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【Essen Interview #4】科学とビジネスの二刀流ー「モビリティ広告」と「意思決定」を科学する研究者が描く未来

"究極的には、人間の意思決定をサポートする技術を構築したいです。サービスを通じて人々の行動変容を促し、生活をより豊かにすることが目標です。"

Essen社員にまつわるエピソードを紹介する“Essen Interview”シリーズ。

今回はEssenで、広告効果推定のアルゴリズム開発を手掛けるエンジニア、天野 領太氏にインタビューを行いました。

大学院時代にシリコンバレーで衝撃的な経験を経て、スタートアップの新たな可能性を感じた天野氏。研究者としての視点と、ベンチャー企業だからこそできる大胆な挑戦ー

技術とデータを活用し、広告価値を再定義するEssenでの取り組みを深掘りします。


Chapter 1: 研究から起業へ―Essenとの出会い

まずは天野様のご経歴について教えてください。

大阪出身の公立校で育ち、中学から高校までは陸上競技に熱中していました。

高校では物理学に興味を持ち、研究者としてモデリングに関わることが職業としても面白そうだと考えるようになりましたね。

東北大学に進学した後は工学部に在籍しながら理学部や医学部の授業を履修したりと、とにかく色んなところに興味を広げていました。

その中で受講した天文学の授業では、宇宙の物質の分布図が紹介され、空間的な構造が脳の神経ネットワークに似ているという発見に衝撃を受けました。

脳と宇宙は異なるスケールでありながら、類似のメカニズムが存在するのではないかということに一気に興味が湧きましたね。そしてモデリングへの興味がより一層深まりました。

天文学同好会にも所属し、そこで橘とも出会いました。この頃から宇宙、脳神経科学、モデリングを結び付ける研究を進め、それが現在のビジネスへと繋がっています。

Essen参画のきっかけについて教えてください。

2020年、博士課程在籍中にEssenを橘と飯塚、そして鎌倉も加わり、共同創業しました。

創業当初は学生起業という形でスタートし、モビリティとデータを融合させた事業を模索していましたね。

元々は研究者になりたいと思っていましたが、大学は少子化が進み、教員が減少する中でキャリアパスに不安を感じていました。

ベンチャーは初期段階では資金が限られているものの、自由度が高く、研究を続けながら自分がやりたい事業を形にできると考え、Essenを選びました。

新卒からベンチャーにチャレンジする。葛藤はありませんでしたか?

実は中学高校時代から研究者を目指していましたが、修士課程でのシリコンバレー訪問が転機になったんです。

当時、自分はスタンフォード大学に留学していたのですが、同世代の女性(学生)に出会い、その方がシリコンバレーで出資を受ける姿を目の当たりにしました。

これまでは出資を受けるというのはかなり高いハードルのように感じていたのですが、この経験を通じて、スタートアップという可能性が自分の中で一つの選択肢になりましたね。



Chapter 2: 広告を通じて、人々の行動変容を科学する。

現在のお仕事内容を教えてください。

現在、Essenでは広告の効果推定アルゴリズムの開発やAIを使った新たな事業構想をしています。

広告分野での主な取り組みは人流データや位置情報データを活用して、どのように広告が視認されているかを定量化する仕組みを設計しています。

例えば、車両広告を利用した場合に、歩行者や周辺環境との関係性から広告の視認性を推定する技術を開発したり、広告接触後の行動変容をデータで可視化し、広告効果を科学的に検証したりしています。

具体的な技術についてもう少し詳しく教えてください。

広告視認性の推定精度を高めるために、車両広告の視認者がどのくらいの秒数、どの角度で広告を見ているかなど様々な変数を基に推定する技術を開発しています。

これは、相対速度や反射、位置情報といった変数を計算し、データに基づいて科学的に効果を検証するものでして、実際にそれを見た人の行動変容まで追跡可能な仕組みを構築しています。モビリティ広告はまだ新しい媒体ですが、広告主が求める「確かな成果」を届けられる仕組みを目指しています。

―すごい技術ですね! このアイデアを思いついたきっかけは何ですか?

