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===プロフィール====================================================================
川島 健
早稲田大学政治経済学部卒。日系医療機器メーカーにてEMEA地域の新規市場開拓、外資系医療機器メーカーにてプロダクトマーケティングに従事した後、2017年に事業創造アクセラレーター01Boosterにジョイン。Directorとして、複数のアクセラレータープログラムのマネージメント、ベンチャー投資、及び海外のアクセラレーターとの連携を推進している。 クロスボーダー投資・進出を促進すべく、2018年にアジアのVC・アクセラレーターのコミュニティであるAcross Asia Allianceを創設。2020年に株式会社InnoScouterを創業。スタートアップ連携管理SaaSを展開し、エンタープライズ企業を中心に導入を進める。2021年末にM&Aを通じて01Boosterグループにジョイン。新規事業担当執行役員に就任、現在01Booster取締役。
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━━01Boosterに入社するまではどんなことをされていたんですか。
2017年に入社したとき、01Boosterが3社目の会社でした。1社目は医療機器などを取り扱う日系の会社で、2社目はスイスの医療機器メーカーで、日本法人のプロダクトマネジメント部門に入社しました。1社目を辞めたときは医療系のキャリアを歩むつもりだったんです。できるだけ早い段階で外資系マーケティングをしておきたいと思って2社目に就職しました。
ところが、医療領域があまり合わないと気づいてしまったんです(笑)。それから半年ぐらいで辞めて一度起業してみようと思い立って、当時流行っていたAirbnbやUber Eatsのようなシェアリングエコノミーを真似した、本のシェアリングサービスをやってみることにしました。
最初は本当に何も分からなかったので、とりあえずコーディングを勉強して、自分でプログラムを作ってサービスを1ヶ月くらいやってみました。実際に自分で自転車で本をデリバリーしてみると、やはり借りたい人は一定数いるんでが、事業としては採算性が難しく、すぐに諦めてしまいました。
━━01Boosterに興味をもったきっかけを教えてください。
そして丁度そのタイミングで、アクセラレーターといったカテゴリを知り興味を持ちました。 当時はYコンビネーターとかがアメリカで盛り上がっていました。ベーシックインカムの実証実験をやっていたり、社会的にインパクトのある活動ができる組織体だなと感じました。また、採択企業に数百万〜数千万円をばら撒き型で出資するという北米のアクセラレーターモデル自体が、ベーシックインカム的な発想に近いですよね。
学生時代政治学科にいて、政治哲学などを勉強してた文脈もあり、アクセラレーターという概念自体が面白いなと思い、Wantedlyで"アクセラレーター"と検索したら2、3社ヒットして、01Boosterがそのうちのひとつでした。
実は、01Boosterのオフィスは当時働いていた会社のオフィスから徒歩20分くらいの距離にあって、平日の夜にイベントをやっているのを見ていたので興味があったんです。 そこから応募した後の面接では仕事の話よりも、アフリカの経済などの話について議論をしていく中で選考に通過しました。
━━アクセラレーターとしての実務でどんな仕事が印象に残っていますか。
海外出張によく行っていたのが思い出に残っていますね。01BoosterはGlobal Accelareter Network(GAN)といコミュニティに属しており、海外の先進事例から学習する、また日本の状況を海外にプレゼンするために、定期的に情報交換をしていました。
これが中々面白くて、世界中からアクセラレーターやVCが集まってきて、投資のトレンドや、Founder Wellness(起業家のメンタル支援)やDiversity&Inclusionといった様々なテーマについて議論するわけです。アクセラレーターでは結構国や自治体の支援を受けているところが多かったりするので、少しパブリック性があったり、日本と比べてもトピックの幅が広かったのが印象的です。
━━海外に関わる仕事をされていたんですね。
はい。カザフスタンの国を挙げたスタートアップカンファレンスに参加したり、ベトナムのイベントにて日本のスタートアップエコシステムについてアピールしたり等、様々な国でお仕事をさせて頂きました。多いときだと毎月どこかの国に行っているような状態でしたね。
━━仕事を通じて日本のビジネス市場についてどう考えていますか。
大上段な話になりますが、日本はキャッチアップ型・模倣型のアプローチに長けていると思います。近代黎明期の西洋化や、戦後の経済成長など最たる例ですね。個人的には、日本のスタートアップブームもシリコンバレーからのキャッチアップという類似した側面があるかと思ってます。
他方で、日本をシリコンバレーと同じような構成のスタートアップエコシステムにすることは難しいと考えております。スタートアップの数だけ見ても、日本は北米の約1/40しかいませんし、ベンチャー投資額も桁違いです。日本ならではのエコシステムを作っていく、という方向性を模索したいですね。その点で、日本と北米で大きな差分となっているのが、大企業のスタートアップエコシステムへの関与度の高さです。例えば、CVCによる投資額がVC投資全体に占める比率ですが、2020年時点で日本は30%強なのに対して、北米や欧州では30%を切るというデータもあります。
━━日本のビジネスのあるべき姿について教えてください。
僭越ではありますが、日本を事業創造できる国にするためには、「日本モデル」という型を新しく作っていく必要があると思っています。
スタートアップスタジオも、そのための一つの手段になると。日本はスタートアップの数が10,000~12,000社程度と言われており、年間600社くらいスタートアップが新しく生まれています。この数を2倍3倍にするというのは、人口減少が著しく移民も少ない日本では困難かと思います。その点、"起業家を作る"というスタートアップスタジオのアプローチは、日本でスタートアップを増やすために必要です。また、大企業からのスピンオフベンチャーもどんどん作っていく必要があります。
日本はそこそこの規模がある国なので、BtoBのマーケットが大きいんですよね。たとえばSaaSの導入においては日本は後進国ですが、ソフトウェアの市場規模は世界の中でも2位か3位なんですよね。だからBtoBビジネスのポテンシャルは特にすごいんですよね。このマーケットに対して日本発のサービスを展開していくためには、大企業からのスピンオフを支援するベンチャービルダーや、ディープな事業ドメインでデジタル事業を立ち上げるスタートアップスタジオみたいなアプローチは有効な手段なのではという仮説を持っています。