道は常に無為にして、而も為さざる無し
「中国の哲学者、老子の『道は常に無為にして、而も為さざる無し』という言葉が好きです。そしてこの名言こそが、自分の価値観そのものです。」
落ちいた口調で話してくれたのは、Headとしてモバイルアプリ開発チームを牽引する傍ら、バックエンド開発やインフラ、さらには採用業務まで、多岐にわたって活躍する山本昌明。
「無駄な力を入れない、誇張しない、争わない。老子はそういう類の言葉を残していて。
自分自身も、無駄な力を入れた状態で行動したり、必要以上に何かを変化させたりすると、うまくいかないことが多いんです。なのでどんなことに関しても、できるだけ脱力して、遊び心を持って生きることを心がけています。
自分のことさえ信じていれば、変化が必要なタイミングで自然に変化するための行動ができると思っています。自然に生きて、同時に、チャンスは逃さないという生き方をしています。」
「これは、組織やチームにも通ずることだと思っています。チームメンバーの目指すものと組織のゴールにギャップがあった場合、これを無理やり一緒にしようとするとメンバーにとってストレスになりますし、メンバーの考え方を無理やり変えるとモチベーションにも影響します。なので、ゆっくり自然に変化させることを大事にしています。」
淡々と語る山本だが、実はWealthParkに入社する前後の頃は、極端な達成主義で、力んでいたという。
「老子の思想に出会ったのは社会人1,2年目の頃だったと思います。当時は面白い考え方だなと思ったぐらいで、すぐに自分の心境や考え方に変化はありませんでした。
実はWealthParkに入った当初もかなり力んでいたんです。でも、これじゃ前職と変わっていない、このままじゃダメなんじゃないかって思って。
そこで、老子の考え方を思い出しながら、やり方、アプローチの仕方を徐々に変えていったんです。」
「アツい思いを持っているところは昔から変わらないですし、今でも結果重視なところはあるので、そこも変わっていないです。でも、昔ほど白黒つけたり、力まなくなって。そういう点ではかなり変わりましたね。」
キーワードは、謎解き
幼少期からアメリカに住んでいた山本は、大学はカリフォルニア大学アーバイン校の数学科に進学した。
「数学のコンペティションにも出場するぐらい、昔から数学が好きだったんです。天文学者を志していた時期もあった。ところが大学1年目の頃、『自分は本当に数学がやりたいのか?」』という疑問がわいてきて。
例えば、素数が無限にあることや、無限には大小があること、そういう数学的な証明に4年間取り組むことに違和感をもつようになって。そこで専攻を変えようと思いました。
当時、自分の中で経済か物理の2つのオプションがありました。物理は高校時代も好きだったんですが、実験はあまり気分がのらないタイプで。昔から、楽しくないとモチベーションが上がらない性分で、それで経済学専攻に変更しました。」
経済学を学ぶ傍ら、副専攻として統計学を学んでいた山本は、授業で初めてプログラミングに触れた。テクノロジーの面白さを知った彼は、大学卒業後に日本のITコンサルティングファームに就職。当時は企画担当だったが、自発的に業務の自動化ツールを作ったり、プライベートではアンドロイドアプリを作ってリリースしたりと、次第にものづくりへの思いも加速していったという。
そんな山本に、ものづくりの魅力について聞いてみると、興味深い答えが返ってきた。
「英語で、”software is a living thing”っていう言葉があるんです。意味はそのまま『ソフトウェアは生きているもの』ということなんですが、それを作るのが楽しいっていう感覚でやっていますね。
あとは自分の頭の中で『謎解き』をしながら、動くものを作れる。そこにも面白さを感じています。」
「ちなみに、楽しいのはプログラム上の謎解きだけではないんです。
難しい要件や仕様の場合、それを考えてどう画面に表示させるか、というところにも謎解き要素があって。WealthParkではデザイナーの方とディスカッションしながら進めていくんですが、そこにもモチベーションを感じています。」
GO BEYONDとは、因果関係を見つけること
GO BEYONDの精神で仕事に取り組む山本。彼にとってGO BEYONDとは何なのだろうか。
「WealthParkで掲げているGO BEYONDは、単に『こえる』という意味だと思っています。だけど、シンプルだからこそ、同時に抽象度も高くて奥が深いんです。」
「自分が考えるGO BEYONDは、たくさんのことにチャレンジして因果関係を見つけることです。
例えば、自分は毎週公園で懸垂をしているんですが、上達するために、力を入れるタイミングを調整してみるとか、事前の食事のタイミングを変えてみるとか、様々な仮説を立て、検証し、結果を振り返る。このようなチャレンジとディスカバリーができるようになることが、個人単位のGO BEYONDだと捉えています。」
一方、組織となるとGO BEYONDは一段と複雑になるという。
「自分だけじゃなく、チームメンバーや組織のゴールを考えながら、みんなでGO BEYONDする必要があるので、そもそもアラインが取れていないといけない。
