「感動を与える"おもてなし(User Experience)"を追求し続ける」を企業理念に掲げ、最先端のテクノロジーを私たちの生活・手元に届けてくれる、 UIEvolution株式会社。
今回は、大規模なプロジェクトに関わる入社8ヶ月目の天野翔さんにお会いし、気になる同社のお仕事についてお話を伺ってきました。
自らを「優柔不断」と語る天野さんですが、今回の転職時に検討した企業はUIEvolution株式会社たった 1 社。「Wantedly」の「話を聞きに行きたい」ボタンから入社に至った、その決断の経緯についても詳しく教えてもらいました。
構えるオフィスは恵比寿の真新しいフロア。天野さんの素敵なお話と心地よいオフィスに「おもてなし」いただいたレポートです。
スマホとつないでカーナビゲーションを変える
現在の天野さんのご担当は、「車載機とスマートフォンを連携するための技術開発」とのこと。
ー これは丁寧に教わる必要がありそうです。詳しく伺わせてください。
「” 車の中のカーナビとスマートフォンを連携させる機能の開発 “ と考えてもらえればわかりやすいと思います。元来、カーナビ自体は機能が固定されてしまっているので、その後のアップデートというと難しいものでした。しかし、カーナビとスマートフォンを連携してしまえば、スマートフォン側のアプリケーションは更新が随時可能なので、どんどん新しいサービスをカーナビで利用できるんですよね。そのような連携を実現させるためのライブラリや機能開発を担当しているんです」
現在は、トヨタ自動車株式会社との共同プロジェクトをすすめている天野さん。規模の大きなこの仕事に、全霊を注がれています。
「 ” 次世代 “ 向けの車に搭載することを想定して開発をしているんです。機能自体の開発は、僕が入社する前からある程度すすんでいたので現在は最終段階にも近いですね。実際に車のカーナビを作ってるメーカーさんとつないで試験をして、反応速度や起動時間などの性能改善や不具合修正・機能拡張をおこなっているんです」
製品開発における「テスト」は非常に重要な工程。利用者の安全性に関わる製品であれば、尚更のことです。テストのため、天野さん自身が海外に足を伸ばすこともあるんだとか。
「社内にQA担当もいるので、カーナビを借りてきて社内でテストすることがほとんどですが、テキサスのトヨタさんの拠点に出張で行くこともありましたね。ログを見ながら原因究明をして、切り分けまでを現地でおこないました。『どこの問題で不便が起きてるのか』というところを解析するのも仕事です」
大変ながら、やりがいのあるプロジェクト。しかし、「複雑なので、自分の仕事内容を人に説明するのがすごく難しいんです (笑)」とおっしゃる天野さんの言葉には、思わず深く頷いてしまうのでした。
人生最初の開発は、「ハンダ付け」
ー そんなお仕事内容について、ご両親にはどんなふうに説明されていますか?
「今は『トヨタ社の車のカーナビとつながるスマホの機能の開発をしている』と説明しているんですが、『具体的には ? 』と尋ねられると、こちらもなかなか説明に困ってしまったりすることがありますね (笑)」
そう語る天野さん。ところが、丁寧に振り返るとその原点にはエンジニア出身であるお父さんの存在があるようでした。
「父は電機メーカーに勤めていて、 “ ハンダゴテ “ があるような家でした。小学生のころ、電子工作のキットを買ってきてくれたので、それを作ってみた記憶はありますね。いま思えば、よく理解もできていなくて『ここを、ここにくっ付ければ動く』程度のことだったとは思いますが、コンピュータとは違えど、そういった環境はありましたね」
そして中学校に上がったころ、天野家に『パソコン』が登場します。
「それも父が、当時(1996 年ごろ)は、まだめずらしいパソコンを買ってきたんです。そのときに、はじめて触らせてもらいました。中学校の『技術』の教科書で『BASIC(ベーシック)』について書かれてあるのを見たときに、” これはなんだろう “ と興味を持ったんです。こうすれば自分の思い通りに動くのか、と。そしてこれもやはり、BASICのソフトを親に買ってきてもらって、中学校2年生のときにやってみたんですよね。それが最初のきっかけになったんだと思います」
ー プログラマ歴は、とても長いですね!
