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【役員対談】なぜ2nd communityはオフショア開発よりも社内開発にこだわるのか。


よりコストを抑えて、より効率的な開発を目指す……はずだったオフショア開発。中国をはじめとするアジア圏の国々でのプログラミングに取り組む企業が増えた一方で問題は多く、本来の目的達成には至らないケースが後を絶たない。アジア圏の発展、円安など情勢の変化とともに、もはやオフショア開発する理由はなくなりつつある。それぞれオフショア開発の経験を持つ、2nd Communityの取締役CSO 九頭龍雄一郎、取締役共同CTO 中澤健一、共同CTO 大澤聡の3名が、オフショア開発における問題点とあわせ、これからの時代にマッチしたあるべき開発体制について語る。

九頭龍 雄一郎 

エンジニア・経営者・株式会社2nd-Community/CSO。東京工業大学大学院 電気電子工学(修士)。日本の大企業からシリコンバレーのスタートタップまで多種多様な千尋の谷に落ちた経験を持つ。株式会社2nd-Community/CSOの他、株式会社ClayTech Founder/CEO、監査役DX株式会社 Co-founder/CTO, 株式会社スイッチサイエンス取締役、東北大学客員教授、東京工業大学非常勤講師、武蔵野美術大学非常勤講師、他複数社の顧問などを務める。

中澤 健一

エンジニア・株式会社2nd-Community/共同CTO。鳥取大学大学院(修士)。大学3年よりSIerでシステム開発に携わる。大学院在学中にプログラミングスクールのベンチャー企業を立ち上げオンラインプログラミング学習サイトを制作。大学院修了後は大手SIerにエンジニアとして入社しJavaや.NETを活用したインフラ企業や公共機関のシステム開発に携わる。2019年より現職。機関システムの開発の他、プログラミング教室事業の教材開発責任者として業務にあたっている。

大澤 聡


エンジニア・株式会社2nd-Community/共同CTO。一橋大学経済学部卒業後、2001年大手SIerにエンジニアとして10年間勤務し、企業のシステム開発に従事する。2012年株式会社EYS-STYLE(現、株式会社2nd Community)に入社。会員向けサイト「セカンドコミュニティ」立ち上げにあたりRuby on Railsによる開発を担当。現在は、基幹システムから会員・一般向けサイトの開発、運用までを担っている。

やはり「言語の壁」は大きい、オフショア開発

九頭龍 オフショアでのシステム開発は大澤さんが一番経験していると思うけれど、私自身もオフショア開発の経験はあります。以前の会社ではハードウェアを中心に扱っていたので、中国・インド・シンガポールに依頼していました。ソフトウェア関連ではベトナムやタイも多いと思いますが、中澤さんはどうですか?

中澤 私は中国とベトナムで、2~3度やったことがありますが、やはり言語の壁が大きいと感じました。日本語が分からないので、画面におかしな日本語が出ていても気づかないまま進められてしまいます。「姓」と「名」が逆になっている、帳票で「、」が文頭にきているなど、日本語を知らないことが原因の問題が多かったです。

あと、日本ではあまりに当たり前だから仕様にまで表現していないような点で、認識のズレもよくありました。大規模なSIerなどで細かく設計できれば違うのかもしれませんが、そこまでする余裕がないベンチャーでのオフショアは難しいと思います。

大澤 日本語で作成した仕様の意図が伝わらないことはありますよね。ただ、ここについては「英語で仕様を書けばいい」と言われかねないので、こちらも弱いところです。

現地企業を評価しきれず、大きなトラブルになったことも

九頭龍 私の場合、オフショア開発で一番問題だったのはデューデリジェンスでした。大企業が長く付き合いのある現地企業に頼むなら事情は違うかもしれませんが、スタートアップが、コネもつながりもないなかでオフショア開発をはじめるときに、現地企業をしっかり評価できるかというと難しいです。現地に足を運んだり、信頼できる人に紹介してもらったりと念には念を入れても、うまくいかなかったり……。

中澤 評判のいい大きな企業に頼めばよいかというと、そういうわけでもないですよね。

九頭龍 会社も、そこにいる人もきちんと評価しきれませんでした。現地の出身大学を言われても分からないですし。アメリカにいたときに、中国の企業に製造を依頼して大きなトラブルになったことがあります。そのときはサンフランシスコの拠点にいるメンバーとやり取りをしていて、現地の工場にはエンジニアが1度行っただけで進めていました。そうしたら、ちょっとしたトラブルで突然サンフランシスコのメンバーと連絡がつかなくなり、あとは弁護士を通してくれと言われました。この先も続けるなら膨大な金額を支払えと要求され、諦めざるを得ませんでした。

