メキシコ国立自治大学(UNAM) / 経済学部
311被災の子どもをメキシコで受入
2012年7月30日から8月9日までの11日間、福島県相馬市の小学生から高校生までの22人がメキシコ政府の招へいによりメキシコを訪れました。 メキシコも日本と同様、地震の頻発国で、1985年にメキシコの太平洋岸で地震が起きた際は、約1万人の死者を出すこととなりました。この震災後、JICAは国立防災センター(CENAPRED)の創設支援など、復興に関する複数の協力を実施してきました。2011年3月に東日本大震災が起きた際には、メキシコが迅速にレスキュー隊を福島に派遣し、日本に協力の手を差し伸べました。 このように、日本とメキシコは震災時に手を取り合って協力してきた長い歴史があり、今回の相馬市の児童・生徒によるメキシコ訪問も、連綿とつながる両国の震災に関する協力の一環をなすこととなりました。今回の訪問は、マルガリータ・サバーラ大統領夫人の発案により実現したものですが、被災した地域の児童をメキシコに招へいすることにより、メキシコ国民と政府の日本に対する連帯の念を表明することを目的に企画され、メキシコ外務省とメキシコ国際協力開発庁(AMEXCID)(注1)がコーディネートを行うこととなりました。 私は2011年8月より1年間、JICAから「日墨戦略的グローバル・パートナーシップ研修計画」(注2)の枠組みでメキシコへ派遣され、スペイン語学校やメキシコ国立自治大学経済学部などで研修を受けました。さらに、最後の2ヵ月間は、AMEXCIDでインターンとして勤務しました。その期間中に、相馬市の児童・生徒がメキシコを訪れることとなり、私も簡単な通訳やアテンドなどのお手伝いをするべく、全日程にメキシコ外務省スタッフとして同行する機会を得ました。 子どもたちは、国立人類学博物館やアステカ文明の遺跡、その近隣州の観光地などを訪れ、訪問した先々で、温かい歓迎を受けました。子どもたちにインタビューをすると、必ずメキシコ人の温かさやホスピタリティーが最も印象に残った点として挙がりました。日本とメキシコの新たな友好関係の1ページがつづられ、将来、両国の架け橋となる人材がここから輩出されると確信しています。 今回の児童・生徒の受け入れに当たりお手伝いをさせていただいたことは、私にとって、とても貴重な機会となりました。この紙面を借りて、相馬市の児童・生徒の皆さん、引率の先生方、ドクター、メキシコの関係機関の皆さん、そして、11日間行動を共にしたメキシコ外務省のスタッフに深く感謝申し上げます。これからも、日本、メキシコの両国が友好な協力関係を育んでいくことを願ってやみません。 (注1)メキシコ外務省の五つの部局を統合して2011年に設立。外務省から分権化された組織で、国際協力に関する取り決め、調整、促進などを行う。 (注2)1971年に発足した日本、メキシコの両国政府による研修生の交流プログラムで、毎年、留学生がそれぞれの国で研修を受けている。