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クルージングヨット教室物語232

Photo by Jordan Cormack on Unsplash

「今日はどこ行く?」

隆は、ラットを握っている香代に聞いた。

「どこ行くの?」

隆が先に聞いていたのに、香代に聞き返されていた。

「久しぶりに深浦でも行ってみるか?」

「うん」

香代は、隆に返事した。

「深浦の港の入り方は覚えているか?」

「大丈夫。ちゃんとポンツーンが付いていて、京急ストアのあるマリーナだよね」

「うん」

香代は、横須賀市深浦のボートパークに向けて針路を変更した。

「そろそろセイルを下ろそう」

香代は、ラッコが深浦の港に近づくと、皆に言った。

「じゃ、一緒にセイルを下ろそうか」

香織は、明子をマスト付近に連れて行って一緒にメインセイルを下ろした。

「え」

明子は、香織に言われるままに、言われたロープを外しただけなのに、いきなりセイルがデッキの上に落ちて来てしまったので驚いていた。

「落っこって来ちゃったよ」

明子は、心配そうに香織に聞いた。

「いいのよ。明子ちゃんがセイルを下ろしてくれたんだから」

「え、私が落っことしてしまったの?」

明子は驚いて、慌てて落ちて来たセイルをまた上に戻そうとしていた。

「陽子、そっちのシートを緩めて」

「了解」

陽子と雪は、逆に落ちて来たセイルのことを畳んでしまおうとしていた。

「しまっちゃうの?」

「うん。お昼だから港にヨットを入れるから、その間はセイルをしまっておくの。またお昼が終わって、午後から横浜へ帰る時にセイルを上げるからね」

香織は、明子に説明した。

「これから港に入ったら、お昼ごはん食べるからね」

「お昼ごはんなの?私、今日はお昼ごはん何も持って来ていない」

「大丈夫よ。港に入ったら、キャビンの中に入って皆でごはんと作るからね」

香織は明子に言った。

「ごはんを作るんですか?」

「うん。明子ちゃんも一緒に作ろう」

「私、お料理ってしたことないんだけど」

明子が、香織に言った。

「私も作ってもいいの?」

「もちろん」

「私、お家では火とか包丁とか危ないからって、お母さんにお料理させてもらったことないの」

「そうなんだ。それじゃ、包丁とか使わない簡単なお料理を一緒にしようか」

「うん!」

明子は、香織へ嬉しそうに笑顔で頷いていた。


作家プロフィール

主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など

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