中澤 それはなかなかすごい経験ですね。そこまでの経験はないのですが、現地のメンバーがきちんと働いているかどうか分からないというのはありました。1ヶ月くらい進捗が進まず、確認したら「夫婦ゲンカをして仕事どころではなかった」と言われて呆れ返ったことがあります。最近は日本でもテレワークが進んで同じ場所で働く機会が減っていますが、どうしても場所が離れると、管理しきれない部分が出て問題になりがちです。

あとは、オフショアでは、エリアによってネットワーク環境が悪く、コロナ禍で在宅勤務になると自宅ではインターネットが不安定で仕事ができないということもありました。

現地とのギャップを埋めるために四苦八苦

大澤 2nd Communityでもアジア圏でのオフショア開発にチャレンジしたことはあります。思ったように進まないので、日本と現地のエンジニアをつなぐために、現地で日本語の分かるブリッジエンジニアを採用したり、さらにそのブリッジエンジニアをマネジメントする日本人エンジニアを追加したりと様々な手を打ちましたが、結局期待したアウトプットを出せませんでした。

九頭龍 エンジニアは厳密性と大ざっぱさのバランスをうまくとっていく必要があるというのが持論ですが、その基準値は国によって大きく違います。日本にいるときは、私は大ざっぱな方だと思っていたのですが、アメリカではかなり細かいと言われました。アメリカでもそうなので、アジア圏だとさらにギャップが大きそうです。

中澤 ブリッジエンジニアに伝えたことが、その先のプログラマに伝わっていないことがありましたが、それは伝えるほどではないと思われていたのかもしれません。ただその結果、業務的な意図を把握できておらず、見た目だけ仕上がっていても、中の整合性が取れていないことも多かったです。それを逐一日本でチェックするとなると、その工数がかさむため、オフショアに出すメリットがなくなります。

コストメリットも薄れ、もうオフショアで開発する理由がない

大澤 オフショアだと特に起きやすいですが、実際にコードを書くプログラマまで階層が増えるほど理解が浅くなってしまいます。コストもかさみますし……。

九頭龍 コスト面は、オフショアは果たして本当に安いのかという疑問も出てきます。歴史的には、かつて日本がアメリカのオフショアだった時代もあります。日本では安くなくなって、台湾、インド……とエリアを変えてきたわけです。

日本の立場に立つと、最初はマレーシアのあたりから始まって、いろいろと場所を変えてきました。クアラルンプールも今では日本の都市部と変わらない生活をしていて、安くはなくなりましたし、中国の深圳にいたってはもう日本よりクオリティが高く、安くなる理由なんてどこにもありません。この状況でさらに「トラブルが起きて人を増やさなければならない」「開発期間が延びてしまう」というのではオフショアを使う理由はもうないと思います。

さらに、日本国内をみると、もう20年から30年にわたって賃金が上がっていません。日本のエンジニアの方がコストとクオリティの両方の面で優れていると言える状況になっています。

日本のエンジニアがきちんと評価される体制で、新たな挑戦を目指す

大澤 2nd Communityは以前からそうでしたが、今後はますます日本のエンジニアをしっかり評価して、自身が最初から最後まで責任を持って開発するスタイルをしっかり確立していきたいですね。大企業ではコードが分からない人が設計していることもあり、それが“炎上”の原因にもなっていると感じています。コードを書きたい人はマイノリティで、世の中全体で見るとあまりいないかもしれませんが……。

九頭龍 確かに、大手では30歳を超えたらマネジメント職に、40~50歳で部長にというルートが多いですが、ベンチャー企業で採用をしていると、このルートに違和感を持つ方も少なくありません。2nd Communityではそういったコードを書きたい・書けるということをしっかり評価するので、ぜひ一緒に仕事をしたいです。

中澤 私自身もそうでしたが、小さな企業で、ひとりで全部やるしかないというところもあります。そういったところで働いているけれど、あまり評価してもらえない、と悩んでいるような方には2nd Communityはマッチすると思います。エンジニアから提案もできますし、よければ採用されることもあります。なにより、アウトプットを評価してもらえる体制があることは大きいです。

大澤 社長もエンジニアを評価していますし、我々マネジメント側も、それぞれ担当する範囲の難易度まで踏まえて、進捗の把握や評価をするので、頑張りが正当に評価される環境になっていると思います。なによりチーム単位ではなく、一人ひとりに仕事を割り当てて進めるので、その人のアウトプットが明確で、埋もれることがありません。

円安もそうですし、日本国内では長らく賃金が上がらないと苦境が続いていますが、ここをターニングポイントに、会社としてエンジニアの価値を活かした挑戦ができないかと考えています。もともと2nd Communityは新しい挑戦に積極的で、今もカナダに支社を作り、海外案件受注を目指してプロジェクトを進めている最中です。新しいことをしたい方、これまでは受け身での仕事ばかりでも、そこを脱却したいというパワーがある方と一緒にチャレンジしたいですね。

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