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クルージングヨット教室物語92

Photo by ZZ Benson on Unsplash

「三崎ってマグロが有名なのね」

「マグロ料理のお店屋さんばかりいっぱい出てくるね」

お風呂からの帰り道、三崎の街中をぶらぶら歩きながら、麻美子が言った。

「ほら、こうしたら、橋の上からの景色が良く見えるだろう」

三崎の街中をぶらぶらしていて、真っ直ぐには漁港に泊めているヨットのところには戻らず、少し寄り道して、城ヶ島大橋の上まで歩いて来ていた。

背の低い香代は、橋の欄干が邪魔して、橋から海が見えなかったので、隆が肩車をしていた。

「すごい良い景色」

香代は、隆の方の上で叫んでいた。

「それじゃ、このままラッコまで戻るか」

隆は、香代のことを肩車したまま、漁港のラッコが泊まっているところまで戻った。

「なんかそうやって、香代ちゃんのことを肩車していると、お父さんにしか見えないんだけど」

陽子が、隆に言った。

「香代は、朝は早起きとか得意の方か?」

「うん、別に早起きもできるよ」

「そしたら、明日の朝は早起きして、さっきの城ヶ島大橋を渡って、城ヶ島の方を散歩して来ようか」

香代は、隆に頷いた。

そして、船に戻ってくると皆はラッコのキャビンの中に集まり、寛いでいた。

「明日は早起きするし、先に寝ようか」

隆は、香代を連れてアフトキャビンに入ると、先に寝てしまった。

中村さんとアクエリアスのクルーたちに、雪も加わってパイロットハウスのメインサロンで静かにお酒を飲んでいた。麻美子も隆たちと一緒に先に寝たかったのだが、中村さんたちが起きていたので、一緒に付き合って遅くまでお酒を交わしていた。

陽子と瑠璃子に香織は、適当な時間で切り上げて、ダイニングルームのベッドメイクを済ますと、そこでいつものように眠りについていた。


作家プロフィール

主な著作「クルージングヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など


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