事業の立ち上げと、子育ての両立。
社会的に働き方の多様性が注目される中、「理想とする母親」を目指し、会社の未来を創るHonda社員がいる。2009年に新卒入社し、お客様相談室などを経て、現在はコネクテッド事業部で「要の存在」として働くワーキングマザー・河野香だ。
家庭を持ちながら、前例のない仕事にどのように向き合っているのか。彼女の挑戦と、それを下支えするHondaの取り組みを聞いてきた。
一筋縄にはいかない、コネクテッド事業部は未来を創る「開拓者」
渋滞情報のキャッチアップ、トラブル発生時の自動緊急連絡、スマートフォンと車の連携。車がインターネットに繋がる「コネクテッド領域」の進化により、いま、様々な画期的なサービスが生まれようとしている。
河野は、その中核となるHondaのコネクテッド事業部で長期戦略と中期事業企画を「短期の実行施策」に結びつける重要なポジションを担っている。スマートフォンから車に「ドアを開けてほしい」「エンジンをかけてほしい」などと指示を出せるサービスを実現するためには、何が必要でどのように運用したらいいのか。念密な施策を考え実行し、アジアの各国にそのサービスを展開するまでを河野がリードする。
「コネクテッド領域は奥深く、いまだ未知数なことばかりです。たとえば、国ごとの通信規制。『ある国では通信を提供するためにはユーザーの生体情報(e.g.顔認識や指紋)の取得をしなくてはならない』など、日本とは異なる規制があります。
中長期的な絵を描いても、手を動かしてみると実は隠れた落とし穴がたくさんあるんです。その穴を見つけて埋めて…というようなことを、日々アジア各国の現地メンバーと繰り返しています。まだ誰もやったことのない仕事ですし、二番煎じではないので、常に開拓者の気持ちです。」
一見、河野の仕事はAIやIoTが関わる近未来的で華やかなものに見える。だが、一歩足を踏み入れてみると、アジアの現地メンバーや技術者など、多様な人物との連携が必要な泥臭い業務が中心。しかしそれこそが、サービスの品質やリリーススピード、収益性にも関わる事業の核心なのだ。
「この仕事の先には、エンドユーザーであるお客様も含め、関係者からの『ありがとう』がたくさん生まれます。だからこそ妥協できません。現地法人やまだまだ先のことと思っている社内の人を説得したりと苦労もありますが、一筋縄ではいかない仕事だからこそやりがいを感じ、メンバーとも関係性が深まるんです。それがこの仕事の面白さだと思っています。」
仕事と子育て。河野の挑戦を支える、Hondaの「在宅勤務制度」
優しい表情で仕事の醍醐味を語る河野は、3歳の娘がいるワーキングマザーだ。一体どのように大きな裁量の業務と小さな子供のいる家庭を両立しているのだろうか。河野の1日のスケジュールを聞いてみた。
「わたしの1日は、朝5時に起きて7時半まで在宅勤務をするところからスタートします。そこから子供が起きたら準備をして保育園に送り、10時半に出社。17時半まで仕事をしたら退社して子供を迎えにいきます。そうすると、必然的にオフィスにいられる時間が限られてしまいますが、夫をはじめ家族からの手厚いサポートと朝に在宅勤務制度を活用することで、しっかりと仕事と家庭が両立できています。」
2016年からスタートしたHondaの「在宅勤務制度」は、月間の就業時間の50%までを在宅勤務に充てられる制度で、育児や介護をする社員が利用できる。また2019年4月からは、育児や介護がなくとも一定の資格をもつ社員を対象に、就業時間の25%を在宅勤務に充てられるようになった。
他にも、育児に関わる費用をHondaが負担する「育児費用補助」もある。子供の年齢によるが、3歳未満の子供がいる家庭には年間14万円の援助保育料の補助が出たり、遠方から育児のために両親が来るとなっても、その交通費が最大5,000円まで補助されるユニークな制度だ。
河野は、産休育休からの復職にあたり、時短勤務や業務内容についても社内で相談していた。
「わたし自身、産休育休から復職して1年間は、育児をしながらどのくらい頑張れるかわからなかったので、自ら希望して1日4時間の時短勤務と負荷の少ない仕事にしてもらっていました。昨年からは『そろそろ思い切り働きたい!』と思い、今ではフルタイム勤務をしています。
よく、子供を産んだら簡単な仕事ばかりになり、ワーキングマザーのキャリア形成が難しくなる『マミートラック』の話を聞きますが、Hondaではそんなことはありません。女性社員の声もしっかり聞いてもらえて、キャリアのことも考えられる。分け隔てなく機会がある文化がHondaにはありますね。」
Hondaの変革の「第一人者」になりたい。ワーキングマザーのキャリアプラン
子供が生まれてから復職を果たし、今はHondaのコネクテッド事業の核心を担う河野。もちろんその背景には努力や苦労がたくさんあるはずだが、彼女はネガティブな発言を一切しない。その芯の強さは一体どこからやってくるのだろうか。
「わたしの理想は、娘が大人になった時にちゃんと相談相手になりたいということ。そのためにも、Hondaでチャレンジングな仕事を続けてキャリアを築こうと思っています。今はコネクティビティの立ち上げ段階ですが、事業としてしっかり成長させたいです。
近い将来、車から集まるデータを活用して業務の効率化を図ったり、データをほしい会社がたくさん出てくるはずなんです。それをレベニューシェアのような形で収益を得るなど、Hondaが『車を売る仕事』から『サービスを売る仕事』に大きく変革する。その第一人者になりたいですね。」
試行錯誤を繰り返し、大きな革新に向けて進むHondaのコネクテッド事業部。
最先端の技術を用いたコネクテッド領域のサービスを、世界中に広めて新たな収益をつくる。そんな未来のHondaを創る優秀な人材、難題への取り組みを続けられる熱い想いを持った若手層、飛躍を夢見る人材こそが活躍できる場が、ここにはある。