もともと物事を抽象的に考える癖があり、「移動する物体でデータを収集する領域だよね」と一般化したのが始まりでした。

そしてモビリティ広告という新しい領域において、データ収集やマネタイズの仕組みを検討し始め、WithDriveに行き着いたのがきっかけです。

その背景には、Essenが掲げるモビリティとデータ、AIというテーマがあります。

やっていく中での難しさや面白みはどんな時に感じますか?

広告分野は、科学的には正解であってもビジネス的に正解とは限りません。

お客様が納得できる結果をどう提供するかが重要であり、我々はそこで科学的なデータを提供できることにこだわっています。

例えば、見ている秒数、車両の広告と接触した人、車両の広告に接触していない人でどう行動変容に違いが生まれるかなど、行動データを基に計測しています。

屋外広告という分野では認知は得られても行動変容を数値化するサービスは少ないですが、Essenの技術ではトラッキングが可能で、実際に行動変容が起きたかどうかを明らかにすることができます。アイディア自体は目新しいものではないかもしれませんが、実行することが難しいため、実現できている企業はまだまだ少ないと思います。

もう少しプロジェクトについて詳細を教えていただけますか?

車両を実行部隊が準備し、それを支えるデータ解析基盤をエンジニアが仕上げるという流れで進めています。イレギュラーな案件も含め、多様なお客様のニーズに応える形でプロジェクトが進行しています。

解析結果を見せた際、いままで肌感しか持っていなかった部分を実感として得られたと言っていただけたときは非常に嬉しい瞬間ですね。

これまで効果推定が困難だった屋外広告において、投資対効果を可視化することができた点は大きな成果だと考えています。

まだまだ発展途上のサービスで、屋外広告としても新しいものにはなるので、お客さんとしても「このデータをどう活用できるか」というところに興味を持っていただくことが多いです。

そのため、ただ単に広告打ちましょうではなくて、収集できたデータをどう活用するか、を含めて設計しながらプロジェクトを進めています。

デジタル空間でAIを活用する技術は多い中で、Essenはフィジカルな空間とデジタルの両方を組み合わせることができており、車両の収集や広告主との契約を進める現場の力と、AI技術の掛け合わせが会社の強みを形成できていると思っています。



Chapter 3: 人間の意思決定をサポートするサービスを構築したい

将来、挑戦したいことについて教えてください。

究極的には、人間の意思決定をサポートするサービスを構築したいと考えています。生成AIや行動データを活用し、日常生活を豊かにするようなライフスタイルのナビゲーションができたら面白いですね。道のりは険しいですが、いつか人類が到達できる未来なのではないかと思います。

そのためにも、まず広告効果推定を通じて人々の行動や反応を深く理解したいと考えています。Essenが提供するサービスは、単なる広告表示ではなく、行動変容を促すような価値ある提案を可能にするプラットフォームであるべきだと思っています。

近い将来には、AIが今以上に、人々のライフスタイルと密接に関わってくると思います。その人の将来の夢や悩み事など、行動には表出しない部分も分析できるようになるかもしれませんね。

― Essenでどんな仲間と働きたいですか?

ビジネスも大事ですが、科学に何か貢献しよう、ブレークスルーを起こそうと思っています。人類の知恵に学びつつ、新しくて価値あるものを創出できる力が重要だと思います。

アカデミアではよく言われますが、科学的な議論のテーブルでは誰もが対等であると思っています。専門分野における知識を活かしつつ、他者の意見を尊重できる方と一緒に働きたいと考えています。

ー 最後にこれを読んでくださっている方へメッセージをお願いします。

新しいことをやりたい人が集まっている会社なので、世の中にインパクトを残したいと思っている方はぜひ一緒にチャレンジしていきたいです。

これまでの経験をコラボレートさせながら、世の中をより良くしていける仲間に出会えるのを楽しみにしています!



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