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エンジニアもデザイナーも。共通のユーザー像を描くことが、プロダクト改善につながる。


エンジニアもデザイナーも。共通のユーザー像を描くことが、プロダクト改善につながる。

株式会社Mobility Technologies(以下、MoT)では、2020年9月にタクシー配車アプリ「GO」をリリース、さらに11月には 新たな機能AI予約の提供を開始。ユーザーに喜ばれるプロダクトを創ろうと、日々進化を続けています。

積極的にプロダクト開発を行なう中で、MoTが何よりも大事にしてきたのがユーザーの声です。実際に利用してどうだったのかを深掘りすることで、“より快適な移動の実現”を目指しています。

今回は、そんなユーザーのリアルな意見を聞くべく実施された「ユーザーインタビュー」についてヒアリング。プロジェクトを推進しているデータアナリストの井立(いだて)に、実施にあたっての想いやユーザーインタビューを通じて見えてきたことについて聞きました。

大事にしたのは、単なる「ユーザーインタビュー」で終わらないこと


——「ユーザーインタビュー」をプロジェクトとして実施されたと聞きました。その背景について教えてください。

2020年9月、事業統合を背景に「JapanTaxi」アプリと「MOV」という2つのタクシーアプリが、新たに「GO」としてリリースされました。それぞれの強みを掛け合わせることで、これまで以上に、使いやすく便利なアプリになったと自負している一面はあるものの、会社全体として、実際のユーザーの声を「もう少し丁寧」に聞いていきたいという想いがありました。

——もう少し丁寧に、というのは?

インターネット調査は定期的に実施しており、いわゆる「顧客満足度〇%」といった形でのデータはあったのですが、私たちが求めていたのは、ユーザーのリアルな声。数字で語られる満足度ではなく、“手触り感のある声”でした。タクシーアプリ「GO」のユーザーは、どのような気持ちでご利用になっているのか、なぜ数あるタクシーアプリの中から「GO」を選ばれたのか、その時に抱えていた課題は何だったのか、使ってみて不便に感じたことは何なのか…そういったユーザーの詳細な場面や心理状況を知ることで、ユーザー像を身近に感じたいという想いがあったんです。

これによって、よりよいプロダクト開発につなげていくことはもちろん、今後のマーケティング戦略にも大きく役立つと考えていました。

私が所属するアナリシスグループは、プロダクトのログやアンケートデータの分析を通じて、ユーザーへの理解を深める役割を担っていますから、その一環として、今回「ユーザーインタビュー」を企画実施することにしました。

——なるほど。井立さんが「ユーザーインタビュー」を企画する上で、大事にしていたことはなんでしょうか。

単なるユーザーインタビューで終わらないようにすること、です。ユーザーインタビューというのはそれなりにパワーがかかることなので、プロジェクトを進めることに意識が向きすぎてしまうと、実施することが目的になってしまうことがあるんですよね。そうではなく、あくまでも目的は、よりよいプロダクトを開発するため。そのために必要なユーザーの声を聞くことを意識しました。

——具体的に気を付けていたことはありますか?

大きなところでいうと、プロダクトマネージャー(以下、PdM)やデザイナー、マーケターなど、ユーザーの声を活かし実際の施策に落とし込んでいく人たちと「並走」することです。リサーチという意味では、自身が持つ専門性が活かせる部分もあるかとは思うのですが、それよりもプロダクト開発としての目線を大事にしていました。

なので、今回のユーザーインタビューのパッケージとしては、担当関係者が感じている課題感のすり合わせからスタートし、適切なユーザー選定、ユーザーインタビューの実施、最後に関係者へのレポートと報告MTGの実施まで、としていました。

社会的役割によって異なる「利用価値」が見えた

——ユーザーの声を聞く、だけではなかったんですね。具体的な取り組みについて、もう少し詳しく教えてください。

まずは、PdM、デザイナー、マーケターなどの担当関係者とディスカッションをして、プロダクト開発、マーケティング戦略を行なう上で感じている課題感をヒアリングしていきます。その上で「テーマ」を決めて、適切なユーザーを探していく流れです。ユーザーインタビューに参加してくださるユーザーの方には事前に、アンケートを実施しているので、その結果をみながら、課題に合わせて声をかけさせていただいてますね。

また、インタビュー当日については、関係担当者の方にも同席してもらうことを前提としています。後日、私のほうでまとめて伝えることもできますが、やはりユーザーの方の顔を見ながら、温度感のある声を聞いてもらうことの方が得られる情報は圧倒的に多いと思いますから。