また仮にアラインが取れても、その次に、どうすればこのメンバーがGO BEYONDできるんだろうっていうことも考えなければならない。
メンバー自身の変化、些細なサインとか、仕草でもいいと思いますし、一見無意味そうなことでも重要な情報だったりするので、それに気づく必要があります。」
「以前の自分だったら、個人単位のGO BEYONDしか考えていなかったと思います。
でもWealthParkでマネジメントをするようになってからは、『自分という単位』を越えて他のメンバーもGO BEYONDできるようサポートできるようになりました。」
異なる考え方も個性も、輝かしい
GO BEYONDを実践する山本に、気をつけていることや心がけていることを聞いてみた。
「理解できないもの・こと・人に関しても、リスペクトや感謝の気持ちを持つようにしています。完全に自分と同じ人っていないじゃないですか。みんな個性があって、それぞれ違う考え方がある。
WealthParkにはAPPRECIATION AND RESPECTという行動指針もあるんですが、GO BEYONDのためにはAPPRECIATION AND RESPECTの考えも重要だと思っています。繋がっているんです。」
こう教えてくれた山本だが、最初は今ほど相手へのリスペクトを持てていなかったという。「自分とは違う考えや意見に対応していくのが本当に大変でした。
以前は、すべてを理解しなければならないと考えていて、理解できないことに出会う度に、何でだろう?って疑問に思う自分がいたんです。
それに、昔の自分は、人によって得意・不得意があるということを考えられていなくて、正しい・間違っているの二択で捉えていたんです。
この時代は、とりわけ自分とタイプが異なる人であれば、リスペクトの気持ちをもつのに数ヶ月ほどかかっていたと思います。」
「でもWealthParkでマネジメントを経験するようになって、徐々に自分が変化していきました。ある日突然変わったわけではなく、徐々に変わっていったという感じです。色んな人と仕事する機会が増えて、様々なタイプの方も見てきたので、感謝の気持ちを持つまでの期間が自然に短くなったのかなと思います。」
「最近では、相手は相手の信念にもとづいて行動しているということも理解できてきて、違う考え方であっても、自分が完全に理解できなくても、それぞれが輝かしいと思います。
違いを尊重するということは、常に大事にしています。
これはWealthParkでの仕事、マネジメントを通じて得たものだと思っているので、本当に感謝しています。」
manageではなく、supportをしていきたい
「今後挑戦していきたいとこは、モバイルチームを成長させること、そして、組織全体を成長させることにも関わりたいですね。より成熟したマネージャーになって、より大きなチームをmanageできるようになりたいです。」
と、ここで一瞬考え込んだ山本。何が浮かんだのかを尋ねてみると”manage”という言い方でいいのかな...?」と話し始めた。
「大きなチームをsupportしていきたいっていうニュアンスの方が正しいかもしれないです。自分としては、マネジメントってみんなをサポートする役割だと思っているので。
今までmanageって言ってましたが、自分がやりたいのはsupportです。
メンバーには充実したキャリアを歩んで欲しいので、より深く関わったりサポートしたりしたいですね。」
「WealthParkはオルタナティブアセットのプラットフォームを目指しています。実は自分、ウイスキーが好きなんですよ。ウイスキーもオルタナティブ投資の対象になると思うのですが、テクノロジーを使って身近なものにシームレスに投資できる世界はとても魅力的だと思っています。みんなでミッションを達成したいですね。」
「プライベートでは、ボルダリングやアウトドアスポーツにチャレンジしたいです。自分と向き合うのが好きなので、自然と筋トレにハマっていって。でも、他のスポーツをやってみると、自分の体とか筋肉への理解も深まると思いますし、そういうところをGO BEYONDしていきたいと思っています。」
望む変化も、望まない変化も楽しもう
最後に、山本から候補者の方へのメッセージを紹介する。
「GO BEYONDすることに興味を持っている人、自分のやり方に固執しすぎずメンバーと協力できる人がWealthParkにマッチしていると思います。
あとは遊び心、例えば世界を変えたいとか、社会にインパクトのあるような仕事をやってみたいなど、そういう思いを持った人はWealthParkで充実したキャリアを送れると思います。」
「うまくいかないことは沢山あると思いますが、望む変化も望まない変化も楽しもう!と伝えたいです。日々、ハードなこともたくさんありますが、WealthParkには、楽しくてやりがいのある仕事があるよ、たくさんチャンスがあるよ、と伝えたいですね。」
インタビュアー
渡邉あす香|Asuka Watanabe
愛知県出身。大学卒業後に人材会社に入社。
企業のITエンジニア採用支援に5年間従事した後、2020年にフリーのライターに転身。
現在は、就転職や採用関連の記事を中心に執筆している。
https://www.facebook.com/asuka.watanabe.129