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【CEOインタビュー】A Inc.の未来に迫る。挑戦の総数を増やし、「国力アップ」に貢献する

中嶋 泰(Yasushi Nakashima)CEO

愛知県生まれ。株式会社インテリジェンス(現:パーソル)に入社し、転職支援サービス「doda」立ち上げに携わる。2009年より、東京ガールズコレクション(TGC)実行委員会インフルエンサー統括プロデューサーを務める。2017年にA Inc.(エース)設立。




SNSは世論さえ動かす、大きな可能性のある領域

ーーあらためて株式会社A(以下、A Inc.)の事業内容を教えてください。

現在は、大きく2つの事業を展開しています。

1つ目は、SNSアカウント分析データ量国内No. 1を誇るAIマーケティングツール「A stream」の提供です。A streamは国内で初めてサイコグラフィック分析を実現したSNSマーケティングツールです。Instagram・YouTube・TikTokの合計133万以上のアカウントデータが蓄積されています。自社のPRに最適なインフルエンサーの発見、インフルエンサーマーケティングの効率化、アカウント運用のサポートなどに活用可能です。

2つ目は、A streamを使ったデータドリブンなインフルエンサーマーケティング支援です。長年培ったパイオニアとしての経験とマーケティングノウハウをベースに、仮説立案から、キャスティング、施策実行、効果検証まで一気通貫したマーケティング支援をおこないます。


ーー現在の事業を始めたきっかけを教えてください。

きっかけは、2016年におこなわれた大統領選挙でした。ドナルド・トランプ氏の勝利の裏には、膨大なデータをもとにした緻密なSNS戦略があったことを知り、SNSのマーケティング活用に可能性を感じたのです。

世界にインパクトを与えられるSNS事業の構想を始め、最初に着手したのが、Instagramのハッシュタグエンゲージメントをリサーチできる、 マーケター向けのツール開発でした。その後、さまざまな試行錯誤がありモデルチェンジを経て、今提供しているインフルエンサーマーケティングツール「A stream」の開発につながっています。

日本の国力を高め、世界からの評価を取り戻したい

ーーA Inc.の展望について、教えてください。

直近の目標は「ファッション業界におけるインフルエンサーマーケティングのリーディングカンパニー」から「SNSマーケティングのリーディングカンパニー」になることです。しかし、その先にはさらに壮大な「日本の国力を上げる」という目標があります。

私は大学生時代、知見を広げるために最後の1年間、バックパッカーとして世界中を周りました。アジアの国々をはじめ、ヨーロッパや中南米など多くの国々を訪れ感じたのは「日本人であることの誇り」でした。とくにアジアでは、まるで自分が芸能人にでもなったかのような扱いをされ、驚いたのを覚えています。ホテルの中の設備、街中を走る車やバイクのほとんどが日本製で、アニメをはじめ日本カルチャーが大好きな人にも多く出会いました。

とくにタイのバンコクでは、バンコク初の地下鉄であるブルーラインの建設が日本からの支援で進められ、日本の国旗があちこちに掲げられていました。そのような様子が誇らしく、これまで日本のブランドを築き上げてきた先輩方への感謝とともに、クールだと感じましたね。

しかし近年、海外から見た日本の存在感はどんどん薄れています。今、日本の若者が海外に行っても、日本人だからと、ちやほやされることは少ないでしょう。日本には昔と変わらず、世界に誇れる技術や感性があります。にもかかわらずグローバル展開が遅れており、せっかくの素材を活かしきれていません。たとえば、エンタメの世界で今勢いのある韓国は、もともと日本の芸能のシステムを真似してタレント育成システムをつくったと言われています。アカデミー賞を取った作品にも、日本の漫画を真似してつくられたものがあるそうです。うまくやれば、日本だってエンタメで世界を獲っていたかもしれません。

そのような状況を心の底から悔しいと思っており、かつて先輩たちが築き上げてきた日本のブランドをもう一度取り戻したいと考えているのです。

ビジネスを通じた教育で、優秀な人材を育てる

ーー「国力を高める」ために、A Inc.は何をするのでしょうか?

「ビジネスを通じた教育」の提供による、未来を担う人材の育成です。

そもそも私が教育の価値の大きさに気づいたのは、幼少期にまで遡ります。私は田舎町の、決して裕福ではない家庭で生まれました。情報格差が大きく、都会と比べて充実した教育は受けられませんでした。しかし、本を読んで世界が広がりましたし、さらに運が良かったことに、奨学金の存在を知って東京の大学へ通えました。そのおかげで、世界が広がり、将来の選択肢が圧倒的に増えたと感じているのです。

さらにいうと、私は学校教育というよりはビジネスを通じた教育に大きな可能性を感じています。今生きるうえで役立っているスキルや経験は、仕事現場で学んだことがほとんどだからです。私の場合、最初にしっかり仕事と向き合ったのは大学生時代で、縁あってとある企業の事業立ち上げに携わったときでした。

おもしろくてのめり込み、気がつけば学校にも行かず、ほとんどの時間を仕事にコミットする毎日を送っていましたね。そのときに培った人脈や、学んだビジネススキル、ビジネスそのものに対する考え方のおかげで今があると思っています。

また、流行を創り出すメディアのおもしろさを感じたのも、このタイミングでした。


ーーA Inc.がどのようにして、「ビジネスを通じた教育」を提供するのでしょうか?