——インタビューの規模や実施エリアについても教えてください。

今回は、2021年1月から3月の3ヵ月間、東京・大阪・神奈川エリアを対象に実施しました。ユーザーの年代は、20代~60代とさまざまで、25名程度に各回1時間程度、ヒアリングをさせていただきました。

細かく話を聞かせてほしかったので、グループではなく、個別で。ユーザー1名に対して、MoTの社員が2~3名同席する形でしたね。

——井立さんは全てのインタビューに同席されたのでしょうか。

全ての回のモデレーター(インタビュアー)を担当しました。なので、日によっては1日3件ほど実施することもあって。なかなかハードでした(笑)。けれど、ユーザーの方に直接お会いする機会は、とても貴重な経験。開発現場に早く伝えたい!と思うような声にあふれていて、毎回とても楽しかったですね。

——見えてきたこと・気づいたことはありましたか?

たくさんありました。中でも、「タクシー利用に対する価値観」が実に多様であることに驚きました。たとえば、ユーザーの方から「アプリで呼ぶと、お財布を出さずにタクシー料金の支払ができるので便利」という声があったとします。

この意見が小さいお子さんを連れたお母さんだった場合。たくさんの荷物を持ち、子供の様子を見ながら、お財布を出して小銭を探す…という背景があったとします。ここでの便利とは、物理的な支払い手続きの軽減なのだと理解できますよね。

一方で、この意見がタクシー利用が多いビジネスパーソンだった場合。会社に経費精算をする上で必要となるレシートを管理しておく、なくさないよう気を付ける必要がある…という背景があったとします。ここでの便利とは、「GO」で支払うと領収書のデジタルデータがアプリ内に保管されるので、レシート管理がしやすくなるという経費精算のしやすさ。なのだとすると、全く違った解釈になるわけです。これはプロダクトのログデータや、インターネット調査からは得られない情報です。アンケート調査であれば、双方とも「アプリなら、お財布を出さずに運賃の支払いができるので便利」という声にまとめられてしまうでしょう。しかし、タクシーを利用される方の社会的役割によって、アプリに求めることが大きく異なる。こういった声を集めることができたのは大きな収穫でしたね。

MTGでの共有までが、「ユーザーインタビュー」のパッケージ


——利用価値が全く違っていて、面白いですね!インタビューで得られた情報は、すぐにお伝えすることもあるのでしょうか?

もちろんあります。Slackにユーザーの声を共有するチャンネルがあるので、速報という感じで投稿をしていますね。関係者に対しては、メンションを付ける形でお知らせしています。ここのチャンネルは社員であれば誰でも自由に見ることができますので、新しく入られた社員の方にもとても役立つのではないかな、と思っています。プロダクトのことやユーザーのことがよく分かりますから。

——最後に「レポート作成と報告MTG」を実施とおっしゃっていましたが、報告MTGというのは?

インタビュー実施後は、中間報告、最終報告として関係者に対するMTGを行ないます。ここでは、ただレポートを提出するだけではなく、温度感が伝わる“直接的な報告”がとても重要だと考えていました。

最終報告のMTGでは各回60分程度、丁寧に伝えていけるよう少人数で実施。課題解決に有効なデータや情報を深く共有していき、最後に質疑応答をはさんで終了という流れですね。ユーザーのことをよく理解することはもちろん大事ですが、その先にあるのは、ユーザーの方からの声をプロダクトに反映すること。だからこそ、ここまでやらなくては意味がないと思っていますね。

——すでにプロダクトに反映された声もあるのでしょうか?

はい、あります!詳しくお話できないのが残念ですが、ユーザーの方から、タクシーとの待ち合わせに関する声が多くあり、現在機能改善に向けて開発が進んでいます。お客様とタクシー乗務員がよりスムーズに待ち合わせができるようになることで、これまで以上に快適な移動を実現することができると思っています。

私はリサーチ業務を担当しているので、プロダクト開発には直接的に携わることはありません。ですが、よいプロダクトを作っていきたいという気持ちは同じです。間接的にでも、一人でも多くの方の快適な移動につながれば、と思っていますね。

プロダクトマネジメント部 アナリシスグループ 井立良子
データアナリスト。エンタテインメント企業を経て2019年旧JapanTaxiに入社し、現在はアナリシスグループにて『GO』を中心としたデータ分析・リサーチ業務を担当。プライベートでは2人の子供がいる。

※掲載内容は2021年6月時点の情報です。
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