<プロフィール>
小河恵美里(おがわえみり)
神奈川県藤沢市生まれの大学2年生(2022年時点)
宿場JAPANでのあだ名はエミュー(フランス語で「感動」という意味)。
高校で県内の国際高校に進学。多くの国際交流を通して、個性や多様性を尊重する文化に居心地の良さを感じる。母の影響から旅行に興味を持つようになり、これまでヨーロッパ、東南アジア、中東、東アジアなど10カ国に訪問。高校卒業後、第一志望の立教大学観光学部・交流文化学科に進学し、主に観光によって生み出される人と人との交流や、それが与える文化的影響など、人類学や社会学的な視点から「観光と文化・地域」に焦点を当て、多面的に観光について学んでいる。
2021年6月から、現在も継続している「宿場JAPAN」でのインターンに携わり、ゲストハウスの接客を中心に、宿場JAPANが経営してる一棟貸しホテルのSNS運営や、Wantedlyの執筆活動など様々なことに挑戦中。
品川を中心に5店舗の施設運営や、地方の宿泊施設開業コンサルティングを行う宿場JAPANには多様な経歴を持つスタッフ、インターンが集まっている。異なるバックグラウンドを持った宿場ファミリーがこれまでどのような人生を辿って、今宿場JAPANにいるのか。メンバーのライフヒストリーを紹介していく連載。
今回は、接客面では抜群の愛嬌でゲストをファンにし、SNS運用やほかマーケティングでも活躍してくれているインターン生の小河。
現在も長期インターンを継続中の彼女が語る宿場JAPANでの半年間とは。
ゲストハウスに縁もゆかりもなかった私が宿場JAPANでインターンをしているわけ。
インターンに応募したきっかけ。
遡ること昨年5月の初め。新型コロナウイルスが再び猛威を奮い、緊急事態宣言も再発令される中、大学の講義は1年生の頃と変わらずオンライン授業のみで、学校に通わない日々が約1年半も続いていました。そんなある日、とある会社でインターンをしている同級生の友人から「小規模宿泊施設のインターンに興味ある人はいないか?」という連絡が入りました。
宿場JAPANでインターンを始める前に、大学の有志で京都にあるホステル「WeBase 京都」とのプロジェクトに約4ヶ月間携わっており、元々小規模の宿泊施設には興味を持っていました。それに加えて応募する最大のきっかけとなったのは、多様な生き方の選択肢が存在する現代の世の中で、「コロナ」という理由だけで、ただ家に籠りながら時間だけが淡々と過ぎていくことをもどかしく感じていたからです。実際にゲストハウスに泊まった経験は1回程度で、自分にとってその存在が身近ではなかったのですが、現在大学で学んでいる業界のインターンを紹介してもらえたのは何かのご縁だと思いました。
▲大学の有志で京都にあるホステル「WeBase 京都」とのプロジェクトに参加
実際にインターンをすると決断した理由。
その後、6月の初めに採用担当の今津(ボブ)さんからゲストハウス品川宿の体験宿泊のお話をもらい、実際にゲストハウス品川宿に泊まりに行きました。品川すら何年ぶりかに訪れた私にとって、品川宿の町や、ゲストハウスはなにもかもが新鮮でした。特に旧東海道品川宿沿いにある商店街には、飲食店が多く連なり、徒歩圏内に銭湯があったり、電線柱の地下化と道路が整備された風情ある美しい街並みと、天王洲エリアの都会的なお洒落なまちが共存しあっていたりと、その日滞在しただけですっかりと品川宿の虜になってしまいました。
また、品川宿(ゲストハウス)の落ち着いたアットホームな雰囲気と、スタッフとゲストさんの距離感が近く、フランクにコミュニケーションを取っている姿を間近で見て、ここで働いていればコロナ禍で人との交流が制限されている中でも、多くの人との出会いや繋がりが生まれるのではないかとワクワクした気持ちになりました。その後、ボブさんとの話し合いのもと、1ヵ月のマッチング期間を終えて、本格的にインターン生としての活動が始まりました。
「小規模な会社だからこそできる」が詰まった働きがいのある職場環境
「宿場JAPANらしさ」を最も体感できたゲストハウスのカウンター業務
私は2021年6月からゲストハウス品川宿で働き始め、これまでにゲストハウスの受付をはじめ、宿場JAPANが経営する古民家一棟貸しホテルのInstagramの運営や、採用ページでのインタビュー執筆、他の宿泊施設への視察訪問など、約半年間で幅広く、様々なことを経験させてもらいました。その中でも特にゲストハウスの受付業務は、「宿場JAPANでインターンしたからこその学び」を最も得られた場だと感じています。
実際にカウンター業務では、最初の2ヶ月間を先輩のスタッフ方に教わりながら主にチェックイン・チェックアウトの対応を中心に行ってきました。ゲストハウス品川宿の接客では、アットホームな雰囲気づくりとお客さんに地域を楽しんでもらこと、コミュニケーションを通じた関係性の構築を特に重視しており、チェックインの際はゲストさんにヒアリングをしながら、飲食店や観光スポットなどの提案や説明をしていきます。
