なにをやっているのか
築110年の趣ある町屋にお泊りいただく体験。元々旅館用に建てられた建物でないため、ホテルとは違い、まるで明治の京都にタイムスリップしたかのような落ち着きが味わえます。
全8部屋。お部屋によって雰囲気は全て異なります。国有形文化財への指定を活かし、古き良き京都の魅力を体験していただけるよう、お風呂はヒバの木のお風呂を、ベッドではなく布団をご用意しています。また、スタッフにもお茶のお稽古をつけ、和の伝統文化を身に付け、より質の高いおもてなしができるよう精進しております。
京都の中心地で、築110年になる町屋の旅館を代々経営しています。夕食なしの方泊まり(朝食のみか素泊まり)というスタイルです。
これまで職住一体型だったため、祖母の代までは一見さんお断りという形式で経営しておりましたが、経営が傾いてきたことから祖母の反対を押し切り、先代が思い切って一般のお客様も泊まることのできるスタイルに改変いたしました。
インターネットで売り出しましたところ想像以上に反響を頂き、とても両親だけでは仕事が追い付かなくなったため、当時OLをしていた若女将である私がOLを退職し、旅館業に参画いたしまして10年ほどになります。
元々旅館用に建てられた建物ではないので部屋数も少なく、トイレやお風呂も各お部屋にはございませんが、8部屋のみの規模だからこそできる、一人ひとりのお客様に寄り添ったおもてなしが魅力だと思っております。
十四春旅館にいらっしゃるお客様は皆様とても友好的で優しく、旅館の古き良き魅力を理解してお越しくださっている方が多いため、ご案内していると、「素敵!」「素晴らしい!」「Wonderful!」「Amazing!!」などと感激してくださり、私達スタッフも嬉しくなることが多々あります。
最近では海外からのお客様が非常に多くなり、アメリカや中国をはじめ、フランス、イギリスなどのヨーロッパ、またオーストラリアやニュージーランドからもたくさんいらっしゃいます。
海外の方はよく、「この旅館のストーリーを詳しく教えてほしい」と仰います。旅館が培ってきた歴史や、国の文化財である建物の説明などもお話すると、すごく楽しんでいただけているようです。
ウェルカムサービスでお出しする和菓子は全て、私 若女将か母である女将の手作りをお出ししております。
実は和菓子を作るのはそれほど難しくなく、中には15分位で出来てしまうものあるんです。簡単で美味しく、お客様にも喜んでいただけるので、長年日課として続けています。
なぜやるのか
国の登録有形文化財に指定されている建物ならではの趣きを味わっていただけます。
床の間にはいつも季節のお花を飾ります。
本物の京都の魅力というものを、世界中の方に知ってもらいたいと思っております。
京都は、3年程前からホテルが急激に増え続け、今や供給過剰の状態です。「京都はどこも予約いっぱいで泊まれない」と言われていたのは、もう遠い過去の話。どの旅行会社も、現在の京都のマーケット事情には嘆いています。
1月2月の閑散期は、4つ星ホテルが2名8000円という底値で販売するほどの急落ぶりでした。
十四春旅館も先祖代々旅館業を営んでまいりましたが、今までのように立地の良さだけでは集客が難しくなりました。料金を下げればそれだけ集客は回復しますが、質の低下にも繋がりかねません。十四春ではその点を考慮し、質を落とすのではなく、むしろここならではの魅力をよりお客様にお伝えできるよう、写真や英語説明文の記載、英語対応可能なスタッフの配置を実現し、十分にご滞在を楽しんでいただけるよう工夫いたしました。
ただ単に町屋風に改装した新しい施設とは違い、京都の最大の魅力である「古き良き魅力」を知っていただけるよう、床の間のしつらえや生け花、お抹茶と手作り和菓子でおもてなしするウェルカムサービス、文化財の建物の説明など、細かい部分に配慮を欠かさないよう心がけています。
また仲居スタッフにはお茶のお稽古をつけ、襖の開け方やおじぎの仕方一つひとつを指導しています。心得ひとつで所作が完全に変わります。
新しいものが増え続けている中で、本当に良いものが時代と共に魅力を増し、深い味わいを醸し出すビンテージ感を、十四春旅館にお越しになったお客様に体験していただきたいと考えております。
安さ勝負ではなく、ある程度の対価を払ってでも、どうしても十四春旅館に泊まりたい!と思っていただけるような旅館であること。
日本の伝統的なおもてなしを提供しながらも、お客様のニーズに合わせて必要とされることを読み取り、臨機応変に対応すること。
できるだけ多くの方に古き良き京都の魅力を実感していただけるよう、敷居が高すぎず、けれども伝統的な趣きをしっかりと受け継いでいく場であり続けることが、我々の願いです。
年々観光のお客様が増え続けている京都ですが、桜や紅葉のハイシーズンには、王道観光地では人がごった返しており、
「桜を見てるのか人を見てるのか分からない…。」
「人が多すぎて疲れた…」などという声もたくさん耳にします。
せっかく普段の疲れを癒しに旅行に来られているのに、そんな小忙しい思いをされるのはとても残念です。
我々京都人は、ハイシーズンには王道観光地には近づきません。なぜなら、美しくてゆっくりできる穴場スポットを知っているから!
「京都にいらっしゃるお客様には、ぜひ本当に美しいスポットをゆったりと十分に楽しんでいただきたい」という気持ちから、桜や紅葉の時期には、若女将おすすめの場所をお客様にご紹介したりもしております。
どうやっているのか
海外のお客様が大変多いため、英語が話せて、おもてなしをするのが好きなスタッフばかりです。着物も楽しんで来てくれるので、お客様にも喜ばれます。
お客様もおもてなしするお花は若女将か大女将が生けています。
長年家族経営でやってまいりましたが、両親の高齢化に加えて海外のお客様が大半になったことでコミュニケーションがスムーズに取れなくなったため、体制を整えて正社員やアルバイトを雇用する計画を進めました。
当初の両親の消極的な気持ちもなんとか説得し、福利厚生も充実させるべく法人化して、若女将である私が代表取締役として就任したのが一昨年10月のことでございます。
元々は職住一体型で私達家族は旅館の敷地内に住んでおりましたが、従業員を入れ、オンとオフの切り替えがしっかりできるよう、職住分離にして近くに引越しをいたしました。
現在、昼間の清掃スタッフが4名、仲居が4名(内1名は正社員)と夜勤スタッフが2名働いております。
英語の堪能なスタッフや礼儀作法に詳しいスタッフなど、それぞれの個性と特技を十分に発揮できる現場です。
(どの職種も募集中ですので、詳細はお問い合わせください。)
老舗旅館と聞くと、しきたり、しつけが厳しいと思われがちですが、うちはかなり和気あいあいと明るい雰囲気の職場ですので、楽しく仕事していただきたいと思っています。
他の現場をいくつか経験したことのあるスタッフも、これほどのびのびと働けるところは初めて!と感激するほどです。
今までやってきたことでも、やり方を変えた方がもっと効率よくでき、お客様の満足度にも繋がると思ったことは、誰でも自由に発言できるようにしています。
現場で毎日働いているスタッフにしかわからない発見もありますし、それぞれの視点で気づきを共有することで、スタッフにとってもお客様にとっても居心地の良い旅館を目指しています。