「それを含んでいいのかは、わかりませんが・・・(笑) しかし、父親のアマチュア無線という趣味のおかげもあって、ハンダゴテをはじめとした部品が転がっていたというのは、多かれ少なかれ影響していると思いますね。大学からは、『情報』の授業を受けて本格的にプログラミングを本格的に勉強しはじめました」
さらに大学院へと進学し、現在のお仕事により近しい分野へと興味が広がっていったと言います。
「電気工学科では、コンピュータと実際に身のまわりの物体を “ どう繋ぎあわせるか “ といったことを研究していました。具体的には、『歪みセンサー』というものが研究対象です。接着剤でそのセンサーをペタッと貼っつけておくと、物体がどのぐらい曲がったかどうかを検知するセンサーで、橋や建造物に取り付けて、それが歪んだときにアラートを出す、といったことが本来の使い方ですね。それを身のまわりのものに取り付けておけば、『触ったかどうか』も認識できるんではないか、というような研究をしていました。コンピュータで完結するものと言うよりは、身のまわりのものと繋いだり連携させたり、そういったことに昔からずっと興味があったんでしょうね」
まだ「IoT」という言葉もない当時から、天野さんの興味は「コンピュータと繋ぐことで可能にする」世界に注がれていまいた。
新卒入社から7年半
卒業後、就職先として選んだのはソニー株式会社でした。
「自由な雰囲気が心地よい会社で、ここであれば自分がやりたいことができそうだろうと感じましたね。当時も就職が難しい時代と言われていましたが、運良く入社することができた、という感じです。エントリーするまでに見学に行ったのも大きかったと思います。” 実際の職場を見せてもらえる “ というのは、僕にとって重要なポイントですね」
「入社してから、大規模なソフトの開発やメンテナンス・修正といった実務を経験していきました。現職でやっている、スマホから映像をストリーミングで出す、といった機能部部分は、実はソニーでも似たようなことをやっていて。そういった細かな知識も、非常に役立っていますね」
思ったとおりの「自由な社風」の中、多くのことを学んだ 7 年半。環境・自身の成長に充実感を憶えながらも、事業の方向性やビジョンを見つめるとき「このままでいいのだろうか」とよぎることがあったそうです。天野さんの中ではまったくブレない、ひとつの想いが残っていたのでした。「コンピュータと繋いで、身のまわりのものを便利にしたい」。
「スマホはまだまだ不便だ」
「スマートフォンは、まだまだ不便です」と言う天野さん。
ー どういった部分で、そう感じられるのでしょうか?
「スマホも、それ以外のコンピュータも同じことですが、ずっと画面を見てなければいけないということには、すごく不便を感じますね。画面を見て操作をしなければいけないし、操作後もその処理結果を待たなければいけないというのは、ストレスだと思うんです。僕が最初に使った中学生のその頃から、そこは変わっていません。スマホやコンピュータって、何かを便利にするための道具であるはずなのに、人間がその道具にとらわれているような気がしてしまう。充分に賢いはずですから『これをやっといて』と頼めば、あとは勝手に処理をしておいてくれてもいいはずですよね。それが当時10年以上前から変わっていないのはおかしいので、もっと便利にしたいんです」
入力や操作も、声や視線や脳波で実行できてしまう、そしてその処理を画面を眺めて待つ必要などない、「人間がコンピュータを集中・意識せずに使うことができる」世界。それこそが、天野さんにとって「便利」な世界であり、「UI」を大事にするUIEvolution社としても同じく、そんな便利で心地よい「おもてなし」が実現できる未来を予測しているとのことでした。
「前職も素晴らしい環境でしたし “ 転職しなければいけない “ という状況では決してなかったのですが、ソフト開発に努め続けることより、やはり長年のその想いを探求し続けてみようと、チャレンジを考えてみました」
そして、自分のフィットする環境を探しはじめてたどり着いたのが、「UIEvolution株式会社への訪問」のきっかけとなる 「話を聞きに行きたい」ボタンでした。
入社を決意した「縁」
その時の天野さんの印象を、採用担当の井上さんにおうかがいしてみました。
井上「Wantedly 経由で、まずは “ お互いについて話す “ というフェーズをしっかり踏んだのが、すごく良かったですね。本当にざっくばらんに会社のことや気になる点について話し合いました。弊社では、30 代前半の天野さんは若手層に入ります。若いモチベーションのある人がエントリーしてきてくれたということに、すごくワクワク感がありました」
ー 天野さんには、どう映りましたか?