ゲストハウスがある旧東海道沿いの商店街に並ぶ店は、ローカルな個人経営のお店がほとんどなので、SNSでお店の情報を発信しているお店も少なければ、ネット上に書かれている営業時間などの情報は誤っていることが多い傾向にあります。それ故に、近くで生活をおくるゲストハウススタッフの情報がより頼りになるため、シフトに入っている日は仕事前に商店街を歩いてお店の営業状況をチェックしたり、他のスタッフが共有する情報を事前にインプットするなどの情報収集がとても大切だと思いました。アルバイトだと、どうしてもマニュアルに沿って言うことが決まっていたり、自主的に考えて言動に移す機会が少なかったため、お客様に宿泊も含め、まちを楽しんでもらうために一人一人にあった臨機応変な対応力を身につけられたのは、ここで接客を学んでから自身が大きく成長できた部分だと思います。
▲長期で宿泊されたゲストさんをスタッフみんなでお見送り
インターン生が現場で働いてみて感じた宿場JAPANのここがすごい。
宿場JAPANの最大の魅力は、働いているスタッフ全員が明るくて前向きな、興味深いバックグラウンドをもつ方ばかりで、仕事もイベントもメリハリをつけながら全力で楽しめる、そんな素晴らしい環境の中で働けるということです。スタッフのなかには、システムエンジニアから転職した方もいれば、将来ゲストハウスを経営するために大手企業から転職した方、大学卒業後に好きな映像制作をしながら住み込みで働く方など様々です。月1回の全体MTGはお互いの近況を報告しながら親睦を深める機会になっていたり、忘年会や歓迎会、年越しなどのイベントでは地域住民や、前に働いていたスタッフも呼んで全力で楽しみます。スタッフ個々が異なる経歴や価値観を持っていたとしても、互いを理解しようと相手を尊重する姿勢をそれぞれが持っているため、それらがぶつかり合うことがあっても上手く共生していけると思います。それはまさに、代表のタカさんが掲げる「小さな宿の感動から地域と世界をつなぎ、多文化共生社会を作る」という理念に皆が共感しているからだと感じました。
また、そのスタッフ同士の団結力はお客さんをもてなしたり、昨年の品川駅停電の際に緊急宿泊受け入れ先として対応を行った例にみられるように、困っている方を助ける際にも大いに生かされていると思います。実際にこれが起こった日は、停電にいち早く気づいたスタッフの1人が全体のトークグループに品川駅の状況を共有し、そこから30分も経たないうちに宿泊受け入れ体制が整い、Twitterでの情報発信が行われていました。この時、私もTwitterのいいね回りで1人のお客さんに情報を届けることができ、1件の予約獲得で社会と会社に貢献することができました。このように何かトラブルが起きた際も1人1人が自分ごとして行動ができ、情報共有をしながら常にチーム全体で動けるのも、小規模な会社だからこそできる宿場JAPANならではの強みだと思います。
その他にも地域を巻き込んでのイベントを行ったり、まちの歴史、その場所の雰囲気を大切にしたまちづくり、町医者と連携したPCR検査付きプランをはじめ、他の宿泊施設が打ち出していないようなリアルタイムのニーズを汲み取ったプランを出せるところなど、実際に働いてみなければ気付けない宿場JAPANの魅力をこの半年間のインターンを通じて実感することができました。
カウンター業務以外の取り組み
▲SNS講座MTGの様子
ゲストハウスのカウンター同様、宿場JAPANが経営している古民家一棟貸しホテルのInstagramの運営にも半年間以上携わっています。外部のSNSマーケターの方に月に何回かMTGで指導をしていただきながら、会社のブランディング・プロモーションという観点から、ホテルや町の情報を発信するという経験をさせてもらいました。最初は試行錯誤をしながら地道な作業が続きましたが、粘り強く続けた結果、フォロワー数を約半年間で500人以上増やすことができたり、今では2万人以上の方から閲覧されるアカウントに成長し、実際にインスタを見て予約をしてくださる方も少しずつみられるようになりました。
▲SNS用の写真も色々な角度から撮影
また、インスタグラムの運営である程度の型ができ始め、他にも何か業務に携われる時間ができた際に、ボブさんから採用ページに掲載される、社員インタビュー記事の執筆の話をもらいました。元々国語が大の苦手科目で、文章を書く能力も乏しい上に、書くこと自体に苦手意識もあったのですが、今回のインターンの中で、自分は何が得意で、どんなことだったら楽しく仕事に打ち込めるかも見極めたかったので、提案していただいたことにはなんでも挑戦してみようという一心で引き受けました。もちろん、最初は魅力的なタイトルや小見出しを考えるのに行き詰まり、かなり苦戦した時期もありましたが、執筆の経験全体を通して、様々なスタッフの過去の興味深い経歴や素顔、宿場JAPANに対してどのような魅力を感じているのかを知ることができたり、何よりもこの経験から文章を書くことに対して自信が持てるようになり、結果として大きなやりがいを感じられました。
