こんにちは!ゲームセグメント情報発信チームです。
当社のオンラインゲーム事業には、複数の運営移管プロジェクトが存在しているのはご存知ですか?
その実態について、今回もインタビューして参りました!
今回の記事は、『けものフレンズ3』運営主体変更当時についてのインタビュー第2弾。
前回の「デザイナー編」に続き……「シナリオライター・プランナー編」でお送りします。
『けものフレンズ3』とは
メディアミックスプロジェクト「けものフレンズ」のゲームタイトル。
2021年8月1日付で、株式会社セガ様から当社に運営主体が変更されました。
当社は、オンラインゲームの受託開発および自社ゲームの企画運用における10年以上の実績を活かし、運営移管(セカンダリサービス)の事業を展開しています。
インタビューしたのはこの3名!
(シナリオ班より)S.Yさん、K.Yさん
(バトル班より)I.Sさん ※後半から参加
インタビューに応じてくださった3名(写真左がS.Yさん、中央がK.Yさん、右がI.Sさん)
まずはシナリオ班のお二人にインタビュー!
——どのようなことを担当していましたか?
台詞の台本などを書いていました。シナリオも少しやらせていただきました。
シナリオ全般のディレクションと執筆を担当しています。
当時はメインストーリーのお手伝いなどさせていただきました。
——プロジェクトに参加したのはいつ頃ですか?
2021年の2月ですよね。
そうでしたね。テレビ放映時に「けものフレンズ」を観ていた話を上長にしたことで、このプロジェクトに参加することが決まりました。
私は入社自体が2月でした。入社直後に書籍やアニメをどっさり用意されて、まず作品の勉強から入りました。
——シナリオ班の引き継ぎはどんな感じなんでしょう?
アニメ等を観て物語とキャラの理解を深めていった後、
キャラシート(キャラの設定等)→台本(キャラの台詞等)→フレンズストーリー(短めのキャラ個別ストーリー)、といった感じで、段階を上げて着手しました。
最初に本格的にキャラシートを作ったのは4月ごろでしたよね。
多くの学びを経て、キャラクター設定を引き継ぎ!
——キャラシートとはどのようなものですか?
キャラの設定やバトルモーションなどを決めるもので、ライター陣が作っています!
けものフレンズプロジェクト側からいただいた数行のフレーバーテキストを資料に、設定を膨らませていきます。
セガさんと毎週、キャラシート確認会をしていました。
設定が問題ないかや、各モーションはそのキャラクターらしいか、見栄えがよいかを確認します。
——引き継ぎはスムーズに進みましたか?
どうですかね……?たくさん指摘をいただきました。
これは私だけなのですが、動物が大好きなのが高じて、かなり野性味の強い動きを提案してみたことがあります。
すると確認会で、「これ、フレンズがそのままやると、あまり可愛くないですね」と言われてしまい……その通りだなと思いました。
動物らしい野性味も大切な要素ではありますが、魅力を損ねないようにする重要性を学びました。
まず第一に、フレンズとしての魅力を引き出すことが外せない。
あとは、けものフレンズ特有の、あの世界観を崩さないこと。
そのあたりは特に気を配ることとして受け止めました。
——キャラシートでは、モーションの指定も行っているのですね。
エフェクトやモーションをシナリオ班で決めています。
他のプロジェクトでは経験したことがなかったので、セガさんが作られたキャラシートを何度も見て取り組みました。
もともと、自分の脳内でキャラクターを作って遊んでいるような人間なので、アイデアに困ることはありませんでした!
ただ、仕事となるとクオリティを保っていく必要があります。
「この子がどういう子なのか」、ユーザーさんに伝わるように頑張っていました。
「けものフレンズ」として大切なことを胸に刻んで……
——シナリオを書く上で感じていたことを教えてください。
他のプロジェクトと一番違うのは、この作品に登場する子たちには、人間が気にしている決まりやしがらみがないこと。あの子たちにあるのは、誰かを思う優しさとか、自分のやりたいことをやる楽しさとか、そういう自由な世界。
まず、自分の思考をけものフレンズ化させていくところから始まりました。
——メインストーリーを実際書いてみてどうですか?
お手伝いを経て、現在進行中のメインストーリー シーズン3では本格的に執筆を担当するようになりました。
プレッシャーもすごく感じていますが、同時にすごく楽しいですね。
「けもフレ3」は、「けものフレンズ」の歴史の一部分。これまで色々な媒体で紡がれてきたお話と矛盾してはいけません。
地続きの物語をしっかりと広げていくために、前任のシナリオライターさんから知識やアドバイスをたくさんいただきました。
——Sさんは台本を書いてみてどうですか?
動物の習性や特徴を台本に入れ込もうとした時、フレンズ目線の台詞を考えるのが難しかったです。
例えばですけど、コアラは22時間も寝ます。
それをフレンズから見た時、寝ている本人は睡眠時間が分からないですよね。また、時間という概念も持たせるべきではない。なので、「起きた時とお日様の位置が変わらなかった」と表現する、といった感じです。
ただ、ユーザーさんに伝わるかな、ということにはとても気を配っていました。大変ですが楽しかったです!
動物については、間違った情報を出すわけにはいかないのでとことん調べていますね。
論文を読んだり、最新の研究機関に連絡してみたりもしています。
メインストーリー シーズン3の一節(中央が新たな登場人物「ヒカリ」)
様々なフレンズ、様々な展開で世界を広げる!
