HubSpot社が開催する年に一度の大イベント「INBOUND」が、10月12日から14日まで、昨年に続きバーチャルで開催されました。10周年を迎えたINBOUND。一度でもボストンのイベントに参加したことがあれば、あの熱狂を直に味わえないことを寂しく思わない人はいないでしょう。
昨年は、当初はリアルイベントの予定だったものを5月に予定変更を発表。9月にオンラインで開催されました。発表から開催まではたったの4か月でしたが、個人的にリモートワークやオンラインイベントへの参加にまだ戸惑いがあるなか、素晴らしいバーチャルでのイベント体験をすることができました。ですが、正直、リアルのイベントと比べるとがっかりすることがあったのも事実です。
さて、今年のINBOUNDは予測どおりのバーチャルイベント。昨年のようにがっかりしてしまうのか、それともパワーアップしてくるのか。期待と不安が入り交じって開催日を迎えました。この3日で感じたことや体験したことを振り返ってみます。
- 2021年のHubSpot Spotlight
- セッションは録画ではなくライブだった
- リアルタイムチャットで助け合い
- イベントへのエンゲージメントの高め方
- 裏切らないカスタマーファースト
1. HubSpot Spotlight - 共同創業者 ダーメッシュ・シャア氏のプレゼンに感銘
HubSpot Spotlightは、HubSpot創業者のブライアン・ハリガン氏とダーメッシュ・シャア氏による、INBOUNDイベントの中で最もエキサイティングなキーノートです。1年間の私たちを取り巻く環境の変化、HubSpotのカルチャーやコンセプト、HubSpotプロダクトのアップデートが発表されます。
INBOUND 2015 のオープニングムービー
リアルイベントでは、このあとどんな展開になるのかワクワクドキドキしながら二人の登場を待つのが楽しい。
昨年は、メジャーリーグのボストン・レッドソックスの本拠地フェンウェイ・パークでのトークセッションでした。「野球場で撮影するなんて、HubSpotすごいな」と思ったものの、会場での興奮を味わえるようなスタイルではありませんでした。
INBOUND 2020 のキーノート。Fenway Parkの映像はワクワクする。
今年のINBOUNDでは、ダーメッシュが素晴らしいプレゼンテーションをしてくれました。リアルイベントの会場にいるときのような、ウィットが効いていて面白くて惹きつけられるダーメッシュが再び!!アニメーションスライドとダーメッシュが一体となって、大きくなったり、小さくなったり。
INBOUND 2021 のキーノート。ダーメッシュに注目!!
キーノートトークの主なトピックは、
- パンデミックで直面したこと
- もっとカスタマイズできる、もっとつながるCRM
- フランケンシュタインシステムの悲劇
- Web 3.0 Decentralization - 自分でデータをコントロール(顧客が力をもつ)
- Customer Relation Magic(Management:管理ではない)/ 顧客ファーストのCRM
ひとつ残念だったのは、後に続くブライアンのトークセッションにダーメッシュがいなかったこと。二人が一緒にいるところを見たかったです。
あとからこの動画を見つけて、なんかホッとしました。
2.セッションは録画ではなくライブだった!
昨年は事前録画のプレゼンテーションを流して、リアルタイムでQ&Aセッションが始まる、というスタイルでした。今年は、プレゼンを終えたスピーカーがそのままQ&Aセッションを始めたので「ライブだ!」と気がつきました。
パンデミック以降、どのくらいのイベントがオンライン開催へと移行されたでしょうか。また、日頃の打ち合わせや営業の訪問もオンラインに切り替わりました。慣れないことも多く手探りで試行錯誤を重ねた結果、オンラインでのプレゼンテーションスキルはどんどん磨きがかかっているように感じます。
リモートワークになって、自宅にどれほど気を反らすものがあるかに気がついたのは私だけではないはずです。オーディエンスの反応を覗いながら話すことができないオンラインセミナー。今回、気を反らすことなく集中して聴けたセッションには共通点がありました。
- テンションと熱量が高く、情熱的に話す
- 緩急をつけながらも、途中で止まらず勢いよく話し続ける
- 「えー」や「あー」などの間がない
- オーディエンスの反応を待つ間を取らない(話者のペースでどんどん進める)
- ジョークを交えることを忘れない
文字の多いスライドは、あとから見直したり、ノンネイティブスピーカーが情報を補ったりするためにはとても役に立ちますが、プレゼンテーションの魅力が半減するようにも思います。(塩梅が難しいところです)
トークセッションではスライドはありません。オーディエンスが飽きてしまわないように、複数のカメラを切り替えていました。
3.リアルタイムチャットで助け合い
