クルージングヨット教室物語95
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「この間のクラブレースは、いなかったでしょう?」
「ああ、千葉の方にクルージングに行っていました」
隆は、うららの松浦さんに聞かれて、答えていた。
「千葉に行っていたんだ。楽しかった?って聞くまでもなく、ラッコのメンバーは、いつも賑やかで仲良しグループだものな。楽しくないわけないか」
松浦さんは、隆に言った。
「今日は、今年最後のクラブレースなんだけど」
「そうみたいですね」
隆は、松浦さんに答えた。
「最終レースで、参加艇多いと思うんだけど、またコミッティーボートやってくれないか」
「麻美子、どうする?」
隆は、麻美子に聞いた。
「別に良いんじゃない。この間、初めてうまく仕切れなかったところ、今回は、皆わかっているし、もっとスムーズに仕切れると思うわ」
「それじゃ、お願いできますか」
「はい」
麻美子と隆は、松浦さんに答えた。
「これから、クラブハウスの2階で艇長会議が始まるんだけど」
「麻美子、行ってきてよ」
隆に言われて、麻美子は松浦さんと一緒に2階へ移動した。
「今日のレースは、またコミッティーボートだってさ」
隆は、ラッコで出航準備していた皆に伝えた。
「何、ラッコは、またレースに出ないの?」
たまたま、ラッコの皆の側にいた中村さんが、隆に聞いた。
「それじゃ、また隆くん一緒にアクエリアスで出場してよ」
隆は、中村さんに頼まれていた。
それから、ラッコにクラブレースで使用する備品を積むと、マリーナ職員にクレーンで海上に降ろしてもらって、レース海域まで行くと、そこでアンカーを打って待機となった。
「隆くん、乗れる?」
海上でレースのスタートラインになっているラッコに、アクエリアスが近づいてきた。
「どうする、またアクエリアスでレースに参加するか?」
「うん。別にいいよ」
陽子は、隆に答えた。
「それとも、今回は雪か瑠璃子が一緒にアクエリアスに乗るか?」
「私、これ記帳しなければならないから」
瑠璃子は、手に持っているレースの記録簿を隆に見せた。
「私が乗っても、レースの、何の手助けにもならないって」
雪が答えた。
「じゃ、香代が一緒に行くか?」
「香代ちゃんはだめよ。ラッコの艇長なんだから」
麻美子が隆に断った。
「誰もいないから、私で我慢して」
陽子が隆に言って、隆と一緒にアクエリアスに乗り移った。
隆と陽子が、アクエリアスでレースに参加すると聞いて、一番喜んでいたのは香織だった。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など