——「けもフレ3」では、架空の存在をもとにしたキャラクターも登場しますよね。
架空の存在であっても、伝承はたくさんあります。
また、伝承にも、悪い存在として扱われているものもあれば、すごく良い存在として扱われているものもあります。
どこか一面だけに偏らないようにいろいろな文献を読み、この子たちの要素にしています。
神話上のイメージと結構ギャップがある子もいますよね。
例えばツクヨミノシンシちゃんは、神の使いですがギャルなんです。
その面白さをしっかり生かしつつ、伝承もそのキャラクターに合わせて解釈できないかなと考えていっています。
——絶滅動物の扱い方も気になります。
絶滅動物といっても、その絶滅の原因は様々です。
いずれの場合も、フレンズたちの明るい世界観は崩さずに、物悲しさをシリアスになりすぎない程度に表現し、「かつてこういう動物がたしかに地球で暮らしていた」というメッセージになればいいなと思っています。
そういったメッセージ的側面は、「けものフレンズ」というIPそのものの考え方と繋がっています。
——IPや動物そのものとの関わり方の話を聞けて、とても興味深かったです。
ーー最後に言っておきたいことがあればどうぞ!
メインストーリーでは、新しい人間のキャラクター「ヒカリちゃん」を登場させて、新たな風を吹かせてみました。
待望のゲストを迎えたジャパリパークがこれからどのように賑わっていくのか、楽しんでいただけますと幸いです。
また、「けものフレンズ」では、「けもV(けものフレンズVぷろじぇくと)」も進行しています。
そういった、今起きていることを取り入れたストーリーも展開できたらいいなと思っています。
「けものフレンズ」コンセプトデザインを手掛ける、吉崎観音先生がすごく協力してくださっているということもお話ししたいです。
あるコラボイベントのストーリーを書くのに難航していた時、先生よりご提案をいただきました。
「けもフレ3」の根幹に関わる情報を絡めることで、コラボイベントも「けものフレンズ」の一部のストーリーになるというご提案でした。
そのおかげでストーリーを作り上げることができたので、本当に色々なところで助けていただいています。
水族館コラボでは、魚類や軟体生物のフレンズを出すという我々の新しい提案にも快諾いただきましたね。
ただ出すのではなく、「きちんとフレンズになる理由があるからこそ出す」、と許可をいただき本当にありがたいです。
ツクヨミノシンシの加入シーン
バトルを手掛けたプランナーさんにもインタビュー!
ーーチームに入った当時のことを教えてください!
本格的に参画したのは2021年4月ですね。
運営としては、毎週のアップデートに関わる割合が徐々に増えていきました。
そして、データや仕様書作成についてのノウハウを伺ったり、作成物へのフィードバックをいただきながら運営に参加していました!
——シナリオ班では動物について学んだ話もありました。バトル班ではいかがでしたか?
データ作成をひたすら覚えていった、という印象が強いです。
セガさんの開発環境を理解して、データ更新に間に合うよう、急いで作業内容を覚える必要がありました。
もちろん、キャラクターを覚えるというのも別の軸としてありましたね。
——引き継ぎの中でやりがいがあったことを教えてください!
バトル周りのノウハウは、初めは難しかったです。
セガさんの環境は、スキルのパラメーター設定方法が自分にとって新しいものでした。ですが覚えたら非常にやりやすくて!
学びが多くて面白かったですね。
他には、キャラの調整のニュアンスを掴むのには時間を要しました。
スキル性能のバランスをどう取ればよいか、「分かってきたぞ」という実感を覚えたのは、9月ぐらいだったと思います。
——キャラの調整作業では、シナリオ班との連携はあるのでしょうか?
シナリオ班からいただくキャラクターの設定を俯瞰してみて、パラメーターに反映していくのが私の仕事です。
まずシナリオ班で、「けものミラクル」(各キャラクターの大技)の性質を偏らないように決めています。攻撃系なのか、バフ系なのかなど……
そこからバトル班に全体的な性能の組み立てをしてもらっています。
「全体攻撃のミラクルが少ないんでちょっと増やしてください」というような要望はたまに出していました。
テングコウモリのステータス画面
——キャラクター性能はインフレのおそれもありますよね。シビアな印象があります。
状態異常がバトルの軸になっている「けもフレ3」は、インフレがしづらいバトル環境だと思います。
その軸足を捉えてさえいれば、設定はしやすかったです。
なので、「フレンズの個性をバトルに如何に反映させるか」ということに焦点を当てることもできました。
素晴らしい環境だなと思っています。
——最後に、アピールしたいことがあればお願いします!
最近、動物園などともコラボしていますよね。
アピリッツは結構フットワークが軽い会社。
アピリッツだからできること、「けものフレンズ」というIPでしかできないことなど、ちょっと斜め上の面白いことを期待してください!
ーーお三方とも、本日はありがとうございました!
あとがき
シナリオやバトルは、ゲームを楽しむための最重要要素。
引き継いだマインドと、メンバー自身の持つマインド――それらが合わさり、思いの詰まったものを提供しているんだなと感じました!
「けもフレ3」をはじめ、これからも当社は、多くの方々に楽しんでいただけるゲーム運営をしてまいります。
お読みいただきありがとうございました。