クルージングヨット教室物語119
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「皆、クリスマスパーティーに参加するってさ」
麻美子は、クリスマスパーティーのことをラッコのメンバーに伝えたことを、隆に報告した。
横浜のマリーナにヨットを保管している艇の年間スケジュールは、毎年だいたい3月、4月ごろから始まる。もちろん、隆たちのように、真冬にラッコの建造が終わり、進水して、麻美子に寒い寒いと言われながらも、真冬も普通に海に出航しているヨットもいるが。
そして、暖かくなってくる3月ごろからヨットに本格的に乗り出して、冬の間の鈍った身体をウォーミングアップし終わって、少し経った4月、5月頃になると、香代たちも参加した横浜のマリーナ主催のクルージングヨット教室がスタートする。
マリーナでは、小学生や中学生が対象のジュニアヨット教室もあって、こちらは、1年を通して通年で毎週末開講されているのだが、大人のためのクルージングヨット教室の方は、4月からだいたい11月ぐらいの期間で開講されていた。
大人のためのクルージングヨット教室の、大人の対象年齢には、特に上限、下限の制限はなく、普通に身体が動ける大人なら、ヨットやってみたいというやる気のある大人なら誰でも受講できる。
各艇に配属された生徒たちが、ヨットに乗り慣れて来た頃の5月、6月になると、横浜のマリーナのクラブレースの初戦が始まる。クラブレースは、年間を通じて5、6回開催されて、その総合順位でもって、その年のクラブレース優勝艇が決まる。
クラブレースのうち、初戦と真夏、最終戦のレース後には、マリーナ敷地内にてバーベキュー設備を使って、焼きそばやバーベキューのビールパーティーが開催される。
最終戦のクラブレース後のビールパーティーは、今年の最終戦のように忘年会と合わせてやるからと中止になることも多かった。
もちろん、横浜のマリーナには、うららのようなレース邸だけでなく、隆たちのラッコのようなクルージング艇も多く停泊しているので、そういった艇は、ゴールデンウィーク、海の日、お盆時期、シルバーウィークには、泊まりでクルージングに出かけていた。
それぞれの艇単独でクルージングに出かける艇もあれば、ラッコとアクエリアスのように、2邸でランデブークルージングする艇もあった。また、一緒に出かけたわけではないのだが、行ったクルージング先の港で、ラッコとドリーム号が出会ったみたいに、出会うこともあった。
それ以外に、横浜のマリーナ主催で、マリーナに停泊している艇みなで一緒に、同じ目的地に泊まりでクルージングに出かけるというクルージングもあった。
マリーナ主催のクルージングでは、クルージング先の晩餐会会場での艇同士の交流会と同時に、クルージングヨット教室の卒業式も開催していた。
そして、12月マリンシーズンの締めくくりとして、忘年会、クリスマスパーティーを横浜の老舗ホテルで毎年開催していた。土日に開催されることが多く、隆たちのように通年ヨットに乗っている艇は、昼間はヨットで出航して、戻ってくると、そのままホテルに直行するという艇もあったが、寒くなってくると、ヨットは全く出さなくなってしまう艇もあって、そういった艇は、マリーナではなく自宅からホテルに直行するので、スーツやドレスでドレスアップして参加する艇も多かった。
その他には、家庭の事情で親と離ればなれで暮らす子たちの学校とかボーイスカウト、ガールスカウトたちをマリーナに招待して、一日体験でヨットに試乗させてあげたり、横浜で毎年開催される花火大会に合わせて花火見物に山下公園までクルーズしたり、釣り船をマリーナで貸し切って釣り大会したりというミニイベントがあった。
今年の花火大会や釣り大会にも、ラッコのメンバーたちも参加したのだったが、話数の関係でストーリーには登場しなかったので、次年度のクルージングヨット教室では、登場させようとは思う。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など