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クルージングヨット教室物語98

Photo by Buddy Photo on Unsplash

折り返しのブイを周ってからは、特に良いことも悪いこともなく、レース艇たちには全艇に抜かれてしまったが、クルージング艇の中では一番先頭でゴールできた。

ポオオオオオオー

「今回は、修正で何位だったかな、優勝できているかな」

ゴールラインを過ぎると同時に、中村さんが隆に質問してきた。

「さあ、私も、わかりません」

隆としては、このままアクエリアスのラットを握っていたし、マリーナに帰港するつもりだったのだが、中村さんが順位が気になるというので、ラッコの横に横付けした。

「瑠璃ちゃん、何位かな」

横付けすると、すぐに中村さんが瑠璃子に質問し

「え、どれぐらいだろう?」

瑠璃子は、中村さんからの質問への返答に困っていた。

「レーティングの計算って複雑だものな。そんなにすぐに計算できないよな」

隆が、瑠璃子に助け舟を出した。

「もしかしたら、1位じゃないかもしれないけど、2位か3位ぐらいにはなっているかも」

瑠璃子は、ザクっと計算してみた結果を隆に伝えた。

「そんなに上位に行くのか?」

「うん、だって、ここの数値が低いもの」

「なるほどな、アクエリアスのレーティングが低過ぎるんだな」

隆は、瑠璃子に返事した。

「今回が最終戦だろう。これで優勝すれば、年末のクリスマスパーティーでの表彰式で総合優勝をもらえるかもしれないだろう」

中村さんが、隆に言った。

「でも、そこで優勝しちゃうと、来年のクラブレースのレーティングは高くされちゃいますよ」

「そうなんだよな。だからこそ、今年は優勝しておきたいんだ」

中村さんが答えた。

「それじゃ、船を離して。うちらは、先にマリーナに戻っているから」

隆は、ラッコの横付けでライフラインを持ったままの雪や

麻美子、瑠璃子に言った。

「麻美子、全艇がゴールし終わったら、香代と一緒にラッコをマリーナまで持って帰ってこれるよな」

「うん、大丈夫じゃない・・アンカーの操作の仕方が」

「アンカーの操作は、瑠璃子が全部わかっているよ」

隆は、麻美子に答えた。

「うん。大丈夫だよ」

瑠璃子が麻美子に答えた。

そして、隆たちは、先にアクエリアスでマリーナへ戻った。


作家プロフィール

主な著作「クルージングヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など


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