A Inc.に関わるメンバーにとって「挑戦できる場所」であり続けることだと思っています。

私はこれまで多くの人と出会うなかで、成長する人もそうでない人も見てきました。成長する人には共通点があり、それは「挑戦をしている」ことでした。成功か失敗かにかかわらず、とにかく人よりも多くの挑戦をしている人こそが、挑戦の数に比例して、大きく成長をしていると感じたのです。

考えてみれば当たり前のことだと思います。野球で例えるなら、誰もがイチローのように高い打率でヒットを打てるわけではありません。ただ、イチローの2倍打席に立てば、仮に打率が2割でもヒットの数ではイチローに勝てます。失敗しても何度でも挑戦し続ける精神力や行動力があれば、他の素養は関係なく、自ずと勝っていくものです。

とはいえ、何の後ろ盾もないところで挑戦を繰り返すことは難しいでしょう。そこで重要になるのが、仮に失敗をしたとしても怪我をしない環境です。A Inc.はそのような、志ある人が挑戦をするための受け皿でありたいと考えています。

A Inc.は今、市場へのインパクトの大きさや今後の展開を考えて、インフルエンサーマーケティング事業を中心に展開をしていますが、同領域に留まるつもりはありません。関わるメンバーが伸び伸びと、何度でも挑戦ができるよう、事業領域も売上規模も拡大を続けるつもりです。

A Inc.自体も「失敗をするけれど、最後には勝つ」という会社でありたいと思っています。

新規事業をハイペースで展開し、メンバーの挑戦を加速させる

ーーA Inc.の直近の目標について教えてください。

現在、過去最高売上を更新し続けており、創業以来順調に事業規模を拡大している状況です。しかし、私としてはコロナの影響で、もともとの予定よりは遅れていると感じています。思うように販路拡大ができなかった期間、磨き込んだプロダクトを武器に「2028年までに時価総額100億円」を目指し、挑戦を進めたいです。

企業価値にこだわるのは、会社の与えられるインパクトがそれだけ大きくなると考えているからです。100億円規模の企業よりも1兆円規模の企業の方が大きなスケールのビジネスに参入できます。勝負するタイミングを見極めつつ、ここぞという瞬間に最速で動ける備えをしておきたいのです。

とはいえ、A stream一本で勝負をするつもりはありません。同時多発的に複数の新しいプロダクトを開発し、合わせて展開をすることで加速度的な売上拡大を目指します。今年はA streamの東南アジアへの展開が成功し、現地の上場企業含むマーケティングエージェンシーやメーカーがを着々と導入をしてくれています。これからは、新しく開発するプロダクトも合わせて展開をすることで、A Inc.の存在感をさらに高めていければと考えています。

取り組む新規プロダクトの領域は、これまで積み上げてきたマーケティングノウハウを武器に、親和性の高い領域を選ぶつもりですが、特定の分野に絞るつもりはありません。誰かの課題解決につながるサービスであればよいですし、そのサービスがグローバル展開のできるビジネスモデルであれば、さらにいいと思います。日本のプレゼンスを高めることにつながり、日本に海外のキャッシュを集めることにもなると思うからです。我々のサービスをきっかけに、かつてのような、多くの国々の人から認められる存在に、もう一度日本が返り咲くための貢献ができればと思っています。

新しく立ち上がる新規事業の責任者は、既存の社内メンバーのから抜擢するつもりです。年次に関係なく、今の部署で成果を出しており、新しい挑戦に前向きで、そのうえ新規事業の構想にマッチした人材に任せていければと考えています。

さらに、新規事業の構想自体が現場のメンバーから上がってくる仕組みや環境の整備にも力をいれるつもりです。クライアントに喜んでもらえるサービスは、実際に現場にいるメンバーが誰よりも明確に描けるはずです。A Inc.を「ビジネスを通じた教育」が受けられる環境として存分に活用してもらうために、打席に立つメンバーを1人でも多く増やしたいと思っています。

ーーA Inc.は、若手であっても入社1年目でマネージャー職に抜擢されたり、インターンでも社員と同じような裁量権を任されます。そのような文化も、教育的な観点が強いのでしょうか?

そうですね。私自身が学生時代も含めて、ビジネスの世界でチャレンジをさせてもらえたことが成長のきっかけになりました。同じような経験を多くのメンバーに積んでもらいたいと思っています。A Inc.に関わるメンバーが成長し、ビジネスの世界で大きく活躍する様子を見ることが何よりの喜びです。

つい先日も、卒業するインターンを対象に、卒業式がおこなわれました。卒業生全員がA Inc.での経験に感謝をしてくれ、泣いている姿を見て、そのとき「報われた」と思いましたね。「会社をつくってよかった」と心から思いました。

A Inc.に関わってくれるメンバーには我々が提供できるものは惜しみなく提供するつもりです。仮に会社を離れることになっても、また別の形で一緒に仕事をしたり、戻ってきたいと思えるようなポジションを生み出し続けたいです。これからも、多くの人に挑戦の機会を与えられるような、おもしろい事業をどんどんつくっていければと思います。

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