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クルージングヨット教室物語93

Photo by Liu JiaWei on Unsplash

「朝日がすごいきれい!」

香代は、城ヶ島大橋から眺める朝日に感動していた。そのままでは背が低くて、橋から海は見えないので、また隆の肩の上に乗っかっていた。

朝早く、早起きして城ヶ島へ散歩に来ていたのは、香代、隆、陽子に香織、瑠璃子の5人だけだった。他のメンバーたちは、まだラッコのキャビンの中で眠っていた。

「麻美ちゃんも来れば良かったのにね」

「まだ、ぐっすり眠っていたのだもの。気持ち良さそうに寝ていたから」

香代が、朝起きた時に横で眠っていた麻美子の姿を思い出しながら言った。

「起こしてあげれば良かったのに」

「お母さん、朝ですよ、起きてって」

瑠璃子が笑いながら、香代に言った。

「お母さん起きてって・・」

香代は、瑠璃子に言われて、少し照れていた。

「どうせ、麻美子が寝たのって明け方近くだよ」

「だろうね、昨日は中村さんたち皆けっこう飲んでいたものね」

陽子が、隆に頷いた。

昨夜は、城ヶ島大橋の中央付近まで来てから、また三崎の方に戻ってしまったが、今朝は城ヶ島大橋を城ヶ島の方に向かって渡り終えていた。

「あ、マリーナがある!」

まだ隆の肩の上に乗っている香代が、肩の上から城ヶ島側にあるボートがたくさん置かれている場所を指差して叫んだ。

「あれって、マリーナなの?」

「一応、マリーナだよ。ヨットは1艇もなくてボートしか置いてないけど」

隆が、陽子に答えた。

城ヶ島マリーナは、城ヶ島の橋を渡ってすぐのところにある民間のマリーナだ。

「ヨットが本当に1艇も無いね」

「ボートばかりしか置いていないね」

マリーナ内には、レジャーボートしか置かれていなくて、ヨットの姿はどこにも無かった。

「この辺だと、釣りをメインに考えているボートの方が多いのかもね」

「そうだよね。あれだけ美味しそうなマグロいっぱい見させられちゃったらね」

後ろに見えている三崎の漁港を眺めながら、香織が言った。

「また来たいな、ここにマグロを食べに」

「香織ちゃん、館山よりも三崎の方が好き?」

「そうね、館山だったらこっちにまた来たいかも」

香織は、瑠璃子に答えた。

「私は、式根島港とか波浮港も好きだったな」

「確かに、新島も若い子が多いのはビックリだったけど、島自体は好きだったな」

陽子が言った。

「島よりも、三崎の方が気に入ったんだ?」

「え、私は島って一度も行っていないからわからないけど。三崎は気に入ったかな」

香織は、隆に聞かれて答えた。

「三崎ぐらいなら、近いしいくらでもいつでも来れるよ」

皆は、城島大橋を渡り終えて、島の中を散策していた。

「絵が描いてあって可愛い船が走っている」

「あれは、城ヶ島の観光船だね」

隆は、自分の肩の上に乗っている香代に答えた。

「船底がガラス張りになっていて、そこから海の底が見えるようになっている船」

「おもしろそう、乗ってみたい」

香代の言葉で、皆は城ヶ島の観光船乗り場に向かった。観光船乗り場に向かう途中で、小さな男の子がお父さんの肩の上に乗っかっている人とすれ違った。

「隆さん、ちょっと下に下ろして」

香代は、隆の肩の上から下りると、観光船乗り場に向かって走り出した。

「よほど、観光船に乗って見たかったんだね」

「違うよ。たぶん隆さんに肩車されているのが恥ずかしくなったのよ」

香織は、さっきすれ違った肩車の親子の方を振り向きながら、隆に言った。

「あ、そういうことか」

隆も、肩車の親子を見て納得した。

「30分ぐらいか、朝食前に戻れそうだし、乗ってみるか」

皆は、城ヶ島の観光船に乗ってみることにした。

「本当だ!海の中がまる見えになっている」

皆は、ガラス張りになった船底から海の底をのぞきこnでいた。

「清子、お魚にパンツまる見えじゃん」

「お魚は、スカートの中なんか覗かないもん」

「清子のパンツなんか、お魚も興味ないか」

「違うよ!」

家族で乗っていた兄妹が話していた。

「瑠璃ちゃんも、よくスカートはいているから、お魚にパンツ見られないように気をつけないと」

「私、今日はスカートなんかはいていないし。私のパンツもお魚にも興味ないってさ」

陽子と瑠璃子は、話していた。


作家プロフィール

主な著作「クルージングヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など


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