東京理科大学 / 先進工学部 電子システム応用工学科
リミットサイクル
学部生の時は,複数の区分的アファイン振動子の同期手法についての研究をしておりました.非線形システムが漸近安定のときに,収束する閉軌道のことをリミットサイクルといい,初期値に依存しない周期的運動を生成するシステム,つまり安定なリミットサイクルをもつシステムのことを,振動子といいます.振動子は,生物の運動解析やロボットの安定歩容生成など様々な分野で応用されています.その中で,複数の振動子が同じ振る舞いを行う「同期現象」は,メトロノームの同期やホタルの発光現象などの現象の解明に用いられています. 私達の研究グループでは,「区分的アファイン振動子」と呼ばれる振動子を提案し,同期問題についても議論し,同期法を提案しております.そこでは局所的結合による同期が行われていましたが,大域的結合による同期可能性については未解決となっておりました.そこで本研究では,「平均場結合」と呼ばれる大域的結合を用いた区分的アファイン振動子の同期を目標としてました. 研究では,振動子の状態や同期条件を,先行研究を参考に立式し,MATLABを用いて計算を行いシミュレーショすることで確認を行いました.最初は,研究に必要な知識や技術の学習を行いました.それまでの授業では習わなかった専門的な内容が多く,過去の授業ノートだけでなく,ネットや本から多くの情報を参考にし,理解を深めました.6月ごろからは,自分のテーマの研究に入りました.自分で考え実行する必要があるため,計画を立て,シミュレーションを行い,フィードバックするということを繰り返し,研究を進めていきました. 研究では,振動子のシステムを保持しつつ,同期制御ができるよう,条件付けしながら数式に落とし込むことに非常に苦労しました.私が所属していた研究室では,振動子のシステムと,簡単な同期方法についての制御則はあったのですが,今回取り組んだ内容は,制御の仕方が先行研究とは違うため,立式する式もそれとは違うものになります.そこで今の自分の力だけでは解決するのは難しいと考えて,同じような同期の制御を行っている論文を数報読み,どのように立式してシミュレーションしているのかを調べました.更に,教授や同じ研究室の先輩方とも研究内容を交換し,助言もらいながら,改善策を模索しました.試行錯誤を繰り返した結果,理論式を見直し変えることで,上手く同期させることができました. 本研究では,参考文献を読み解き,理論式がなぜそうなったのかを理解する力と,それを応用する経験を積むことができました.更に,自分で計画を立て,試行錯誤を繰り返し,目標に向かう力,ネットや本から情報を集める力,他の人と考えを交換し,自分の考えをアップデートしていく力など,多くのことを身につけることができました.