こんにちは! BYTHREEのプランナーの栗原です。最近の制作物でなかなか反応が良かったものがあるので、当社の仕事の流れと一緒にご紹介したいと思います。
Client:美容室PUNKATURE(パンカチュア)
Project:PUNKATURE 7周年記念ノベルティ
1. 経緯
兵庫県伊丹市の美容室PUNKATUREさんが、2018年でオープン7周年を迎えました。その記念として、お客様にノベルティ用のチョコレートをご用意したいとのこと。オーナーさんが贔屓にしている洋菓子店Patisserie idee(パティスリーイデ)さんにタブレットチョコレートを、そしてそのパッケージを弊社に依頼したい、とのことでした。
2. ヒアリング
パッケージデザインにあたって、改めてPUNKATUREのオーナーさんにヒアリングさせていただきました。PUNKATUREさんは席数2席のプライベートサロンです。オープンされた当時はこのような少人数のサロンは珍しかったそう。「7年間も続けることができたのはずっと通ってくださるお客様が多いからですね、本当にありがたいです」とオーナーさんは嬉しそうにおっしゃっていました。客層は30〜40代女性が多く、オーナーさんのセンスに共感される方が多いようです。
女性の場合は特に、同じものを「良い・好き」と思える人とは距離がグッと近づきますよね。今回のノベルティは、7周年の感謝を伝えるツールであるのはもちろんのこと、オーナーさんとお客様が同じ感覚・センスで「素敵」と思えること、つまり “お互いの好みのツボを再確認するためのコミュニケーションツール” と捉えることができそうです。見た瞬間にパッとテンションが上がって話が盛り上がる、そんなパッケージが理想です。
3. アイデア
タブレットチョコレートの形状はある程度決まっていたので、どんな素材・形状のパッケージにするかの検討から始めました。紙で作るかPPで作るか、形状は箱にするか袋にするか、そもそもどんな種類の箱があるのか……。表にまとめるとこんな感じ。
それぞれのパッケージで多少値段が変わってくるのですが、今回はノベルティの「特別感」を演出したいので、高級感のある紙箱(身フタ式:蓋の部分と底の部分に分かれている、蓋をかぶせるタイプ)にすることにしました。
次に具体的なデザインのアイデアを出していきます。7周年記念の感謝を伝えるという大前提に加え、次のオーナーさんとお客様の“センスの共感ポイント”もクリアしたいと考えました。
そして生まれたアイデアがこちら。
(会社のプリンタで厚紙出力してプロトタイプを作ってみました)
箱の蓋に髪の毛の形で型抜きをして、その穴からチョコが見える仕様です。さらに底面には感謝のメッセージを忍ばせて、チョコを食べた後もしばらくとっておきたくなる仕掛けにしています。
こちらのアイデアをPUNKATUREさんへご提案し、全体の予算を調整していきました。ちなみにここら辺のフェーズまでが当社プランナーのメイン担当業務です。
4. 実制作
次は、デザインや箱の仕様を細かくブラッシュアップしていきます。今回の印刷は、レトロな風合いが特徴の活版印刷で進めることにしました。活版印刷による「アナログの温かみ」は、一人ひとりのお客様とじっくり向き合うプライベートサロンの考え方に通じる部分があると思います。
【デザインのブラッシュアップ】
横顔の輪郭や髪型は、こんな感じで何度も検討&ブラッシュアップ。(ヘアーだけに!)
だいたい決まってきたらIllustratorデータに起こします。輪郭は手描きの雰囲気を残すため、線の太さに強弱をつけているところがポイント。黄色・オレンジ・ピンク系でカラーリングを検証しました。
【物理的な制約も】
毛先の角度が鋭すぎると型抜きできないため、下記のように調整しました。
【最終案】
紙の地色は白、インクはピンクと深緑の2色に決定!
【箱のプロトタイプ制作】
印刷会社を通じて、箱のプロトタイプをいくつか作っていただきました。蓋と底の引っかかり具合などを検証。ミリ単位で調整していただきました。
【紙選び】
紙は「TKガバス(大和板紙)」「カラープラン(竹尾)」のどちらかで検討。色、厚み、風合いの観点から、今回はカラープランにしました。
【印刷・加工】
データ入稿後、実際に印刷機を動かしている現場へ伺って印刷の具合を確認しました。活版印刷は一枚一枚に圧力をかけて印刷するので、その印圧によって、インクのノリが微妙に変わってきます。理想の仕上がりになるようアートディレクターがチェックし、職人さんに調整していただきました。
5. 完成!
印刷の確認から2週間弱。オリジナルパッケージが完成しました!!洋菓子店Patisserie ideeさんにてチョコを詰めていただき、PUNKATUREさんへ納品していただきました。
6. まとめ
無事納品後、PUNKATUREのオーナーさんからは「本当にかわいいです!お客さんもとても喜んでくれています!」との嬉しいお言葉をいただきました。感無量です……! そもそも7周年記念にきちんと予算をかけて、オリジナルノベルティを作るPUNKATUREさんの心意気が素晴らしいと思います。このパッケージデザインが、PUNKATUREさんとお客様のエンゲージメントを高める手助けになっていれば、これほど嬉しいことはありません。
BYTHREEの普段の仕事は、ポスターやWEBなど平面が多いのですが、今回は活版印刷で箱を制作させていただくことができ、私たち自身もとてもワクワクしました。パッケージのお仕事も、今後もっと増やしたいです!
「クライアントが望むもの」と「自分たちが作りたいもの」が同じって、とてもHAPPY
広告の仕事では往々にして「クライアントが望むもの」と「自分たちが作りたいもの」の間に差が生まれることがあります。それが悪いことだとは全く思いません。しかし今回のプロジェクトのように「クライアントが望むもの」と「自分たちが作りたいもの」が同じだと、いつも以上に高いパフォーマンスを発揮できてHAPPYが広がるなぁ、と感じました。それってやっぱりこの仕事の醍醐味だと思います。
こんな風に仕事を楽しみたい方、ぜひBYTHREEで一緒に働いてみませんか?