「オフィスもしっかりと見せてもらったんです。執務エリアは、席にパーテションがあってエンジニアにとってとても集中しやすい環境だと感じましたし、コーヒーマシンやお菓子が並ぶ休憩スペースも『気分転換できる環境づくりをしています』という説明を受けましたね。プロジェクトの内容についてもしっかり伺いました。もちろん施設設備だけではありませんが、実際の職場を見学できるのは、本当にうれしいことです。文字情報や面接だけでは具体的な雰囲気もわからないじゃないですか。特に、自由で伸び伸びとしたチャレンジしやすい雰囲気であるということが、とても重要だと考えていたので『まさに、それができそうだな』という感想を持ちました」
ー 何社ぐらいご覧になったのですか?
「実はここ 1 社だけなんです。他のところは受けていないし、Wantedly利用したのもこの 1 度だけで。焦って転職をしなければいけない状態ではなかったのですが『自分にぴったりだ』と感じてしまったので、入社を決めてしまったんですよね」
ー 運命の出会いができたんですね。
「” ご縁 “ ですね。今まで履歴書に書くことはなかった、『将来的にこういうことをやりたい』『仕事を通じて、こういうことを実現したい』という未来のことをWantedlyのプロフィールだとしっかり書くことが出来るので書いていて面白かったですね。、それを採用担当の方に読んでもらうことができたのも、良かったんだと思います」
大手企業からベンチャー起業への「はじめての転職」。しかし、そこにも大きな葛藤はなかったのだそうです。
「もともと優柔不断な性格ではあるので、社内異動でやりたいことを実現することができる可能性も探りましたし、同じように大手メーカーからベンチャー企業に転職した大学の後輩に話を聞いてみることはしましたね。ただ、個人的には少数精鋭のチームが好きだったこともあり、そこに抵抗はなかったんですよ。移ることに関して葛藤と呼ぶようなものはありませんでしたね」
慎重な天野さんが、1 社の見学で決めてしまうほどの「縁」がそこにはありました。
価値観でつながる、フラットな組織
「人間がコンピュータを集中・意識せずに使うことができる」世界。現在のカーナビプロジェクトの 1 歩も「いずれ、そういったことに繋がれば」と天野さんは語ります。
ー 入社し、プロジェクトをすすめる中で何か予想とのギャップはありますか?
「ほとんどないんです。半年ぐらい経ちますが、しっかり “ 知った “ うえで入社していたので、予想どおりの心地よい環境ですね。 1 つあるとすれば、夜遅くまで残って作業している人は少ないということは意外でした。完全裁量労働制なので、家に持ち帰る人もいますし朝早く作業する人もいます。自由度はかなり高くて働きやすいですね」
「自由」「働きやすさ」を実現しているのは、ルール面だけではないそう。
「組織もすごくフラットで、週に 1 度の全社ミーティングでみんなで話し合って決めることにも積極的なので。ビジョンや目標に関しても、やはり人数が少ないので全員が同じ方向を見ることができていて、しっかり共有できているように感じますね。根っこの部分で繋がれているように感じるんです。そこは、前職の規模ではなかなか難しい部分だったので、ベンチャー企業の良さだなと改めて思いますね」
共有されているビジョンは、” 私たちの身の回りのもの全てがインターネットに繋がり、アプリケーションは全てサーバー側で走るようになり、様々なデバイスはユーザー体験を提供するためのアクセスポイントになる “ そんな未来です。
天野さんと同じ価値観でつながったメンバーが、ここに集まっています。
推奨されているのは「暴れること」
創業者の中島 聡さんは常に、「エンジニアには暴れてほしい」「PMを困らせるのが仕事」と話されているそうで、エンジニアがイノベーションを起こそうという風土。
「自発的に『こんなのはどうだろう』というものを作って発表することは、すごく奨励されています。僕も、今後はそういったことにトライしていきたいです。コンピュターに詳しくない人でも使うことができる便利なデバイスがいいんじゃないかと思っていますね」
暴れる準備は充分の様子。そして今後は、
「自分自身もそうだったんですが、会社のビジョンに共感できてその方向に向かいたいと強く思える人。自由な雰囲気なので、自分からどんどん手を挙げられるようなカルチャーに合っている人」
そんな人といっしょに「ひと暴れしたい!」と語ってくれました。
「実現したいこと」を信念として持ち続け、果敢にチャレンジする天野さんの姿は非常に頼もしく、同じ価値観でつながった仲間と多くのイノベーションを巻き起こしたい!という熱気が伝わってくるお話でした。同社で取り組む “ 次世代 “ への展開が、とても楽しみです。