【日本の医療が抱える構造的な課題】
日本の医療は高水準である一方、持続可能性の危機に直面しています。高齢化が進み、医療費の増大、医療従事者の不足、地域格差、非効率な業務プロセスなど、様々な課題が医療の質とアクセスを阻害しています。
1.医療費の増大と財政圧迫
日本の国民医療費は1991年の約20兆円から2022年には45兆円を超え、30年で2倍以上に拡大。2040年には70兆円超に達すると予測されており、GDP成長率の鈍化とともに国家財政を圧迫し続けています。
2.医師・医療従事者の不足と偏在
医師は増加しているものの、都市部に集中し、地方では医師不足が深刻です。例えば、人口10万人あたりの医師数は京都府が最多、埼玉県が最少で約1.9倍の差があります。さらに、医師の長時間労働が常態化し、医療従事者の負担増加が医療の質の低下を招いています。
3.医療システムの非効率性
日本の医療機関では、電子カルテ・レセプト・調剤システムなどが独立して運用され、データの統合が進んでいません。
4. 医療市場の成長とデジタル化の遅れ
日本の医療・福祉産業の市場規模は100兆円超に達し、今後も高齢化の進展とともに拡大が続くと見込まれています。一方で、医療のデジタル化は遅れており、診療データの共有が進まず、医療機関ごとに異なるフォーマットで管理されています。
5.オンライン診療市場の成長と未成熟な導入状況
日本のオンライン診療市場は2024年時点で約5.2億ドル(約700億円)と推定され、2033年には20億ドル(約2700億円)規模へと成長すると予測されています。しかし、全国の医療機関のうちオンライン診療を導入しているのは15%程度に留まり、導入はまだ限定的です。
6.OTC(一般用医薬品)市場の拡大とセルフメディケーションの重要性
日本のOTC市場規模は約8,000億円に達し、今後も拡大が予測されています。予防医療の普及によって2030年には1.5兆円の医療・介護費が削減可能とされており、セルフメディケーションの推進が医療コスト削減の鍵となっています。
【医療業界は効率化を求められているのに、なぜ進まないのか?】
医療業界に効率性が求められていることは明らかです。財政圧迫、医師の働き方改革、患者の利便性向上など、どの視点から見てもデジタル化は不可避です。しかし、現実には改革が進んでいません。
その理由は、既存の医療機関の構造にあります。
多くの医療機関は、それぞれ独自のシステムを導入しており、互換性がないために一元化が困難です。さらに、新技術の導入には高額なコストや運用負担が伴い、変革が進みにくい状況にあります。
また、医療業界のITベンダーも、個別のシステム提供に留まり、全体最適を実現できていないことが、変革の遅れにつながっています。
【だから、CyMedは市場を変えなければならない。】
CyMedは、単なる業務改善ツールを提供するのではなく、医療の根本的な仕組みを変えることを目指しています。これまでの部分最適なシステムではなく、医療の提供プロセス全体をデジタル化・効率化することで、日本の医療の非効率性を根本から解決します。医療のデジタル化は不可避です。しかし、従来の延長線上の改革では、根本的な解決には至りません。CyMedは、テクノロジーの力を活用し、効率的かつ持続可能な医療の仕組みを構築することで、医療機関の負担を軽減し、より多くの患者が適切な医療を受けられる社会を目指しています。