クルージングヨット教室物語98
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折り返しのブイを周ってからは、特に良いことも悪いこともなく、レース艇たちには全艇に抜かれてしまったが、クルージング艇の中では一番先頭でゴールできた。
ポオオオオオオー
「今回は、修正で何位だったかな、優勝できているかな」
ゴールラインを過ぎると同時に、中村さんが隆に質問してきた。
「さあ、私も、わかりません」
隆としては、このままアクエリアスのラットを握っていたし、マリーナに帰港するつもりだったのだが、中村さんが順位が気になるというので、ラッコの横に横付けした。
「瑠璃ちゃん、何位かな」
横付けすると、すぐに中村さんが瑠璃子に質問し
「え、どれぐらいだろう?」
瑠璃子は、中村さんからの質問への返答に困っていた。
「レーティングの計算って複雑だものな。そんなにすぐに計算できないよな」
隆が、瑠璃子に助け舟を出した。
「もしかしたら、1位じゃないかもしれないけど、2位か3位ぐらいにはなっているかも」
瑠璃子は、ザクっと計算してみた結果を隆に伝えた。
「そんなに上位に行くのか?」
「うん、だって、ここの数値が低いもの」
「なるほどな、アクエリアスのレーティングが低過ぎるんだな」
隆は、瑠璃子に返事した。
「今回が最終戦だろう。これで優勝すれば、年末のクリスマスパーティーでの表彰式で総合優勝をもらえるかもしれないだろう」
中村さんが、隆に言った。
「でも、そこで優勝しちゃうと、来年のクラブレースのレーティングは高くされちゃいますよ」
「そうなんだよな。だからこそ、今年は優勝しておきたいんだ」
中村さんが答えた。
「それじゃ、船を離して。うちらは、先にマリーナに戻っているから」
隆は、ラッコの横付けでライフラインを持ったままの雪や
麻美子、瑠璃子に言った。
「麻美子、全艇がゴールし終わったら、香代と一緒にラッコをマリーナまで持って帰ってこれるよな」
「うん、大丈夫じゃない・・アンカーの操作の仕方が」
「アンカーの操作は、瑠璃子が全部わかっているよ」
隆は、麻美子に答えた。
「うん。大丈夫だよ」
瑠璃子が麻美子に答えた。
そして、隆たちは、先にアクエリアスでマリーナへ戻った。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など