲み込み、
そして一人前のプログラマーになるまでは
あきらめずに焦ることなく、断固たる決意で学習する。
そしてその苦しい過程も含めて楽しむこと。
確かに文系でプログラマーになることは、きついです。
しかし正しい心がまえさえできていれば、
文系の方であっても必ずや、よいプログラマーになれます。
私はIT業界20年の経験の中で、数々のプログラマーを見てきました。
理系、情報系などの学生時代にプログラミングを経験しているメンバーと、文系とでは、新卒研修中に大きな差があります。
1年目は「大丈夫かな」と思った文系の子でも、2年も経つと理系、情報系と見分けがつかなくなり、30歳になる頃には大活躍している。
文系出身なの?とお客様から驚かれるくらい活躍している人はたくさんいますよ。
もっと早くから活躍する人もいます。
うちの文系出身の技術者(入社3年目女子)から聞いた話。
「私は一度もつまずいたことがありません」
この社員は現在も大活躍しています。
反対に、中途半端な心がまえが原因で途中リタイア。
またはIT業界をよく調べずに業界に入った後で、実はプログラマーは肌に合わなかったと辞めてしまう。
そんな方々も山のように見てきました。
犠牲者が一人でも減るように、ここにまとめました。
IT業界はこれからもっと社会から必要とされ、ますます成長する業界だと私は信じています。
この素晴らしさを、みんなにも味わってほしいと切望します。
それでは。
(「IT業界の仕組み その10」に続く)
ここでも語っていきますが
noteでIT業界やエンジニア、社会人として成長するための記事を連載しています。
もしご興味ある方は、以下からお願いします。
note 政平秀樹
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