▲谷中にある宿泊施設Hanareの視察
その他、福利厚生などを利用して他の小規模宿泊施設に視察兼宿泊に行かせてもらいながら、宿場JAPANが運営するゲストハウスやホテルとの比較分析をする機会をいただいたり、自身が大学で学んでいるマーケティングを実践する機会として、ホテルのプラン作りMTGにも参加させてもらいました。
物事に対して「なぜ?」という視点をもち、立ち止まって考えることの大切さ
半年間のインターンを通して得たこと。
宿場JAPANのインターンでは、毎回の業務後にその日の仕事を振り返る日報や、1ヶ月間の振り返りとして月報を書いたり、先輩方から普段の接客や日報・月報についてのフィードバックをいただく機会が多くあります。私はインターンを始める前に飲食店のバイトをしていたので、接客自体は自分の得意な分野だとは思っていましたが、観察力とヒアリング力、提案力などの柔軟性とコミュニケーション力が要求されるゲストハウスでは、ほぼ一から接客を学び直す必要がありました。接客は確かに経験して学ぶことが大切ですが、一度立ち止まり「ゲストさんに最大限にできることをしたのか?」や、「今回はなぜできなかったのか?」、「課題点は何か?」と自分から疑問を持ったり、振り返りと自己分析の時間を設けて、次回に反省点を活かしていくことが自分を成長させる上で欠かせないことだと思いました。
また、自身の分析に加えて、先輩方に客観的な視点からアドバイスやフィードバックをいただけるのも通常のアルバイトではなかなか経験できないことだと思います。マネージャーの長谷川(北京)さんからは、「今ゲストさんどんな感じ?」、「このゲストさんにはこうしてあげよう」と状況を話してからアドバイスをしてもらったり、「もし〜だったらエミューはどう行動してたの?」、「なんで〜ができなかったの?」と自分の行動の分析を促すような質問を投げかけてもらうなど、数多くのサポートをしていただきました。
▲年末の忘年会での成果発表
私は本来、半年間のインターン契約をしていたので、一度区切りとして年末の忘年会で成果発表の機会をいただき、自身のこれまでのリフレクションを行いました。発表資料を作りながら半年間を振り返り、これまで経験したことのない仕事に幅広く挑戦させてもらいながら、自身の強み・弱みや自分軸を知ることができたり、物事に対してを「なぜ?」という視点を持ちながら考える習慣づけができるようになったのは間違いなくインターンのおかげだと改めて感じました。
インターン生が主体となり、やりたいことにのびのびとチャレンジできる場所
▲一緒にインターンをしていた鈴木くんと
こんな人に宿場JAPANのインターンを勧めたい!
宿場JAPANのインターンの最大の特徴は、「インターン生の意見を尊重し、何事にも挑戦させてくれる。」ということです。それは代表のタカさんの「失敗をしてこその成長」という考え方が会社の理念の根本にあるからだと思います。他のインターン先では、ある程度やることが設定されており、それを学生側が指示通りにこなしていくのが一般的だと思いますが、宿場JAPANのインターンでは、最初の面談で「これをやってほしい」ではなく、「宿場JAPANの事業を通して何をしてみたい?」という一言が投げかけられるのです。基本的には、やりたいことを相談すれば、どんなことにも挑戦させてくれるのが宿場JAPANの魅力だと思うので、宿場JAPANの土台を借りて自発的・主体的に何かをやってみたいと思う方はもちろん、このインターンをきっかけに何か新たなことにチャレンジしてみたいと思う方にもおすすめしたいです。
また、今年で14年目を迎えるゲストハウス品川宿はその長い歴史の中で築き上げてきた地域との強いつながりが今でも受け継がれているため、地域を巻き込んで品川宿を盛り上げていきたい方や、学外でローカルとつながりながらフィールドワークをしたい人、交流を通じて色んな価値観に触れてみたい方にもここでのインターン経験が今後に生かされるはずです。インターンに参加する際には「宿場JAPANらしさとは?」を念頭におきながら失敗を恐れずに色んなことに挑戦すると、最後にやってよかったと思えるような中身の詰まった経験ができるのではないかと思います。
(執筆:小河恵美里 企画・編集:今津歩)
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