あるセッションでスライドが切り替わらない、というアクシデントがありました。「あれ、自己紹介が長いなぁ」と気づいたときには時既に遅し。大分先に話が進んでいたことにチャットのコメントで気が付きました。
最初は「あれ?おかしくない?」のようなコメントが、「"Takeaway"からスライドをダウンロードできるよ」というアドバイスに変わり、「今スライドの20ページ目だよ」と教え合う。HubSpotの担当者からは「今問題解決に取り組んでいます」とコメント。今まさに起こっている出来事を共有しあうことで一種の一体感が生まれました。セッション終盤にはなりましたが、スライド問題は解決し、皆で喜びを分かち合うこととなりました。
ここでもう一つのポイントは、最初からスライドが用意されている、ということだと思います。「セミナーで使用した資料は後日送ります」ではなく、セッションスタートと同時にダウンロードできたので、今回の問題にも対処できました。一番熱量が高いときに資料が手に入ると、社内にシェアしたり内容を振り返ったりするときに役立つし、手元で資料を見ながら視聴することでのメリットもあるでしょう。
後から資料を送付することでエンゲージメントを維持したり、オーディエンスとのつながりが生まれるかもしれませんが、これに対応したスピーカーもいました。Eメールに関するプレゼンを行った彼は、最後に「Eメールを送信する最適なタイミングを書き込んだカレンダーがあるので、ほしい人はメールで連絡してね」と言いました。チャットではすぐに「もう送ったよ」「はい完了!」などという書き込みがありました。オーディエンスとつながる(Eメールアドレスを獲得)ための良い方法です。
4. イベント参加へのエンゲージメントを高めるゲーミフィケーション
セッションに参加すると5ポイント、Q&Aに書き込むと5ポイント、スポンサーページへ行くとさらに5ポイントなど、ポイント制度が導入されていました。(去年もあったかもしれません)HOMEから自分のアバターを見つけると20ポイント、というものもありました。弊社内で盛り上がっていたのはは私だけだったのですが、ポイントが何かに使えるわけではないですし…。
また、残念ながらミートアップには参加できなかったのですが、作成したアバターで参加する仕組みのようでした。自分の立てたトピックでチャットルームを開いて交流したり、 HubSpotのユーザー同士がつながるHubSpotネットワーク(β版で公開:https://network.hubspot.com/)の発表もありました。ユーザー同士がつながるシステムが今後強化されるかもしれません
5. やっぱり裏切らないHubSpotブランド
リアルイベントに参加したい、というのは皆の強い願いでありパンデミック終息の希望です。しかし、もうしばらくはオンラインで過ごす時間が増えることでしょう。
本イベントでは、昨年からの改善点をみても、ユーザーにいかに楽しく参加してもらうか、有意義な時間をすごしてもらうか、というHubSpotの意図が垣間みれました。「カスタマーファースト」とか「カスタマーディライト」は何度も耳にしましたが、ただ口にしているだけではなく実行していること、実現しようと挑戦していること、その思いにブレがないことを今年も感じました。
例えば、障害を取り除いて回転を加速させるFlywheelという概念があります。これを感じたのは、オンラインセミナーによくある拍手やハート、いいね!の絵文字を送信するシステムが2日目から中止されたとき。初日に「絵文字が邪魔でスライドが見れない」というコメントがチャットに投稿されました。回線が不安定で絵文字がいつまでも消えずに画面に残っていたようでした。HubSpotは、この機能を削除することを選択しました。障害をなくして物事がスムーズに進むようにする良い例です。
他にも、オンデマンド動画が次の日から視聴できたり、資料がすぐに手に入ったり、有料パスを持っている人は1年間視聴ができるなどもストレスを感じないポイントです。
まとめ:でも来年はボストンに行きたい
ボストンでのイベントにも課題はあります。
- 会場が広すぎてセッション間の移動が辛い
- 人気のあるセッションには並ばないと入れない(並んでも入れないことも)
- 同時間にスタートするセッションは片方しか参加できない
その点オンラインでは、すべてのセッションに参加できるし、見逃したものはオンデマンドでの視聴が可能です。※リアルタイムで参加したかったですが、日本時間の午後8時から午前7時が開催時間なので、無理をするのはやめました。
でも、やっぱりボストンに行きたい!あの熱狂の渦にもう一度巻き込まれたい、というのが本音です。今回のクロージングキーノートの最後の言葉を引用して終わります。
We'll see you all next year, hopefully in person!!
(来年も、できれば直接、お会いしましょう)
本記事は、弊社100のブログでも掲載しております。
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