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クルージングヨット教室物語91

Photo by Liu JiaWei on Unsplash

「下を覗くと、漁協のお魚を運んだりしているところが全部見えるんだね」

香代たちは、三崎漁協の2階の展示コーナーに来ていた。

「落ちたら大変だから、あんまり身を乗りださないでね」

麻美子は、2階の吹き抜けから1階の漁協の様子を覗きこんでいる香代の身体を抑えながら言った。

中村さんたちアクエリアスのクルーと雪だけは、先にラッコのキャビンに帰ってしまっていた。麻美子と香代、隆に陽子、瑠璃子、香織だけで2階の展示コーナーには来ていた。

「あんまり、お魚さん獲れなかったのかな」

「もう夕方の時間だからね、市場が活発なのは早朝だから、また明日の朝、ここに来てみたらお魚が運ばれているところをいっぱい見れるよ」

隆は、香代に言った。

「また明日の朝、ここに来よう」

香代は、隆のことを誘っていた。

「香代ちゃん、お魚に興味あるのね」

麻美子は、香代の頭を撫でながら言った。

「さあ、お風呂に行こうか」

皆は、一旦ラッコのキャビンに戻ると、お風呂へ行く準備をしてから、三崎の街に出た。

「ここの街は、昨日の館山よりも色々なお店が揃っているね」

「三崎は、三浦半島の有名な観光地だからね」

隆は、麻美子に答えた。

お風呂へは、雪もアクエリアスのクルーたちも来ていた。

「ここは、ヨットでなくても電車とかでも来れるの?」

「来れるよ。京急線の一番終点の駅だよ」

「京急って品川から出ている電車のこと」

「そうだね、真っ赤な電車。終点の三崎口駅」

隆が、麻美子に説明した。

「三崎口駅って近いの?」

三崎の街中を歩きながら、麻美子が隆に聞いた。

「ここから京急バスで20分ぐらいのところ、そこの三崎口駅から品川駅まで京急が出ているよ」

「それじゃ、品川駅から山手線で恵比寿まで出れば、中目黒までも帰れてしまうんだ」

「そうだね、麻美子だけ先に帰る?」

「帰りません」

麻美子は答えた。

「バイバイ!」

銭湯の男湯と女湯の入り口の前で、それぞれ別れた。

「でも、なんか用事があった時って、隆とかに三崎までヨットを回しておいてもらえば、後から東京から電車で直行することもできるのね」

麻美子は、女湯の脱衣所で服を脱ぎながら、横にいた瑠璃子に話した。


作家プロフィール

主な著作「クルージングヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など


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